2024-01-01から1年間の記事一覧

エクイティプレミアムではなく利回りの変動:バーナンキ=カトナー再訪

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Movements in Yields, not the Equity Premium: Bernanke-Kuttner Redux」で、著者はStefan Nagel(シカゴ大)、Zhengyang Xu(香港城市大)。 以下はその要旨。 We show that the stock market price r…

高頻度ナラティブ手法

という手法(原語は「high frequency narrative approach」)で財政赤字のインフレへの影響を計測した論文をタイラー・コーエンが紹介している。論文のタイトルは「Do Deficits Cause Inflation? A High Frequency Narrative Approach」で、著者は Jonathon …

産業革命期のイノベーションネットワーク

というNBER論文が上がっている(H/T Mostly Economics、ungated版)。原題は「Innovation Networks in the Industrial Revolution」で、著者はLukas Rosenberger(ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン)、W. Walker Hanlon(ノースウエスタン大)、C…

グローバル投資家にとってどの為替相場が問題となるのか?

というBIS論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Which Exchange Rate Matters to Global Investors?」で、著者はKristy Jansen(南カリフォルニア大)、Hyun Song Shin(BIS)、Goetz von Peter(同)。 以下はその要旨。 How do exchange rates a…

1907年のニューヨークの銀行恐慌の国際的な波及についての実証結果

というスイス国立銀行論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Evidence on the international financial spillovers of the New York Bankers' Panic of 1907」で、著者は同行のThomas Nitschka。 以下はその要旨。 Using a unique dataset of daily…

サマーズ「日本製鉄のUSスチール買収を阻止すべきではない」

こちらやこちらの報道で伝えられている通り、サマーズがブルームバーグTVで改めて日本製鉄のUSスチール買収を支持する発言を行った。その動画にリンクしたツイートでサマーズは以下のように述べている。 There is no legitimate national security or reason…

資本流出規制:新たな実証結果と理論的枠組み

というNBER論文が上がっている(ungated(IMF)版)。原題は「Capital Controls on Outflows: New Evidence and a Theoretical Framework」で、著者はRoberto Chang(ラトガース大)、Andrés Fernández(IMF)、Humberto Martinez(チリ大)。 以下はその要旨…

インフレと国債のコンビニエンスイールド

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Inflation and Treasury Convenience」で、著者はAnna Cieslak(デューク大)、Wenhao Li(南カリフォルニア大)、Carolin Pflueger(シカゴ大)。 以下はその要旨。 Using a century of data, we show …

グラスゴー市銀行の破綻と責任制度改革の論拠

というLSE論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「The City of Glasgow Bank failure and the case for liability reform」で、著者はCharles Goodhart(LSE)、Natacha Postel-Vinay(同)。 The City of Glasgow Bank failure in 1878, which led …

限定的なCIP裁定の下での為替相場の決定

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Exchange Rate Determination under Limits to CIP Arbitrage」で、著者はPhilippe Bacchetta(ローザンヌ大)、J. Scott Davis(ダラス連銀)、Eric van Wincoop(…

マークアップ:サーチ理論からの観点

マークアップ関係のNBER論文をもう一丁。以下は、Guido Menzio(NYU)による表題の論文(原題は「Markups: A Search-Theoretic Perspective」、ungated版へのリンクがある著者のページ)の要旨。 I derive a formula for the equilibrium distribution of ma…

マークアップとマークダウン

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Markups and Markdowns」で、著者はChad Syverson(シカゴ大)。 以下はその要旨。 Interest in market power has recently surged among economists in many fields, well beyond its traditional home…

米国の財政問題の国際的な波及

というNBER論文が上がっている。原題は「International Spillovers of U.S. Fiscal Challenges」で、著者はJoshua Aizenman(南カリフォルニア大)、 William Eldén(リンショーピング大学)、Yothin Jinjarak(アジア開発銀行)、Salah Uddin(リンショーピ…

はたらくタスク:比較優位、技術、および労働需要

というNBER論文をアセモグルらが上げている(ungated版)。原題は「Tasks At Work: Comparative Advantage, Technology and Labor Demand」で、著者はDaron Acemoglu(MIT)、Fredric Kong(同)、Pascual Restrepo(イェール大)。 以下はその要旨。 This c…

コロナ禍後のインフレの要因

というNBER論文が上がっている(ungated(ECB)版)。原題は「The Drivers of Post-Pandemic Inflation」で、著者はDomenico Giannone(IMF)、Giorgio Primiceri(ノースウエスタン大)。 以下はその要旨。 Post-covid inflation was predominantly driven by…

気候変動への企業の適応

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Firm Adaptation to Climate Change」*1で、著者はArti Grover(世銀)、Matthew E. Kahn(南カリフォルニア大)。 以下はungated版の要旨。 How firms in the developing world adapt to changes in we…

相互主義と中国ショック

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Reciprocity and the China Shock」で、著者はChad P. Bown(ピーターソン国際経済研究所)、Lorenzo Caliendo(イェール大)、Fernando Parro(ロチェスター大)、Robert W. Staiger(ダートマス…

気温の地域への影響に光を投じる

というIMF論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Shedding Light on the Local Impact of Temperature」で、著者はDa Hoang、Duong Trung Le、Ha Nguyen、Nikola Spatafora(Duong Trung Leは世銀、他はIMF)。 以下はその要旨。 We use a new data…

問題は相対需要だよ、馬鹿者!

とまでは言っていないが、クルーグマンがパウエルFRB議長のジャクソンホール講演を引きながら、インフレに関する自分の見解を改めてまとめた連ツイを立てている。 Today Powell more or less endorsed the Long Transitory view of inflation. And I thought…

コロナ禍のロックダウン中における短期の雇用補助の長短期の効果

というNBER論文が上がっている。Munich Research Institute for the Economics of Aging and SHARE Analysesというマックスプランク研究所の関係機関*1がまとめたもので、著者はその機関ないしマックスプランク研究所の研究者である。ungated版もそちらのサ…

ラムゼープランの導入

というNBER論文をトーマス・サージェントらが上げている(ungated版)。論文の原題は「Implementing a Ramsey Plan」で、著者はWei Jiang(香港科技大)、Thomas J. Sargent(NYU)、Neng Wang(長江商学院*1)。 以下はその要旨。 Lucas and Stokey (1983) …

オペレーション・ワープ・スピードはコロナワクチン以外のイノベーションを加速する手本となり得るか?

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Can Operation Warp Speed Serve as a Model for Accelerating Innovations Beyond COVID Vaccines?」で、著者はArielle D'Souza(Institute for Progress*1), Kend…

準備資産競争と世界財政循環

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Reserve Asset Competition and the Global Fiscal Cycle」で、著者はZhengyang Jiang(ノースウエスタン大)、Robert J. Richmond(NYU)。 以下はその要旨。 Governments tend to increase thei…

税負担の変則性

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者のページ)。原題は「Tax Incidence Anomalies」で、著者はYoussef Benzarti(UCサンタバーバラ)。 以下はその要旨。 This paper reviews the literature on the incidence of consumption and…

双方向の範囲の経済

というNBER論文が上がっている(昨年6月時点のWPへのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Bilateral Economies of Scope」で、著者はYao Amber Li(香港科技大学)、Sichuang Xu(香港中文大学(深圳))、Stephen Yeaple(ペンシルベニア州立大)、T…

世界覇権と法外な特権

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Global Hegemony and Exorbitant Privilege」で、著者はCarolin Pflueger(シカゴ大)、Pierre Yared(コロンビア大)。 以下はその要旨。 We present a dynamic two…

クラウドコンピューティングとAIの業界動向と集中度への影響

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「The Impact of Cloud Computing and AI on Industry Dynamics and Concentration」で、著者はYao Lu(清華大)、Gordon M. Phillips(ダートマス大)、Jia Yang(清華大)。 以下はその要旨。 We …

ハリスさんは経済学者がご入用なのではないかな

マンキューが、「マンキュー「カマラ・ハリスに投票するけどさぁ・・・」 - himaginary’s diary」で紹介したエントリの続きのような表題のブログエントリ(原題は「Maybe Ms. Harris needs some economists」)を上げている。 The response to the rollout o…

外貨準備の需要(と供給)の急増のマクロ金融にとっての意味合い

というNBER論文が上がっている。原題は「Macro-Financial Implications of the Surging Global Demand (and Supply) of International Reserves」で、著者はEnrique G. Mendoza(ペンシルベニア大)、Vincenzo Quadrini(南カリフォルニア大)*1。 以下はそ…

産業政策としての妨害行為

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Sabotage as Industrial Policy」で、著者はJin Liu、Martin Rotemberg、Sharon Traiberman(いずれもNYU)。 以下はその要旨。 We characterize sabotage, exemplif…