十代の出産はその後の人生の経済的困窮を招くか?

というテーマについて書かれた論文の概要を、その論文が掲載されたJournal of Economic Perspectives誌の編集長(managing editor)であるTimothy Taylorが、自ブログConversable Economistで紹介しているEconomist's ViewEconlog経由)。


結論から先に言ってしまうと、そもそも十代で出産するような女性は既に人生の低所得者コースを辿ることが決まってしまっており、出産自体がその後の人生に違いをもたらすことはない、とのことである。


もちろん十代の妊娠についてはランダム化された実験計画を実施するわけにはいかないので、この論文のサーベイで取り上げられているこれまでの研究においては、以下の4種類の比較分析が実施されてきたとの由。

  1. 子供を持った年齢の違う姉妹の比較
  2. 同様の家族背景を持つ、流産した人と無事出産できた人の比較
  3. 同様の家族背景を持つ、初潮年齢の異なる人同士の比較(∵初潮が早い人は妊娠する確率が高い)
  4. 十代で妊娠する可能性を測定した尺度を作成し、同様の尺度の人同士について、出産した人としなかった人を比較

そして、いずれの実証分析においてもあまり差が見られなかったことから、上記の結論が得られたという。


論文ではまた、この結果から、避妊や禁欲を指導するよりは、社会から取り残されないようにすることが彼女たちの人生にとって重要、という(ある意味平凡な)教訓を導き出している。