2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

オリメンと新規加入メンバーの関係

について調べた論文をEconomic Logicブログが紹介している。といってももちろん娘。やAKBの話ではなく、ユーロ圏の話。 ここで言うオリメンとは、ユーロの初期メンバー12カ国(オーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルラ…

財政支出が自らを賄う時・補足

気がつくと、昨日取り上げたデロング=サマーズ論文の基本的な考え方について、デロング自らが5/28ブログエントリで解説していた。 その(1)〜(3)式、および(9)〜(12)式は、昨日のエントリで整理したものである。即ち*1: 乗数効果(ここでYnは現在のGDPを指…

財政支出が自らを賄う時

デロング=サマーズ論文についてThe Irish Economyブログでエントリが立ったが、そのコメント欄で、エントリを書いたJohn McHaleとデロングのやり取りがあった(Economist's View経由)。 このデロング=サマーズ論文は、1年ほど前にここで紹介したデロング…

米国人が欧州人より働くのは離婚率の高さも一因

という研究結果がvoxeuで報告されている(Mostly Economics経由)。 それによると、米国の労働時間は欧州より30%多いが、両者の労働時間の差の最大の要因は女性だという。未婚、既婚、子供の有無を問わず、欧州の女性は米国の女性より労働時間が短いとの由。…

既に一度起きていたGrexit

5/21付けNYT記事冒頭より(Mostly Economics経由)。 The decision to suspend Greece from the common currency became inevitable when it emerged that Athens had fiddled with the accounts yet again amid chronic economic weakness, forfeiting what…

ウィキペディアは政治的に偏向しているのか?

という点について調べた研究をconversable economistブログが紹介している(Economist's View経由)*1。 以下はconversable economistブログが引用したそのまとめ部分。 To summarize, the average old political article in Wikipedia leans Democratic. Gr…

巻頭論文は本当に質が高いのか?

という点について調べた研究結果がvoxeuで報告されている(Economist's View経由)*1。 それによると、The European Economic Review (EER)は、一時期(1975〜1997年)、論文の掲載順を最初の著者のアルファベット順にしていたとの由。それを利用して、巻頭…

不況期に学位を取得した経済学者は優秀

という論文がEconomic Logicブログで紹介されている(EconAcademics blog aggregator経由)。 以下はその要旨。 It is well documented that graduates enter different occupations in recessions than in booms. In this article, we examine the impact o…

ビッグマックを買うにはマクドナルドで何分働けば良いか?

昨年アメリカ経済学会会長を務めたオーリー・アッシェンフェルター(Orley Ashenfelter)*1が、今年初めの(おそらくシムズに交替する前の最後の)会長演説で、ビッグマックを用いた賃金の国際比較方法を発表したらしい(ジョン・テイラー経由)。 テイラー…

サミュエルソン=ソローは本当にフィリップス曲線が構造的関係だと主張したのか?

と題したEconomist's Viewエントリで、ロバート・ワルドマンの検証が紹介されている。それによると、サミュエルソン=ソローがフィリップス曲線の安定性を高らかに謳ったとされる1960年の論文では、実際には同曲線の上下へのシフトの可能性が言及されていた…

コスタ・コンコルディアの船長は例外に非ず

こちらのブルームバーグ日本語記事で紹介されているように、海難事故では女性と子供を優先して救助する、という社会的規範が存在し、タイタニックではそれが守られたが、ルシタニアでは沈没に時間的余裕が無かったために守られなかった、という研究が少し前…

軍事独裁政権の成立する確率

について分析した論文がグアテマラのフランシスコ・マロキン大学の経済学部教授Andres MarroquinのブログUDADISIで紹介されている(EconAcademics blog aggregator経由)。 以下は同ブログで紹介された論文の結論部。 In this paper we have analyzed the pr…

レモンがマフィアを生んだ

という説を唱えた記事がvoxeuに上がっている(Mostly Economics経由)。 以下はそこからの引用。 ...Organised forms of crime normally appear only in a small number of localities and then expand through the entire region. It is therefore importan…

欧米が日本の轍を踏むことはない

と欧州中央銀行が月報に書いている(Mostly Economics経由)。 以下はその結論部より。 This article has described several differences both in the causes as well as in the policy response behind Japan’s “lost decade” and the recent crisis in the…

金王朝とオルソンモデル

ブライアン・カプランが公共選択論の試験で以下の問題を出したところ、期待した回答を書いたものは誰もいなかったと言う。 The Kim family has ruled North Korea for three generations. Doesn't the stationary bandit model imply that the country shoul…

議論に勝って勝負に負けつつある景気循環論者

2年ほど前に、小生は本ブログで以下のようなことを書いた。 …おそらく当初は皆バブル崩壊に伴って生じた需要不足という見方で概ね一致していたのだろうが、不況が長引くにつれ「いや待てよ、これだけ長引くならば単なる一時的な需要不足の問題ではないだろう…

ジェフリー・サックスの地獄への道?

ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(MVP)の成果を誇ったジェフリー・サックスらの報告論文に、基礎的な計数誤りがあると世銀ブログで指摘されている(EconAcademics blog aggregator for economics research経由のDevelopment Therapy: Chapter II : Is J…

十代の出産はその後の人生の経済的困窮を招くか?

というテーマについて書かれた論文の概要を、その論文が掲載されたJournal of Economic Perspectives誌の編集長(managing editor)であるTimothy Taylorが、自ブログConversable Economistで紹介している(Economist's View、Econlog経由)。 結論から先に…

需要の変動が生産に与える影響が一時的なものである理由

についてロバート・ワルドマンが考察している。 経済学者は、需要の変動が生産に与える影響は一時的なものであるという前提のもとに 金融政策は長期的にはインフレにしか影響しないので、インフレ目標政策が望ましい。 DSGEモデルは重要かつ有用であり、マク…

大恐慌時の金本位制と現在のユーロとの違い

についてアイケングリーンがProject Syndicateに書いている(Economist's View経由)。以下は彼の挙げる当時と現在の相違点で、これらの違いによりユーロは金本位制と同じ運命を辿らずに存続できるかもしれない、と彼は言う。 単一の中央銀行 考え方の異なる…

なぜ伊プロサッカーリーグでは外国人選手の方が収入が高いのか?

というテーマについての研究報告がvoxeuに上がっている(Mostly Economics経由)。 それによると、セリエAとBの選手を2000-2008年について調べたところ、外国人選手の方がイタリア人選手より報酬が62%高かったという。ただ、人口統計上の特性(主に年齢のこ…

若い経済学者が産業政策に取り組むべき理由

についてChris Blattmanが、rantと断りつつ書いている(Economist's View経由)。 “You can’t pick winners” is the knee-jerk retort to the mention of anything that even rhymes with industrial policy. I would call it the triumph of ideology over …

竹馬に乗ったナンセンス・続き

6日に紹介したラグラム・ラジャンのフォーリン・アフェアーズ論文を巡る議論について、タイラー・コーエンがエントリを上げている。 そこで彼は、自分とマンキュー以外のラジャン論文支持派としてジョン・コクランとNYTコラムニストのDavid Brooks*1を挙げて…

盗まれた街・続き

5日に紹介したジェームズ・ハミルトンへの批判に対し、ハミルトンが反論した。 以下、簡単なまとめ。 デロングへの反論 今日の準備預金が将来に短期国債ではなくM1になるならば、今日においても短期国債と準備預金が等価ではなくなる、というデロングの主張…

デュエリスト

5/2エントリで紹介した話の後日談をジャスティン・フォックスが書いていた(クルーグマン経由)。 フォックスは4/27付けハーバードブログ記事で、技術革新の停滞を憂い、デジタル技術の発達だけでは不十分だと論じたのだが、そのコメント欄では、フォックス…

竹馬に乗ったナンセンス

ラグラム・ラジャンのフォーリン・アフェアーズ論文が物議を醸している。 賛成派では、タイラー・コーエンが「Every paragraph of his piece is excellent」という賛辞を添えて引用しているほか、マンキューが「A wise essay by Raghu Rajan」として同論文に…

盗まれた街

Econbrowserのジェームズ・ハミルトンの5/2エントリが市場マネタリストからフルボッコにされている。 そのエントリの内容を大雑把にまとめると以下の通り。 FRBによる長期債購入は、財務省が長期債の発行額を減らして短期債の発行額を増やすのと等価*1。 4週…

英国は需要不足に陥っているのか?

という議論が一頻りブロゴスフィアの一角を賑わせた。議論のきっかけは、リチャード・ウィリアムソン(Richard Williamson)という英国人ブロガー*1の疑問をタイラー・コーエンがMarginal Revolutionに掲載したことにある。そこでウィリアムソンは、英国はデ…

ブログと学者としての業績

に関する欧米ブロガーの考察については、本ブログでもこれまでここ、ここ、ここ、ここで取り上げてきたが、このクロニクル記事を機にそのテーマがまた少しブロゴスフィアで話題になっている。書いたのは英オープン大学教育工学教授のMartin Weller。 以下は…

インターネットが技術革新を阻害している

SF作家のニール・スティーヴンスンがMITでの講演でそう述べたという。ジャスティン・フォックスの報告によると: A hundred years from now, he said, we might look back on the late 20th and early 21st century and say, "It was an actively creative s…