社会

大量移民時代の居住地と同化:民族系のカトリック教会による実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「Enclaves and Assimilation in the Age of Mass Migration: Evidence from Ethnic Catholic Churches」で、著者はRan Abramitzky(スタンフォード大)、Leah Platt Boustan(プリンストン大)、Osea Giuntella(ピッ…

旧ソビエト諸国における若者のメンタルヘルス

というNBER論文が上がっている。原題は「The Mental Health of the Young in Ex-Soviet States」で、著者はDavid G. Blanchflower(ダートマス大)、Alex Bryson(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)。 以下はその要旨。 We report on the wellbeing of t…

経済、遺伝子の幽霊、および早過ぎる死からの脱出

というNBER論文が上がっている(ungated(IZA)版、説明スライド)。原題は「The Economy, the Ghost in Your Gene, and the Escape from Premature Mortality」で、著者はDora Costa(UCLA)、Lars Olov Bygren(カロリンスカ研究所)、Benedikt Graf(Susten…

対面学校教育と少年の暴力

というNBER論文が上がっている。原題は「In-Person Schooling and Juvenile Violence」で、著者はBenjamin Hansen(オレゴン大)、Kyutaro Matsuzawa(同)、Joseph J. Sabia(サンディエゴ州立大)。 以下はその要旨。 While investments in schooling gene…

過去からの学習:歴史教育はどのように極端なイデオロギーへの支持を方向づけるか

というCEPR論文が上がっている(Mostly Economics経由のVoxEU経由、ungated版)。原題は「Learning from the Past: How History Education Shapes Support for Extreme Ideology」で、著者はボッコーニ大のLuca BraghieriとSarah Eichmeyer 。 以下はその要…

なぜ南アジア人ではなく東アジア人が米国の指導的な地位において少ないのか

という2020年のPNAS*1論文をタイラー・コーエンが紹介している。原題は「Why East Asians but not South Asians are underrepresented in leadership positions in the United States」で、著者はJackson G. Lu(MIT)、Richard E. Nisbett(ミシガン大)、M…

トランプ当選に対するアセモグルの反応・その3

前々回エントリで紹介したスレッドで予告された通り、アセモグルがトランプ当選の世界への影響について考察したスレッドを起こしている。 And now on global risks. Trump’s effects will not be confined to within the US borders. He will increase uncer…

トランプ当選に対するアセモグルの反応・その2

前回エントリで紹介したスレッドで予告された通り、アセモグルがトランプの政策について考察したスレッドを起こしている。 What about the economy under Trump? I don’t expect great news for workers, and I see big risks from Trump’s overall agenda, …

トランプ当選に対するアセモグルの反応

がX(ツイッター)に投稿されている(H/T タイラー・コーエン)。前回エントリでクルーグマンとブランシャールの反応と併せて紹介しようかと思ったが、かなりの長文なのでこれで一つのエントリとしてみる。 This is a repost of my original thread about Tr…

変化の風? 母親の労働供給の文化的決定要因

という論文がAEAにアクセプトされている(Mostly Economics経由のVoxEU経由)。原題は「Wind of Change? Cultural Determinants of Maternal Labor Supply」で、著者はBarbara Boelmann(ケルン大)、Anna Raute(ロンドン大学クイーンメアリー校*1)、Uta S…

気候と紛争の経済学の新たな証拠

というNBER論文が上がっている。原題は「New Evidence on the Economics of Climate and Conflict」で、著者はMarshall Burke(スタンフォード大)、Joel Ferguson(同)、Solomon M. Hsiang(同)、Edward Miguel(UCバークレー)。 以下はその要旨。 We su…

25歳時点の人生を想像しよう:ジェンダー規範への従順性とその後の人生の結果

というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン、ungated版)。原題は「Imagine your Life at 25: Gender Conformity and Later-Life Outcomes」で、著者はSreevidya Ayyar(LSE)、Uta Bolt(ブリストル大)、Eric French(ケンブリッジ大)、Corma…

反社会規範

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Anti-social norms」で、著者はLeopoldo Fergusson(ロス・アンデス大)、José-Alberto Guerra(同)、James A. Robinson(シカゴ大)。 以下はその要旨。 Since formal rules can only partially reduc…

マッカーシズム、メディア、政治的抑圧:ハリウッドについての実証結果

というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン、ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「McCarthyism, Media, and Political Repression: Evidence from Hollywood」で、著者はHui Ren Tan(シンガポール国立大)、Tianyi Wang(…

ドナルド・トランプの言葉

というNBER論文が上がっている。原題は「Donald Trump's words」で、著者はNikita Savin(UCLA)、Daniel Treisman(同)。 以下はその要旨。 Donald Trump’s campaign speeches have impressed some and outraged others. Yet relatively little is known a…

トランプ有利という潮目の変化をもたらした19の要因

をタイラー・コーエンが挙げている。以下はその概略。 トランプとそのチームは今や我々がソーシャルメディアの世界に住んでいることを理解していた。民主党のエスタブリッシュメントでそれを理解している人は一部に限られた。 「トランプ主義」の右派は、少…

プラスのアピールと誤った教訓

イアン・ブレマーが、トランプ暗殺未遂事件を受けて流したこちらとこちらの2つのビデオをツイッターで以下のように紹介している。 まず事件後に流したビデオの紹介ツイート。 7/14ビデオ紹介ツイート1 america’s dangerous cocktail: political extremism, d…

マスク強制の対価

というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「Mask Mandate Costs」で、著者はPatrick Carlin(ワシントン州立大)、Shyam Raman(ウィリアムズ大)、Kosali I. Simon(インディアナ大)、Ryan Sullivan(海軍大学院)、Coady Wing(イ…

なぜ在宅勤務は国と人によって違うのか?

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Why Does Working from Home Vary Across Countries and People?」で、著者はPablo Zarate(プリンストン大)、Mathias Dolls(IFO研究所)、Steven J. Davis(スタンフォード大)、Nicholas Bloom(同*…

宥和すべき時、罰すべき時:ヒトラー、プーチン、ハマス

というNBER論文が上がっている(H/T Mostly Economics;ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「When to Appease and When to Punish: Hitler, Putin, and Hamas」で、著者はDavid K. Levine(ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ)、Lee E. …

余儀ない移民と難民:経済的・社会的統合を成功させるための政策

クルド人問題やウクライナからの避難民を受けて日本でもタイムリーになっているテーマを扱った表題のNBER論文が上がっている(ungated版へのリンク)。原題は「Forced Migration and Refugees: Policies for Successful Economic and Social Integration」で…

普通教育は信心深さ、選挙への参加、およびイスラム教政党に投票する傾向に影響するか? イスラム教国の教育改革における実証結果

クルド関係のNBER論文をもう一丁。2013年の表題の論文*1の原題は「Does Secular Education Impact Religiosity, Electoral Participation and the Propensity to Vote for Islamic Parties? Evidence from an Education Reform in a Muslim Country」で、著…

人工国家

前回エントリでクルド問題を取り上げたが、NBER論文でクルドを扱ったものは無いかと検索したところ、直接的なものではないがアレシナ、イースタリーらの2006年の表題の論文が引っ掛かった*1。原題は「Artificial States」で、著者はAlberto Alesina(ハーバ…

クルド人にとっての欧州連合のジレンマ:十分に信頼しないながらも加盟に高い支持

川口市や蕨市のクルド人問題が紛糾しているが、そもそも彼らの大半の出身国であるトルコにおいてクルド人の状況が改善する途は無いのか、と思ってぐぐったところ、2018年4月30日付けの表題の記事(原題は「The European Union Dilemma of the Kurds: High Su…

人工知能導入の最適速度に危害に関する学習はどのように影響するか?

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「How Learning About Harms Impacts the Optimal Rate of Artificial Intelligence Adoption」で、著者はJoshua S. Gans(トロント大)。 以下はその要旨。 This paper examines recent proposals …

防衛的な銃使用は犯罪を抑止するか?

というNBER論文が上がっている。原題は「Does Defensive Gun Use Deter Crime?」で、著者はJohn J. Donohue、Alex Oktay、Amy L. Zhang、Matthew Benavides(いずれもスタンフォード大ロースクール)。 以下はその要旨。 We study the opposing deterrent an…

2020年にアジア系米国人に対する暴力事件は増加したのか? 人種が動機の可能性がある攻撃を測定する新たな手法による実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「Did Violence Against Asian-Americans Rise in 2020? Evidence from a Novel Approach to Measuring Potentially Racially-Motivated Attacks」で、著者はAleksei Knorre(ボストン大)、Britte Van Tiem(ペンシル…

組織犯罪と経済成長:マフィアが浸透した地方自治体による実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Organized Crime and Economic Growth: Evidence from Municipalities Infiltrated by the Mafia」で、著者はAlessandra Fenizia(ジョージワシントン大)、Raffaele…

トランプは良いこともするのか?

サマーズが第二次トランプ政権の危険性について深刻な懸念を表明している。 以下は12/20ツイート。 The @FT's Unhedged asked me about the macroeconomic implications of a second Trump term: When you have a president who challenges the results of e…

航空事故とフォーク定理

今回の羽田の航空事故を巡り、事故の刑事責任の追及が自動車事故などに比べて緩やかなのはやはり納得できない、という声と、今後の安全性のためにはそれが当然、という現在の慣行を支持する主張が改めて持ち上がり、議論になっている。現在の慣行については…