とサンフランシスコ連銀の調査レポートが報告している(Mostly Economics経由;ブルームバーグでも報じられている)。
その論拠は以下の図。
これはFRBが大規模資産買い取り(LSAP=large-scale asset purchases)をアナウンスした日の為替(対円)、エネルギー、工業用金属の価格変化を描いたものだが(エネルギーと工業用金属はゴールドマンサックスの商品指数のサブインデックスを用いたとの由)、いずれも下落している。そしてその下落率は、今回のQE2では前回をかなり下回ってる。
一般には量的緩和が商品価格上昇の一因になったと言われるが、これはそれに反する結果となっている。その理由は、量的緩和のアナウンスが景気が意外に悪いことを投資家たちに認識させるためではないか、と著者たちは見ている。従って、商品価格の高騰は量的緩和によってもたらされたのではなく、新興国の経済成長といった需給要因ではないか、というのが彼らの見方である。
これに対しMostly EconomicsのAmol Agrawalは、このような超短期の日次データのケーススタディでは、一般に言われる流動性効果を捉えられないのではないか、と疑問を呈している。
ちなみにレポートでは10年国債の利回り変化についても報告しているが、下図の通り、QE1では利回りを下げる効果があったのに対し、QE2ではほとんど影響しなかった(むしろ僅かながら上昇している)という結果になっている。
つまり、QE2における当日価格に対するアナウンスメント効果は、良きにつけ悪しきにつけ、QE1よりは限られたものだった、ということがこのレポートからは伺える。