社会

機械学習は防犯に役立つのに十分なほど銃被害を予測できる

というややSF染みた*1NBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Machine Learning Can Predict Shooting Victimization Well Enough to Help Prevent It」で、著者はSara B. Heller(ミシガン大)、Benjamin Jakubow…

2020-21年のコロナ以外の超過死亡:政策選択の付随的被害か?

というNBER論文をケイシー・マリガンらが上げている。原題は「Non-Covid Excess Deaths, 2020-21: Collateral Damage of Policy Choices?」で、著者はCasey B. Mulligan(シカゴ大)、Robert D. Arnott(Research Affiliates LLC*1)。 以下はその要旨。 Fro…

将来のパンデミックのためのコロナ禍からの7つの金融と貿易の教訓

というIMF論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Seven Finance and Trade Lessons from COVID-19 for Future Pandemics」で、著者は同基金のRuchir AgarwalとGita Gopinath。 以下はその要旨。 Pandemics and epidemics pose risks to lives, soci…

経済統合と民主主義の伝播

というNBER論文が上がっている(ungated版、関連VoxEU記事)。原題は「Economic Integration and the Transmission of Democracy」で、著者はGiacomo Magistretti(IMF)、Marco Tabellini(ハーバード大)。 以下はその要旨。 In this paper, we study if e…

コロナ禍は学校でのいじめとサイバーいじめを共に中断させた

というNBER論文が少し前に上がっている。原題は「The COVID-19 Pandemic Disrupted Both School Bullying and Cyberbullying」で、著者はボストン大のAndrew Bacher-Hicks、Joshua Goodman、Jennifer G. Green、Melissa Holt。 以下はその要旨。 One-fifth o…

ドナルド・トランプのコロナワクチン支持を用いた公衆衛生へのカンフル剤:大規模広告実験

というNBER論文が上がっている。原題は「Using Donald Trump’s COVID-19 Vaccine Endorsement to Give Public Health a Shot in the Arm: A Large-Scale Ad Experiment」で、著者はBradley Larsen(スタンフォード大)、Marc J. Hetherington(ノースカロラ…

世代間の移動性は生まれる前から始まる

また移動性を扱ったNBER論文を紹介。以下は表題のNBER論文(原題は「Intergenerational Mobility Begins Before Birth」[昨年11月時点のungated版]、著者はウィスコンシン大学マディソン校のAnanth SeshadriとAnson Zhou)の要旨。 Nearly 40% of births i…

奴隷解放後の米国黒人の土地保有と経済移動性:40エーカーの重要性に関する新たな実証結果

引き続き移動性を扱ったNBER論文を紹介。以下は表題のNBER論文(原題は「Black Americans’ Landholdings and Economic Mobility after Emancipation: New Evidence on the Significance of 40 Acres」*1、著者はWilliam J. Collins[ヴァンダービルト大]、N…

子供の死亡率の世代間の継続性

前回エントリに続き、世代を超えた格差の継続を取り上げたNBER論文を紹介する。以下は表題のNBER論文(原題は「Intergenerational Persistence in Child Mortality」、著者はUCサンディエゴのFrances R. LuとTom Vogl、ungated版)の要旨。 We study the int…

株式ボラティリティと戦争のパズル

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のサイト)。タイラー・コーエンも取り上げているが、それによると、戦時には株式のボラティリティが33%低下するという。原題は「Stock Volatility and the War Puzzle」で、著者はGustav…

降伏と継戦の得失:簡単な定式化

こちらの細谷雄一氏の論考など、侵略を受けた国が降伏するべきかどうかを巡る最近の議論を読んで、降伏と継戦の得失を何か数式の形で表現できないかな、と考えてみた。以下はその簡単な試み*1。変数を以下のように定義する。 Ns:降伏後に生じる損失*2 p:敵…

ゴロドニチェンコとウクライナ

マンキューがウクライナへの想いを述べたエントリを前回紹介したが、後続エントリで彼は、ゼレンスキー大統領の演説と、Yuriy Gorodnichenkoの2/25付けのエントリに、それぞれ「A powerful speech by Ukraine's president.」「A heartfelt plea from economi…

マンキューとウクライナ

マンキューが「My Heart is Breaking」と題したエントリで、ウクライナと自分の縁と、最近の思いについて書いている。 I was born in New Jersey, grew up in New Jersey, and have spent most of adult life in Massachusetts, but I have always felt a ki…

異議の正当化

昨今の日本のSNSを騒がせているいわゆる「人文系」の騒動をはじめとしたネット上のいがみ合いについてタイムリーかつ示唆的ともいえる表題のNBER論文が上がっている(ungated版)。論文の原題は「Justifying Dissent」で、著者はLeonardo Bursztyn(シカゴ大…

逃げるはトラウマになるが役に立つ

「Forced Displacement and Human Capital: Evidence from Separated Siblings」というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のサイト)。著者はGiorgio Chiovelli(モンテビデオ大)、Stelios Michalopoulos(ブラウン大)、Elias P…

「我々と競争するならば結婚しない」(メアリー・ペイリーと)アルフレッド・マーシャル講演

というNBER論文が上がっている(H/T Mostly Economics)。原題は「“If you compete with us, we shan't marry you” The (Mary Paley and) Alfred Marshall Lecture」で、著者はRohini Pande(イェール大)、Helena Roy(スタンフォード大)。以下はその要旨…

人口動態の時空間の遷移

というNBER論文が上がっている。原題は「Demographic Transitions Across Time and Space」で、著者はfrom Matthew J. Delventhal(クレアモント・マッケナ大)、Jesús Fernández-Villaverde(ペンシルベニア大)、Nezih Guner(バルセロナ自治大)。 以下は…

強情な少女と依存的な少年:子供の時の行動に対する労働市場の報酬の性による違い

というNBER論文が上がっている。原題は「Headstrong Girls and Dependent Boys: Gender Differences in the Labor Market Returns to Child Behavior」で、著者はRobert Kaestner(シカゴ大)、Ofer Malamud(ノースウエスタン大)。以下はその要旨。 The au…

金融危機と政治的過激化:如何に破綻した銀行がヒトラーの権力への道を拓いたか

というBIS論文が上がっている(H/T Mostly Economics)。原題は「Financial crises and political radicalization: How failing banks paved Hitler's path to power」で、著者は Sebastian Doerr(BIS)、Stefan Gissler(FRB)、Jose-Luis Peydro(インペ…

イベルメクチン問題が教えてくれること

Scott Alexanderという有名ブロガー(cf. Slate Star Codex - Wikipedia)によるイベルメクチンのCovid-19への効果のメタ分析をタイラー・コーエンが推奨している。日本語記事では既にgigazineがその概要を紹介している。 そのブログでアレキサンダーは、イ…

共産主義の遺産から黒歴史へ:ルーマニアの場合

という論文(原題は「From a Communist Heritage to an Unwanted Past: The Case of Romania」)をMostly Economicsが紹介している。著者はRicardo ParraとJorge Ferraz(いずれもEstoril Higher Institute for Tourism and Hotel Studies)。以下はその要旨…

揺らぐ正当性:過去の中国における地震の紛争への影響

16日エントリで紹介した中国での日食と反乱の関係に似たテーマを扱った研究として、中国での地震と反乱の関係を扱った表題の論文が出されている(H/T 川口康平さんツイート)。原題は「Shaking Legitimacy: The Impact of Earthquakes on Conflict in Histor…

今も残るスペイン宗教裁判の傷跡

「As one sees shocking pictures from Afghanistan, here is a reminder from Spanish inquisition(アフガニスタンでのショッキングな映像が飛び込んできたが、この記事ではスペインの異端審問を呼び起こしている)」というコメントを添えてMostly Economi…

大都市は今後どうなるのか?

都市に関する論考をもう一丁。歴史家のハロルド・ジェームズが、表題のProject Syndicate論説(原題は「What Next for Great Cities?」)でメガシティについて考察している(H/T Mostly Economics)。彼が言うには、ロンドン、ニューヨーク、香港のような大…

AIの害

というNBER論文(原題は「Harms of AI」)をアセモグルが上げている(ungated版)。以下はその要旨。 This essay discusses several potential economic, political and social costs of the current path of AI technologies. I argue that if AI continues…

日食と革命の記憶:中国についての実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「Eclipses and the Memory of Revolutions: Evidence from China」で、著者はMeng Miao(中国人民大)、Jacopo Ponticelli(ノースウエスタン大)、Yi Shao(北京大)。 以下はその要旨。 Why are certain communities…

パンデミックは社会的地位の(低い人ではなく)高い人の間で最初に拡大する:COVID-19とスペイン風邪の実証結果

という論文にタイラー・コーエンがリンクしている。原題は「Pandemics Initially Spread Among People of Higher (Not Lower) Social Status: Evidence From COVID-19 and the Spanish Flu」で、著者はJana B. Berkessel(マンハイム大)、Tobias Ebert(同…

植民地の罠

というイアン・ブルマのProject Syndicate論説(原題は「The Colonial Trap」)をMostly Economicsが紹介している。以下は引用部の孫引き。 On February 20, 1947, Clement Attlee, the socialist British prime minister, informed parliament that India w…

自由と安全のフロンティア

9/4エントリで取り上げたアレックス・タバロックの豪州批判にタイラー・コーエンも参戦し、「自由と安全のフロンティア(liberty vs. safety frontier)」ないし「自由と生命のフロンティア(liberty vs. lives frontier)」に豪州は乗っていないのではない…

炎上後:1921年のタルサ人種虐殺の経済的影響

ウォッチメンのTVシリーズのテーマともなったタルサ人種虐殺(cf. タルサ人種虐殺 - Wikipedia*1)の経済的影響を取り上げた表題のNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「After the Burning: The Economic Effects of the 1921 Tulsa Race Massacre…