2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

しゃべれども しゃべれども

昨日のエントリで取り上げたFT Alphaville記事が時間軸政策の関連記事としてGavyn Daviesにリンクしていた。DaviesもBuiterと同様、現在のFRBの時間軸政策には懐疑的であり、特に今回の量的緩和縮小見送りを批判している。 以下はそのエントリの結語部分。 T…

時間軸政策:新しい瓶に詰めた古いワインやチープトークを超えられるか?

と題したレポートをシティグループ調査本部のWillem Buiterが書き、FT Alphavilleが紹介している(H/T 本石町日記氏のツイート)。原題は「Forward Guidance: More than Old Wine in New Bottles and Cheap Talk?」。同レポートの結論部の冒頭でBuiterは、時…

季違いピエロ

リーマンショックによる米国雇用統計の季節調整の歪みはかねてから指摘されており、日本語でぐぐってみても関連記事が多数見つかる(例:みずほ総研レポート、ECOLOG記事)*1。また、9/24付けブルームバーグ記事が紹介しているように、FT Alphavilleも以前か…

この夏のdis金融緩和

ここで紹介したように、昨夏に金融緩和の弊害を警告するダラス連銀WPを書いたOECD経済開発検討委員会議長のウィリアム・R・ホワイトが、今夏も同様の趣旨のダラス連銀WPを書いている(H/T 本石町日記氏ツイート)。論文のタイトルは「Is Monetary Policy a S…

FRBの大規模資産購入計画は企業の信用リスクにいかなる影響を与えたか

という論文をボストン大のSimon GilchristとFRBのEgon Zakrajˇsekが書いている。原題は「The Impact of the Federal Reserve’s Large-Scale Asset Purchase Programs on Corporate Credit Risk」。 以下はその要旨。 Estimating the effect of Federal Reser…

開放経済の枠組みにおいてインフレ目標は機能するのか?

という論文「Is Inflation Targeting Operative in an Open Economy Setting?」をユタ大学のEsteban Pérez CaldenteyとMatías Vernengoが書いている。 以下はその要旨。 The justification for inflation targeting rests on three core propositions. The f…

牛の存続は資本主義の中心的な教義を否定するのか?

という奇妙なタイトルの論文がNBERに上がっている(ungated版)*1。原題は「Continued Existence of Cows Disproves Central Tenets of Capitalism?」で、著者はSantosh Anagol(ペンシルベニア大)、Alvin Etang(イェール大)、Dean Karlan(同)。 以下は…

銀行破綻は生産に悪影響を与えるか?

について調べたNBER論文をFT Alphavilleでイザベラ・カミンスカが紹介している。論文のタイトルは「Bank Failures and Output During the Great Depression」で、著者はハーバードのJeffrey A. MironとMITのNatalia Rigol。 以下はその要旨。 In response to…

非政治化された数学のせいで経済学は駄目になった

というブログ記事をヘリオットワット大学のファイナンス数理学者ティム・ジョンソン(Tim Johnson)が自ブログ「Magic, maths and money/The relationship between science and finance」に書き、Economist's Viewでリンクされたほか、Gavin Kennedyが紹介し…

ロシアの経済発展にスターリンは必要だったのか?

という論文がNBERに上がっている(ungated版はこちら)。原題は「Was Stalin Necessary for Russia's Economic Development?」で、著者はAnton Cheremukhin(ダラス連銀)、Mikhail Golosov(プリンストン大)、Sergei Guriev(ロシア・ニュー・エコノミック…

水圧式ケインズ経済学が焦点を当てたこと

クルーグマンが9/13エントリで水圧式ケインズ経済学と伝統的ケインズ経済学を同一視するような記述をしたのに対し、EconospeakでJim Devineが異議を唱えている。 彼はまず、水圧式ケインズ経済学とニューケインジアン経済学の違いを以下のようにまとめている…

応用計量経済学者が覚えておくべき10のこと

についてDave Gilesが書いている。以下はその十項目。 常に、とにかく常に、データをプロットせよ。 データの質がデータの量と同程度以上に重要であることを肝に銘じよ。 「この結果は経済的/常識的に意味があるか?」と常に自問せよ。 得られた「統計的に…

コント:ポール君とグレッグ君(2013年第6弾)

昨日のエントリで、経済の自律的均衡に関するマイク・コンツァルの論説にクルーグマンが反応し、3つのエントリを起こしたと書いたが、その真ん中の9/9エントリにロバート・マーフィーが自ブログで噛み付き、マンキューがすかさずそのマーフィーのエントリに…

経済を停滞させるライセンス?

昨日紹介した経済の自律的均衡を巡る議論の発端になったWaPo論説で、マイク・コンツァルは1935年のケインズのThe New Republic掲載の小論(デロングブログでの引用*1)「A Self-Adjusting Economic System」から以下のような抜粋を行っている。 In it, Keyne…

新旧ケインジアンと経済の自律的均衡

マイク・コンツァルのWaPo論説を機に、経済は自律的に均衡するのか、という話題がブロゴスフィアで一頻り盛り上がった。その中でNick Roweが、オールドケインジアンの45度線モデルとISLMモデル、およびニューケインジアンモデルという3種類のモデルを取り上…

機能する金融政策ルール:強力な新証拠

と題した自ブログエントリで、ジョン・テイラーが以下の表を示している(原題は「A Monetary Policy Rule That Works: Powerful New Evidence」)。 ここで表の1列目がFRBがテイラールールを守っていた期間、2〜3列目が守っていなかった期間(=裁量的金融政…

宗教と民主化

昨日に続き、UDADISIブログ経由の宗教ネタの論文を紹介する。 以下はスウェーデンはゴッテンブルグ大学政治学科The Quality of Government InstituteのBo RothsteinとRasmus BromsのJournal of Institutional Economics掲載論文「Governing religion: the lo…

宗教は生産的か非生産的か?

という論文「Religion: productive or unproductive?」(WP)をUDADISIが紹介している。著者はミシシッピ州立大学のTravis Wisemanとウェストバージニア大学のAndrew T. Young。 以下はその要旨。 In this paper, we investigate the relationships between …

オーストリア学派はなぜ学術誌から冷遇されているのか?

について論じた論文(WPはここ)をUDADISIが紹介している。論文のタイトルは「Understanding Academic Journal Market Failure: The Case of Austrian Economics」で、著者はScott Alex Beaulier(マーサー大学)とJ. Robert Subrick(ジェームズマディソン…

専門家のインフレ予測から趨勢的インフレ率を抽出できるか?

について研究した論文「Reverse Kalman Filtering US Inflation with Sticky Professional Forecasts」がクイーンズ大学のワーキングペーパーシリーズに上がっている。著者はフィラデルフィア連銀のJames M. Nasonとクイーンズ大学のGregor W. Smith。 以下…

資産価格の周波数分析

について研究した論文がNBERに上がっている(ungated版)。論文のタイトルは「Asset Pricing in the Frequency Domain: Theory and Empirics」で、著者はIan Dew-Becker(デューク大学)、Stefano Giglio(シカゴ大学)。 以下はその要旨。 In affine asset …

経済学部卒が稼げる度合いは州によって違う

という結果を示した論文をUDADISIが紹介している。論文のタイトルは「Geographic Differences in the Earnings of Economics Majors」で、著者はオクラホマ州立大学のJohn V. Wintersとアーカンソー大学のWeineng Xu。 以下はその要旨。 Economics has been …

需要不足を引き起こすのは貨幣の価値の尺度の機能か、それとも交換の媒介の機能か?・補足

昨日のエントリで取り上げた表題の件について、昨年10月30日のサムナーブログへのコメントでBill WoolseyがRoweを支持し、以下のようにその主張をまとめている。 When I read Rowe, it was the MOA determines the _equilibrium_ price level. The MOE is re…

需要不足を引き起こすのは貨幣の価値の尺度の機能か、それとも交換の媒介の機能か?

という点について、昨年の10月(cf. 関連エントリにリンクした当時のMarcus Nunesエントリ)に続き、サムナーとRoweが論争している。以下はサムナーによる両者の意見の違いのまとめ。 ...So I like to imagine a world with a MOE and MOA that are differen…

地価と失業率の関係

について調べた論文がNBERおよびSF連銀のWPシリーズに上がっている。著者はZheng Liu(SF連銀)、Jianjun Miao(ボストン大学)、Tao Zha(アトランタ連銀、エモリー大学、NBER)。 以下はその要旨。 We integrate the housing market and the labor market …

合理的期待を伴わないマクロ経済分析

というNBER論文「Macroeconomic Analysis without the Rational Expectations Hypothesis」をマイケル・ウッドフォードが出し、デロングも取り上げている。 以下はその要旨。 This paper reviews a variety of alternative approaches to the specification …

中央銀行は自らの金利予測の虜となっているか?

について調べた論文「Announcements of Interest Rate Forecasts: Do Policymakers Stick to Them?」をザンクトガレン大学のNikola Mirkovとノルウェー銀行のGisle James Natvikが書いている。 以下はその要旨。 If central banks value the ex-post accurac…

金融政策の効果のセミパラメトリック推定:紐理論再訪

と題されたNBER論文をJoshua D. Angrist(MIT)、Òscar Jordà(SF連銀)、Guido Kuersteiner(メリーランド大学)が書いている。原題は「Semiparametric Estimates of Monetary Policy Effects: String Theory Revisited」。 以下はその要旨。 We develop fl…

フィリップス曲線は健在なり

というNBER論文「The Phillips Curve is Alive and Well: Inflation and the NAIRU During the Slow Recovery」をロバート・ゴードンが書いている。 以下はその要旨。 The Phillips Curve (hereafter PC) is widely viewed as dead, destined to the mortuar…

超過リターンを見てそのファンドを買いたくなるかは人によって違う

という主旨のNBER論文(ungated版はこちら)が出ている。論文のタイトルは「Alpha and Performance Measurement: The Effects of Investor Disagreement and Heterogeneity」で、著者は南カリフォルニア大学のWayne E. Fersonとバッファロー大学のJerchern L…