2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

アーサー・バーンズの亡霊

というProject Syndicate論説をスティーブン・ローチ(Stephen S. Roach)が書いている(原題は「The Ghost of Arthur Burns」、H/T Mostly Economics)。全体の内容についてはThe Financial Pointerさんが上手に要約されているが、景気循環の大家であったバ…

マラドーナはミニマックスをプレーしていた

というLSEのIgnacio Palacios-Huertaの論文(原題は「Maradona Plays Minimax」)をタイラー・コーエンが紹介している。 以下は論文本文からの引用。 Consider the simplest version of a penalty kick: a 2 × 2 model of players' actions where m = {L, R}…

致死的な差別:職場の安全にとって「消失女人」が持つ意味

というNBER論文が上がっている。原題は「Deadly Discrimination: Implications of "Missing Girls" for Workplace Safety」で、著者はZhibo Tan,(IMF)、Shang-Jin Wei(コロンビア大)、Xiaobo Zhang(北京大)。 以下はその要旨。 We examine an indirect…

パンデミック時の政策介入は技術的解決と組み合わせてこそ意味がある

という主旨のNBER論文「Behavior and the Dynamics of Epidemics」をUCLAのAndrew Atkesonが上げている*1。以下はその要旨。 I use a model of private and public behavior to mitigate disease transmission during the COVID pandemic over the past year…

デット・オーバーハングは金融危機での家計の支出削減をもたらしてはいない

と主張したNBER論文をスヴェンソンが2週連続で上げている。1週目の「Household Debt Overhang Did Hardly Cause a Larger Spending Fall during the Financial Crisis in Australia」はオーストラリアについての分析で、2週目の「Household Debt Overhang Di…

大規模ワクチン接種中の州全体の活動再開:移動、公衆衛生、および経済活動に関するテキサスの実証結果

COVID-19に関する実証研究を精力的に行っているDave=Sabia*1が、今度はワクチン接種下の再開政策の影響を調べた表題のNBER論文を上げている。原題は「Statewide Reopening During Mass Vaccination: Evidence on Mobility, Public Health and Economic Acti…

クレジット・ホライゾン

というNBER論文を清滝=ムーアらが上げている(ungated版)。論文の原題は「Credit Horizons」で、著者はNobuhiro Kiyotaki(プリンストン大)、John Moore(エジンバラ大)、Shengxing Zhang(LSE)。 以下はその要旨。 Entrepreneurs appear to borrow lar…

財政赤字ギャンブルの得失

前回エントリで取り上げたマンキューらの財政赤字ギャンブル理論は、その後の経済学の展開を踏まえた現在の観点からすると、以下の2点で考慮不足があるように思われる。 増税によって成長率が下がり、債務GDP比率が想定ほど改善しない、ないし、むしろ悪化す…

財政赤字ギャンブル再訪

マンキューがブログで、「四半世紀後、依然として重要で、おそらくはより重要になっている(Still relevant, maybe more relevant, after a quarter century.)」というコメントを添えて、MarketWatchの記事(注:無料閲覧回数に上限あり)にリンクしている…