2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

幸せな場所では自殺が多い〜日本の場合?

本ブログの25日エントリには思わぬほど多くのはてぶを頂いたが、その後、そこで取り上げた研究はライブドアニュースでも紹介され、その記事を元に2chでもスレが立てられた。この問題に対する関心の高さが伺える。また、ayakkaさんからは、日本ではどうなのだ…

ジョー・スティグリッツ対ジョー・ギャニオン

ルーズベルト研究所(Roosevelt Institute)がFRBの将来に関するシンポジウムを開催し、そこで表題の2人が軽くやりあったらしい。同研究所のフェローを務めるマイク・コンツァル(ギャニオンが発言したパネルの司会も務めている)が、その様子を編集して自ブ…

メガネは顔の一部です

Freakeconomicsラジオ版に興味深い話が紹介されている(Mostly Economics経由)。 中国の甘粛省で、オックスフォード大学のAlbert Parkとミネソタ大学のPaul Glewweという2人の経済学者が実験を行った。実験の内容は単純で、視力の悪い小学生1500人に眼鏡を…

IQテストの成績にはモチベーションも重要

という主旨の論文がProceedings of the National Academy of Sciences誌に出版され、サイエンス誌のサイトでその内容が紹介されている(Marginal Revolution経由)。ネット上では既に日本語によるまとめも上がっている。 それによると、著者のペンシルベニア…

ケネディ時代の量的緩和

直近のサンフランシスコ連銀のレポートが、ケネディ政権下の1961年のツイストオペはQE2の先例であった、と述べている。 同レポートではまず、ツイストオペが実施された背景について説明している。それによると、ケネディ新政権下で景気後退に陥っていた米国…

幸せな場所では自殺が多い

という主旨の論文がJournal of Economic Behavior & Organizationに受理されたという。書いたのは、英国のウォーリック大学のAndrew J. Oswald、NYのハミルトン大学のStephen Wu、そしてサンフランシスコ連銀のMary C. DalyとDaniel Wilsonという4人の研究者…

ライアンプランを巡る論争

ポール・ライアン下院予算委員長がまとめた予算削減案が15日に下院で可決された。今月5日には、同案に基づく今後10年間の財政再建見通しが公表されたが、ヘリテージ財団が実施したそのシミュレーションの非現実性について、クルーグマンやEconbrowserのメン…

電力供給問題に関する一愚考

今夏に東日本が直面する電力の供給制約問題に関して、現在計画されているような需要サイドの単純な一律削減策ではなく、価格メカニズムを導入してはどうか、という提言が経済学者よりなされている(cf. ここ)。市場メカニズムの導入という点では確かにいか…

賭博者の誤謬とホットハンドの誤謬

voxeuで、デンマークで毎週実施されるロトのデータを用いて表題の2つの誤謬を実証した研究が報告されている。 ここで ・賭博者の誤謬(gambler’s fallacy) =大数の法則で見られる平均回帰の傾向が少数のサンプルでも観察されるはずだという思い込み ・ホッ…

政府は消費しない、人々が消費するのだ

スティーブン・ランズバーグの月曜日のブログエントリ(邦訳)が各方面から袋叩きに遭っている。Marginal Revolutionのアレックス・タバロックは同エントリを支持しているが、デロング、ノアピニオン氏、クルーグマン、Modeled BehavoirのNiklas Blanchardが…

FRBの金利リスク

についてサンフランシスコ連銀のグレン・ルードブッシュ(Glenn D. Rudebusch)が書いている。彼は、短期金利が上昇した際のリスクと、長期金利が上昇した際のリスクを分けて分析している。 まず、短期金利上昇についてであるが、それは準備預金への付利の上…

不況期には社会的機関への信頼度が下がる

という論文をジャスティン・ウルファーズとベッツィー・スティーブンソンが書いている(Mostly Economics経由)。 以下はその論文の図表。最初の表は、米国における各機関に対する信頼度を調査したアンケートにおいて、高い信頼度を示した比率を失業率で時系…

大恐慌は大躍進だった?

下記の本で、著者の Alexander J. Fieldがそう主張しているという。A Great Leap Forward: 1930s Depression and U.S. Economic Growth (Yale Series in Economic and Financial History)作者: Alexander J. Field Ph.D.出版社/メーカー: Yale University Pr…

新貨幣国定主義をISLMの枠組みで解釈してみると

Nick Roweが新貨幣国定主義(MMT*1)をISLMの枠組みで解釈しようとする興味深い試みを行っている。 彼に言わせれば、多くの理論経済学の論文は数学だらけで見通しが悪いので、(数学の苦手な)彼は、論文の結論からリバースエンジニアリングを行い、モデルを…

ブライアン・カプランの10の教訓・人生篇

Econlogのブライアン・カプランが40になった記念に書き出した40の教訓のうち30をこれまで紹介してきたが、今日は人生篇に相当する最後の10を紹介してみる。 生命は天からの授かり物であり、多々にして益々良し。 「汝の愛するものを 仕事に選べ、 そうすれば…

ブライアン・カプランの10の教訓・政治篇

一昨日、昨日に引き続き、Econlogのブライアン・カプランの教訓を紹介する。今日は政治篇。 有権者は非合理的である。そうでないと信じることもまた非合理的である。 政府は外部性の問題の解決にはならない。政府はむしろ、外部性の問題の最たる例である。 …

ブライアン・カプランの10の教訓・哲学篇

昨日に引き続き、Econlogのブライアン・カプランの教訓を紹介する。今日は哲学篇。 哲学における最大の過ちは、自明のことについて証明を要求すること。ヒュームがその例。 哲学における二番目に大きな過ちは、自明のことを証明しようとすること。デカルトが…

ブライアン・カプランの10の教訓・経済篇

Econlogのブライアン・カプランが8日に40になった記念に、彼が学んだという40の教訓をブログエントリに書き出している。(Modeled Behavior経由)。経済、哲学、政治、人生の4つの分野についてそれぞれ10ずつ挙げているので、今日はその経済篇を紹介してみる…

量的緩和は国際商品価格を下落させた

とサンフランシスコ連銀の調査レポートが報告している(Mostly Economics経由;ブルームバーグでも報じられている)。 その論拠は以下の図。これはFRBが大規模資産買い取り(LSAP=large-scale asset purchases)をアナウンスした日の為替(対円)、エネルギ…

スティーブ・ワルドマンの不平等と金融と経済成長に関する簡単なモデル

一昨日、所得格差が経済成長の継続期間を短くするというIMFの研究を紹介したが、Interfluidityのスティーブ・ワルドマンが、まさにそういったモデルを構築して昨年の1/23エントリで紹介していた(ワルドマンがMMT=新貨幣国定主義を論じた直近のエントリ経由…

サマーズ「DSGEモデルはまるで経済政策の役に立たなかった」

INET(=ソロスの新経済理論研究所)が4/8の晩にブレトンウッズでコンファレンスを開催し、そこでサマーズがそのように述べた、とEconomist's ViewのMark Thomaがtwitterで報告している。http://twitter.com/#!/MarkThoma/status/56525974598193152:twitterh…

経済成長の呪文

IMFのAndrew G. BergとJonathan D. Ostryが、持続的な経済成長のためには格差を拡大させないことが肝要、という主旨の論文を書き、その概要をIMFブログでも紹介している(Economist's View経由)*1。 以下はそのIMFブログからの引用。 Some time ago, we bec…

オペラハウスは質の高い労働者を呼び寄せる

という主旨の論文をミュンヘンのIfo研究所の研究員が書いた(Mostly Economics経由のEconomix経由)。それによれば、質の高い労働者は文化施設の整備された場所に住むことを好むので、オペラハウスのある場所に引き寄せられるとの由。また、そういった地域は…

耐久財は大停滞知らず?

デビッド・ベックワースがタイラー・コーエンの大停滞を裏付ける証拠として、以下のTFP(全要素生産性)の図を2/11エントリで提示した。これを見ると、確かに1973年を境としてTFPが下方に屈曲している。 このベックワースの図を2ヵ月後の今月4日にコーエンが…

ソローになり損なった男

一昨日と昨日に引き続き、IMFのソローインタビューから、気になったトピックを拾ってみる。 経済学の理論では、ほぼ同時に発見したにも関わらず、そのうちの一人の発見者だけが有名になるという事象が時々見られるが*1、ソローの成長理論でも同じことがあっ…

ソローがMITから離れなかった理由

昨日紹介したIMFのソローへのインタビューにおいて、彼がMITを離れなかった理由について以下のように記述されている。 On his return to Harvard in 1945, Solow decided—at Lewis’s suggestion—to study economics, becoming Leontief’s pupil, research as…

内生的成長論に足りないもの

昨日のエントリではIMFセミナーの場でのvoxeuによるロバート・ソローへのインタビューを紹介したが、こちらのサイトではIMF自身によるソローへのインタビューが掲載されている(Mostly Economics経由)。ただし時期は少し前(昨秋)で、場所もソローのMITの…

新たな産業政策を考えるべき時?

先般のIMFコンファレンスにおけるロバート・ソローへのインタビュー記事がvoxeuに掲載されている。その中で産業政策について語っている箇所が興味深かったので、以下に紹介してみる。 Viv: One of the lessons from the crisis has been that unfettered mar…

失業率と投資の相関関係

を巡り、経済ブロゴスフィアで「グラフ戦争(graph fight)」が巻き起こっている。きっかけは、マンキューが3/29エントリでテイラーの1/14エントリの以下の図を取り上げたことにある。それによってテイラーのそのエントリに注目が集まったが、そこで一つの焦…

文部科学省が経済学論争対策に乗り出すことに

文部科学省は、一昨年と昨年に引き続き、日本の経済学の底上げを目指して、大学の経済学部を対象に新たな指導を行うことを決めた。 具体的には、経済学の教育において、スターウォーズシリーズとゴルゴ13シリーズを副読本として追加する。これは、怒りや感…