2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

学界ブロガーは何を目指しているか?

昨日に続きNYTネタ。 デロングがNYTのPamela Paulから取材の申し込みをeメールで受けたという。彼女は、最も著名かつ影響力のある学者ブロガーについての記事を企画しており、既に以下の6人にインタビューしたとの由(注:リンクは小生が付与)。 Becker/Pos…

NYTは日本叩きのために報道と論説の区分を放棄した

とディーン・ベーカーが書いている(原題は「NYT Abandons Distinction Between News and Editorials to Bash Japan」)*1。彼の批判の対象となったのは1/28付けのこの記事で、既に抄訳されている方もいる(H/T 池田信夫氏のツイート)。 ベーカーの批判を箇…

スターウォーズの政治学

NYTのサイトでたまたま見かけたコラム記事が面白かったのでご紹介*1。 書いたのはNYTコラムニストのRoss Douthatで、コラムの日付は1/24である。そこでDouthatは、マイケル・リンド(Michael Lind)*2が書いた1/18付けSalon記事の以下の一節を槍玉に挙げてい…

ロバート・シラーの推薦図書

1/25エントリでは、The Browserというサイトがアンドリュー・ゲルマンに5つの推薦図書をインタビューしていたことを紹介したが、同サイトでは同様の企画をロバート・シラーについても行なっていた。このシラーのインタビューは、ワシントンブログやThe Big P…

ブロークバック・マウンテンとカナダの経済学研究の共通点

今月半ばにWCIブログでFrances Woolleyが面白いことを書いていた。以下はその冒頭部。 When studios shoot movies or TV shows in Canada, they stick US licence plates on the cars and pretend Toronto is New York (the Rudy Giuliani biopic Rudy), Alb…

中国当局はベイズ統計がお嫌い?

昨日に続き今日もアンドリュー・ゲルマンのネタ。 ゲルマンの1/10ブログエントリによると、彼の以下の本の中国語版の出版が差し止め処分を受けたという。Data Analysis Using Regression and Multilevel/HierarchicalModels (Analytical Methods for Social …

統計と数学の違い

Mostly Economicsがアンドリュー・ゲルマンのインタビューを紹介していた(なぜかソースが記述されていなかったが、ぐぐってみるとゲルマンが統計に関する推薦図書を5つ挙げたThe Browserというサイトだった)。 その中の統計と数学の違いに触れた部分が面白…

AEA年次大会とスタトレ大会

昨日スティーブ・ワルドマンのエントリを紹介したが、続くエントリでまた面白いことを書いているので、以下に紹介する。 This was the first time I’d attended an economics conference. But in my early adolescence, I did frequent another sort of hote…

イデオロギーを内生化する

Interfluidityのスティーブ・ワルドマンがまた面白いことを書いている。以下はその最終部分の引用。 Economists in particular are disdainful of ideology, on the theory that ideology implies bias and constraint, while optimality requires unconstra…

財政赤字削減のためにマンキューに10億ドルを!

昨日はマンキューブログ経由で知ったホルツイーキンのWSJ論説を紹介したが、マンキューがその次のブログエントリで医療改革法案の財政赤字への影響を次のように戯画化している*1。 I have a plan to reduce the budget deficit. The essence of the plan is …

オバマケアは財政赤字を増やすのか? 減らすのか?

昨秋の中間選挙で共和党が下院を制したことにより、昨春成立した医療改革法案を撤廃する法案が19日に下院で可決された。 同日、ジョージ・W・ブッシュ政権下でCBO局長を務めたダグラス・ホルツイーキン(Douglas Holtz-Eakin)らが、医療改革法案の影響に関…

ケインズの美人投票論の実証実験

NPRが最近面白い実験を行なった(H/T Mostly Economics)。 内容は、サイトの訪問者に3匹の動物(子猫、スローロリス、ホッキョクグマの子供)のビデオを見せ、投票をしてもらう、というもの。ただし、投票方法は2種類あり、あるグループには自分が最も可愛…

過度の金融緩和防止は名目成長率安定化と両立可能か?

今日も2005年のFOMC議事録ネタ。 デビッド・ベックワースがこのうちの2005年12月プレゼン資料の以下の図に反応し、FRB自身が2000年代前半の政策金利が低過ぎたことを認識していた動かぬ証拠、とブログで書き立てている。というのは、以前紹介したように、こ…

FRBが実存的危機に近づいた時?

昨日触れたSalonのAndrew Leonardは、2005年6月のFOMC議事録の中から、Calculated Riskがピックアップしたジャック・グイン・アトランタ連銀総裁の発言の他に、マーク・オルソン理事の発言も紹介している。そこでオルソンは、モーゲージローンにおける審査基…

史上最も高くついたコーヒーブレイク?

2005年のFOMC議事録が先週末に公開されたが*1、Calculated Riskがピックアップした6月の議事録が話題を集めている。その会合では住宅バブルに焦点が当てられており、Calculated Riskではその中から当時のジャック・グイン・アトランタ連銀総裁の報告の以下の…

需要不足以外の失業要因を求める人たち

ラジャンがProject Syndicateコラムで、現在の米国の失業率のうち住宅バブルの崩壊によって生じた構造的要因を3%ポイントと見積もり、物議を醸した。 問題だったのは、ラジャンはその見積もりをシカゴ大の同僚のErik Hurstらの研究から引いたのだが、Hurst自…

コース経済学こそ本来の経済学

北京天則経済研究所(Unirule Institute of Economics)のHPに、ロナルド・コースのインタビューが掲載されている(H/T Mostly Economics;最終版は(おそらく)こちら)。 コースは昨年の12月29日に100歳の誕生日を迎えたが、同日に天則研究所は北京、上海…

平易な英語の闘士

昨年末に他界したアルフレッド・カーンのNYT追悼記事がそう題されている(Mostly Economics経由;原題は「A Champion of Plain English」)。書いたのは、カーンの民間航空委員会(CAB)委員長在任時にその下で主任エコノミストを勤めたというRobert H. Fran…

ワーキングリッチの時代?

フェリックス・サーモンやライアン・アベントが取り上げているが、Chrystia Freelandという経済記者が現代の富豪たちについて書いたAtlantic記事が話題になっている。 その中でFreelandは、現代の富豪と一昔前の富豪との違いを以下のように説明している。 Bu…

コント:ポール君とグレッグ君(2011年第1弾)

久々にマンキューがクルーグマンに噛み付いた*1。 グレッグ君 ポール君が次のように書いている。 重要なのは、民主主義は、反対者に対し嘲笑や非難を浴びせる人々を許容する半面、必要ならばあらゆる手段を用いて反対者を議論の場から取り除くことを示唆する…

2兆ドルの賭けの行方・その2

昨年の初め、2009年のFRBの利益が空前の規模に達したという話を取り上げ、「果たして今からまた1年後はどうなっているだろうか…」と書いた。 それから実際に1年経ったわけだが、既に日本語のニュースでも報じられている通り(ブルームバーグ、ロイター、WSJ…

集積効果の7つの柱

一昨日のエントリの最後で触れたが、Mostly Economicsが昨年12/27エントリでCity Journalという雑誌の最新号の幾つかの記事にリンクしている。今日はそこから、Mario Polèseというケベック大学州立科学研究所の都市経済学者が書いた記事を簡単に紹介してみる…

年金と消費税

大和総研の原田泰氏が、高齢者は消費税を支払っていない、と1/4の同社HPのコラムに書いている(H/T 404 Blog Not Found*1)。原田氏は昨年7月1日のコラムでも同様の主旨のことを書いているが、そちらでは単純な計算例を用いて高齢者に税金負担をしてもらうこ…

なぜニューヨークは米国最大の都市なのか?

と題した論文を2005年12月のNY連銀のEconomic Policy ReviewにEdward Glaeserが書いている(Mostly Economics経由;原題は「Urban Colossus: Why Is New York America’s Largest City?」)。 その結論部では、200年間も全米第一の都市であり続けたニューヨー…

日本の神話

Centre for European Policy StudiesのDaniel Gros*1が「日本の神話(The Japan Myth)」と題したProject Syndicateコラムを書いている(Economist's View経由)。 そこで彼は21世紀の最初の10年を振り返り、言われているほど日本経済は悪くなかった、として…

未来の物価計測手法?

エズラ・クラインと昨年末に婚約した*1経済記者のAnnie Lowreyが、インターネットを用いた物価指数について昨年12/20のSlate記事で報告している(H/T マンキューブログ)。 記事はまず、現在のCPIの計測に掛かる手間について報告しているが、それによると、…

均衡財政乗数への根拠無き熱狂

David AndolfattoがブログでシラーのクリスマスNYT論説「Stimulus, Without More Debt」をそう批判している(原題は「Irrational exuberance over the balanced budget multiplier」*1)。 そのNYT論説でシラーは、財政支出を増やすと同時に同額だけ税金も増…

所得効果などというものは存在しない

とWCIブログでNick Roweが書いている(原題は「Income Effects don't really exist」)。 ここでRoweが槍玉に挙げているのは、価格変化による総体的な所得効果の話である。例えばリンゴの値段が1ドル上がったら、買い手が1000人いるとして、売り手の所得は10…

Beat the Beat the Press

以前、ディーン・ベーカーの中国の高齢化問題に関する試算が楽観的過ぎるのではないか、という批判を書いたことがあったが、彼は今度は日本の高齢化に関する簡単な試算を行なって、正月のNYT記事の悲観論を批判している。だが、その計算が正しいように思われ…

米国内の人口シフトの背景

12/30エントリの脚注で触れたように、ここ10年で人口が増加した州について、マンキューとライアン・アベントの間で軽い鞘当てがあった。 まず、マンキューがAEI記事から以下の一節を引用した。 [Population] growth tends to be stronger where taxes are lo…