2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ビル・クリントン「ブッシュ政権はリーマンを救うべきだった」

10/16エントリで、クルーグマンのWorld Business Forumなるフォーラムでの講演内容を紹介したが、WSJブログはこのWorld Business Forumを専用ページを設けてカバーしていた*1。 そこでは、クリントン元大統領の講演も報告されている。彼は、ブッシュ政権はリ…

米国で初めて女性労働者数が男性労働者数を上回った本当の理由

というエントリが先週10/24のワシントンブログに立てられていた(原題は「The Real Reason That - For the First Time Ever - More Women are Working Than Men」)。 そこでは、ジョン・F・ケネディの姪であり、アーノルド・シュワルツェネッガー夫人である…

グーグルが教えてくれた10のこと

近刊の下記の本*1の著者、ケン・オーレッタ(Ken Auletta)が、フォーチュンに「10 things Google has taught us」という記事を書いている。Googled: The End of the World As We Know It作者: Ken Auletta出版社/メーカー: Penguin Press発売日: 2009/11/03…

お前が言うな・その2

10/19エントリでは、大銀行の分割を求めるグリーンスパンの発言に対する「お前が言うな」と言わんばかりのブログ界の反応を示したが、もう一つ、同様の反応を招きそうな発言(正確にはレター)があった。 To the Editor: Re “Volcker’s Voice, Often Heeded,…

国防は公共財ではない?

ブライアン・キャプランが、公共財の典型例として良く挙げられる国防力が、実は公共財ではないということを証明している。 その証明とは以下の通り。 国防力が公共財であるためには、(定義により)その存在の社会的便益が社会的費用を超えなくてはならない…

科学と非科学の境目

先週の土曜日にたまたまTBSの報道特集NEXTを見て、昨年の筑波大学での大学教授解雇事件が問題になっていることを知った。 事の経緯は、長照二プラズマ研究センター長がフィジカル・レビュー・レターに投稿した論文に関し、データの改竄があったのではないか…

名目GDPベースのテイラールール・その2

昨日のエントリでは、サンフランシスコFRBのルードブッシュのテイラールールを日本に適用し、合わせて名目GDPベースのテイラールールの定義を試みてみた。今日は、そこで定義した名目GDPベースのテイラールールを、逆に米国に適用してみる。 下図は、ルード…

名目GDPベースのテイラールール

一昨日、2つのテイラールールの話を紹介したが、手すさびに、そのうちの一つを日本のデータに当てはめてみた。使った式は、本家ではなくルードブッシュの方。ただし、クルーグマンが10/11のエントリで導入した係数をさらに丸めたバージョンを使用した。 政策…

Sentences to ponder

まともに考えると、国の経済がこんなに厳しい状況ならば、ありとあらゆる経済政策を動員するのが当たり前だ。それにもかかわらず、「今の不幸を招いたのは外需」「外需に頼る経済構造が間違いだった」と、輸出依存を悪とする「外需犯人説」を唱えている。 しかし、…

どのテイラールールが正しい?

ジョン・テイラーが直近の10/16ブログエントリで、クルーグマンの用いているテイラールールを誤用だとして批判している。 テイラーの言う“本家”テイラールールは以下の通り(テイラーの8/25付けブルームバーグコラムの日本語訳より)。 政策金利 = 1.5×イン…

She's a killer Queen

日本をダシに財政赤字の恐怖を警告したNYT記事をディーン・ベーカーが攻撃している。 ベーカーの該当記事への指弾は以下の通り。 問題のNYT記事では、2008年の日本の国債利払費が財政の5分の1に達すると書いて、米国の10分の1という数字と対比させているが、…

NP完全問題とCDO

ケビン・ドラムが「ナーズの復讐」と題したエントリ*1で、意味が良く分からんが面白そうなので紹介する、として、プリンストンCenter for Information Technology PolicyのブログFreedom to Tinkerのエントリを引用している。それによると、派生商品の組成者…

グリーンスパン「大銀行は分割せよ」

グリーンスパンが、大きくなりすぎた銀行は分割すべき、と述べたことが波紋を呼んでいる(10/15ブルームバーグ記事[日本語版はこちら])。 主なブロガーの反応を拾ってみると…。 開いた口が塞がらない。(ジェームズ・クワック) あんた本当にグリーンスパ…

悪ガキ教授の自滅?

「ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する」の続編である「SuperFreakonomics: Global Cooling, Patriotic Prostitutes, and Why Suicide Bombers Should Buy Life Insurance」に対し、発売前にも関わらず、既に米ブログ界で批判の嵐が巻き起こってい…

医療改革のABCジレンマ

と題したWSJコラムで、ノーベル賞経済学者のバーノン・スミスが、医療問題の本質を以下のように要約している。 The health-care provider, A, is in the position of recommending to the patient, B, what B should buy from A. A third party—the insuranc…

クルーグマン「貿易面では今回は大恐慌よりひどい」

先週、World Business Forumなる催しでクルーグマンが講演したらしい。WSJブログとフェリックス・サーモンがその内容を報告している(Economist's View経由)。 両者の報告によると、講演の概略は以下の通り。 GDPベースでは、米国の景気後退は終了し、成長…

カンフー・パンダとエレノア・ルーズベルト

以前bewaadさんのところで翻訳コンテストを行なっていたカンフー・パンダの以下の台詞について、意外なことを知った。 You are too concerned with what was and what will be. There is a saying: Yesterday is history, tomorrow is a mystery, but today …

行動経済学の陥穽

ティム・ハーフォードが面白い話を紹介している。 行動経済学でよく出てくる実験に、「最後通牒(最終提案;ultimatum)」ゲームというのがある。このゲームでは、被験者Aが10ドルを渡され、別の被験者Bにいくら渡すか尋ねられる。もしBがその分け前を受け取…

映画の経済学

米国の経済ブログはどこもノーベル賞を取り上げている。特に、Hicksianさんの紹介にあるように、Marginal Revolutionは、かなりのエントリ数をこの件に費やしており、タイラー・コーエンとアレックス・タバロック両者が競うようにして解説を書いている。そん…

服部正也氏の「ビッグ・プッシュ」(「ルワンダ中央銀行総裁日記」より)

少し前の話だが、本石町日記さんが服部正也氏著「ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書 290)」*1を読んで非常に面白かったというエントリを上げていた。実はこの本を小生も持っていたのだが、これまで本棚の奥にしまったままだった。それを今回ふと取り出して…

日本経済は39-43歳の人口層で決まる

"The Great Bust Ahead"という本の宣伝ページに以下のような図が掲げられている(ワシントンブログ経由)。 図に付けられている説明文を訳すと次のようになる。 日本の1990-2003年の深刻な経済不況は、同様*1の人口との関係によって生じたのか? データはそ…

ディラックの経済学

Marginal Revolution経由で、ディラックの1933年ノーベル賞晩餐会スピーチより。 I should like to suggest to you that the cause of all the economic troubles is that we have an economic system which tries to maintain an equality of value between…

Gメン'09

米経済ブログ界で話題になったニューヨーカー記事の冒頭の写真(下記)を見て、このドラマのオープニング映像を連想した*1。…しかも彼らは文字通り"Government Men"だし。 記事の内容としては、写真の真ん中の丹波哲郎ならぬローレンス・サマーズに主に焦点…

クリンゴノミクス対クルーグマン

一昨日と昨日のエントリでEconlogのアーノルド・クリングの再計算理論を紹介したが、基本的にこれは、経済のセクター間の雇用や資本の調整の話として米国内では受け止められている。そう考えると、日本でも良く目にする種類の議論である、と言えよう。たとえ…

クリンゴノミクス対リフレ

何だか怪獣映画のようなタイトルになってしまったが、昨日紹介したアーノルド・クリングが、自らの再計算(Recalculation)理論を、米国リフレ派の代表選手であるサムナーの考えと対比させたエントリをいくつか9月に上げたので、そこから主要部分を引用して…

クリンゴノミクス

…といっても、クリンゴン帝国の経済政策の話ではなく、Econlogのアーノルド・クリングが最近主張している経済学のことである。これが最近の米国の経済ブログ界で意外に話題になっている(昨日はついにクルーグマンも参戦した)。 クリング自身はこの考えを「…

FDICが財務省のクレジットラインに手を伸ばさない理由

先週末で、年初来の米銀倒産件数が98行になったことが報じられた。FDICのFAQページによると、預金保険基金(Deposit Insurance Fund=DIF)の残高は9月末にマイナスに転落する見込みという(Calculated Risk経由)。 こうなると、追加資金をどうやって調達す…

なぜプレーン・バニラが用意できない?

オバマ政権の金融制度改革の一つの目玉である消費者金融保護庁(Consumer Financial Protection Agency)に関し、金融機関にプレーン・バニラ商品の提供を義務づける条項が早々に廃棄された。ここでいうプレーン・バニラ商品とは、金融商品には通常アイスク…

炭素税とキャップ・アンド・トレード - ローマセットのまとめ

昨日のエントリの冒頭で触れたジェームズ・ローマセットの10/1ブログエントリ*1だが、温暖化対策には二つの配当(double dividend)と一つの負の効果がある、と書いてる。 二つの配当とは、環境汚染によりもたらされる死荷重を減らすことと、炭素税収入によ…

排出権オークション収入と減税の抱き合わせは是か非か?-デロングの図解

9/29エントリでEnvironmental Economicsというブログにおけるマンキューへの批判を紹介した。そのブログの10/1エントリでは、ゲストブロガーのジェームズ・ローマセット(James Roumasset)ハワイ大学マノア校教授が、引き続きマンキューの見解について考察…