2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

Play it again, SAM

以前のエントリで、「住宅価格の下支えについては、資本注入や資産買い取りに比べると、これまで経済学者から出されている意見もそれほど多くはない」と書き、その数少ない意見の一つとして、マンキューブログやEconomist's viewで紹介されたジンガレス(セ…

株安の主犯は誰?

今週初めまでこれだけ株が下がったと言うことは、やはり本国の相場の下げで損した外国人が資金調達のため手仕舞い売りをしているのだろうか、じゃあ、投資部門別売買動向を見てみよう、とふと思い立った*1。しかし、東証のデータから自分でグラフを作るのも…

世間というもの

麻生首相のホテルのバー通いが問題になっている。同じ麻生でもザリガニ食っていた人とは偉い違いだな、というのはともかく、それに対する世間やメディアの反発と、その反発の低次元さを嘆くブロガー、という構図が個人的には興味深い。 その構図は、妊婦がい…

賭けのリードの法則

昨日はノグラボフォーラムの過去の投稿を拾ってきて紹介したが、その時別の小生の投稿も見付けたので、今日はそれをこちらにアップしてみる。

幼年期の終わりと生産性

一昨日、ケインズの「わが孫たちの経済的可能性」を取り上げた際に、「これってかなりSFちっくな話だったのね」という感想を書いた。 その後、そういえば、SFを題材にして生産性が極端に上昇した場合の思考実験をどこかに書いたことがあったな、と思った…

経済学者と歯医者・続き

昨日はケインズの経済学者と歯医者の比喩を取り上げた論文として、マンキューの論文「The Macroeconomist as Scientist and Engineer」(邦訳:svnseeds氏)を取り上げた。 この論文自体のテーマは、題名の通り、科学としての経済学と工学としての経済学の二…

経済学者と歯医者

経済学者を歯医者に喩えたケインズの言葉があったな、とふと思い出してぐぐってみたら、この小論の締めの言葉だった*1。以前、Hicksianさんが紹介していたのを目にしていたのでタイトルくらいはなんとなく知っていたものの、きちんと読んだことがなかったの…

星岳雄氏とリフレ

昨日のエントリでカバレロ=星=カシャップの「ゾンビ論文」(何か誤解を呼ぶ省略形だな)を取り上げた際に、関連サイトとして池田信夫氏のブログエントリにも触れた。その時、小生がそのエントリにコメントしていたことに気づいた。 前述の論文からすると星…

整合性の狭間に落ちたリーマン

19日のエントリでは、freakonomicsブログにおけるダイアモンド=カシャップの金融危機問題の解説を取り上げた。実はこの二人がそこに解説を書いたのは二回目で、初回は9月18日に書いている。時あたかもリーマンの破綻とAIGの救済という激震の直後で、当然な…

資本注入無用論

月曜日(10/20)の日経の経済教室で、大村敬一早稲田大学教授が、「資本注入で問題解決せず」という題で書いている。相変わらず舌鋒鋭い論説で、面白く読んだ。氏の論点は以下の二つ。 日本の公的資金注入は成功例ではない 最後の注入から主要行が不良債権整…

資本注入と配当

一昨日のエントリで、今回の金融危機に関するダイアモンドとカシャップの解説を取り上げたが、その紹介で彼らが強調した大事な点を書き落としたので、追記しておく。それは、資本注入を受ける銀行が配当を支払い続けるべきではない、という点である。マンキ…

プランB

昨日のエントリでは、米国の銀行の資本注入について取り上げた。そこでは、ダイアモンド=カシャップ=ラジャンの提言も紹介した。その提言は、以下のように締めくくられている。 This plan should be viewed as a stopgap measure. It is possible that the…

コーディネートはこうでねえと

本ブログの12日エントリでマンキューの資本注入案を紹介したが、マンキューブログの12日エントリでは、オースベル(マンキューのプリンストンの同期とのこと)とクラムトンという二人の経済学者によるオークションを活用した資本注入案が紹介されている。本…

地底人とオリビア

クルーグマンの地底人ちっくな最新のNYタイムズコラムのタイトルを見てどこかで聞いたフレーズだな、と思ったら、こちらの歌詞のもじりだったのね。若い人は分からんだろうな・・・と思ったら、最近、そのものずばりのタイトルの曲が出ていたのか。 しかしwik…

国の指導者と官僚

以前のエントリで、一国の経済政策の成否は、トップの性格という属人的なところで決まる部分が大きいと思われるが、そのあたりについて研究があまり進んでいないようだ、という趣旨のことを書いた。 その後、こんな論文を見つけ、その方面の研究がまったくな…

宮沢喜一とヨーダ

宮沢喜一のことが池田ブログのクー氏批判*1の中で取り上げられているのを見て、以前友人に書いたメールのことを思い出した。あまり真面目な話でもないし、スターウォーズシリーズを良く知らない人には意味が分からないだろうし、これからそのシリーズを見よ…

The envelope, please

マンキューのこのブログエントリのタイトルを見て意味がまったく分からなかったが、ぐぐってみてアカデミー賞関連のサイトが数多くヒットしたので漸く理解した。アカデミー賞の司会者のお約束の台詞だったのね。 この台詞の後に封筒を受け取り、開封して、「…

クルーグマン on 資本注入 in 1998・補足

昨日のエントリで予告した通り、今日はクルーグマンのこの小論の数値例部分を少し整理してみる。 資本注入前のバランスシート まずは、例題となった銀行のバランスシート(資本注入前)を図示してみる。ただし、簿価ベースと時価ベースの2通りあり得るので…

クルーグマン on 資本注入 in 1998

たまたまクルーグマンが昔書いたものを見直していて、これを見つけた。ちょうど10年前に、当時の日本政府の銀行への資本注入案について書かれたものである。 読み直してみると(数値例があるので却って読みづらくなっている気もするが*1)、要は、 資本注…

マンキュー on 金融危機対応

今日はマンキューブログから金融危機関係のエントリを3つ取り上げてみる。 Ben. Why didn't you tell me? 本ブログの以前のエントリで、マンキューが今回の金融法案についてあまり意見を発信しておらず、態度を決めかねているようだ、と書いた。その理由が…

経済学と数学

経済学と物理学に関するエントリが続いたが、今日は、経済学者へのインタビュー本の内容をまとめた以前のエントリから、経済学と数学に関する経済学者の意見を抜粋してみる。 Milton Friedman 「新しい皮袋の中の古い酒」(1991)では、今の経済学は、現実の経…

集団訴訟に直面する経済学者?

昨日取り上げたワルドマンのブログエントリだが、それを紹介したEconomist's Viewの方でもコメント欄で面白いやり取りが見られる(ワルドマン自身が応答を書き込んでいる)。 Tom Palley says... The economic theory that the public knows is the ordinary…

経済学者vs物理学者・その3

一昨日と昨日のエントリで、「複雑系」で描写された経済学者と物理学者の20年前の対話について紹介した。今では経済物理学という研究分野もできているので、両者の意思疎通は当時より進んでいるのだろうか? Economist's Viewで紹介されたこのブログエントリ…

素粒子

下記の本の冒頭には 物理学に特別関心を持っている人はもちろん、そうでない一般の人でも「素粒子」という言葉はどこかで聞いたことがあるにちがいない。早い話が、朝日新聞の社会批評欄は「素粒子」と名づけられている。 もちろん素粒子欄の記事の内容と物…

経済学者vs物理学者・続き

昨日引用した「複雑系」から、経済学者と物理学者との対話の部分をさらに引用してみる*1。残念ながら今はこの邦訳は絶版になっているようだが、この対話を紹介した部分は今も読む価値があると思う。 まずは、アローが物理学者が数学に無頓着であることに驚い…

経済学者vs物理学者

昨日、数理物理系出身の経済学者たちにマクロ経済学の真髄を理解しない傾向があるのではないか、という趣旨のことを書いた。そこではichigobbsの「次世代の経済学を考える【行動経済、経済物理、複雑系etc】」スレにかつて小生が書き込んだケインズの言葉を…

金利引き上げと応用物理

一昨日のエントリでは、左派系と市場主義者の銀行の収益モデルに関する奇妙な意見の符合を取り上げた。実は両者は、そもそも金利引き上げを唱える点で意見が一致している。ただ、その裏のロジックはやはり異なっており、左派系は金利所得を通じて庶民を助け…

預金金利引き上げと銀行の行動・続き

昨日のエントリは思ったより反響が大きかった*1。特にmojimoji氏からはブログとブコメで反論を頂いたので、氏の主要論点を3つ取り上げ、それに関する小生の考えを少し整理してみる。 1)枝野案は与謝野案よりひどいか? これに対する小生の答えはYESである…

預金金利引き上げと銀行の行動

米金融問題に気を取られている隙に、日本のブログ界隈では、民主党の枝野議員の発言が思ったより大きな波紋を広げていることを稲葉氏のブログエントリで知った(なお、稲葉氏には弊ブログを氏のはてなアンテナに加えていただいた。ありがたやありがたや)。…

タープの世界・続き

昨日エントリで紹介した2つの記事のうちこれは、29日の下院での金融安定化法案否決の原因は政権側のコミュニケーション不足にあると断じていた。こうした論調にクルーグマンが異議を唱えている。 There’s a reason Paulson et al had such a hard time comm…