2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ミネアポリス連銀の調査部門で何が起きているのか?

11/23エントリで触れたミネアポリス連銀の粛清騒動について、デロングがエコノブロゴスフィアの反応を自ブログでまとめている。ただ、そこでデロングがリンクした5つのエントリのうち、3つはむしろ粛清された側の非を問う内容になっており、追放ないし異動さ…

プロテスタンティズムと起業家精神

マックス・ウェーバーのプロ倫を巡る研究は本ブログでも何度か紹介したことがあったが(eg.ここ)、また新しい研究をUDADISIが紹介している。論文のタイトルは「Religious Beliefs and Entrepreneurship Among Dutch Protestants」で、著者はエラスムス大学…

投資減税の効果

について調べた実証論文をOwen Zidarが紹介している(Economist's View経由)。論文のタイトルは「Do Financial Frictions Amplify Fiscal Policy? Evidence from Business Investment Stimulus」、著者はハーバード大のErik ZwickとJames Mahonで、リクルー…

3つの時間軸政策

PIMCOのRichard ClaridaとSaumil H. ParikhがFRBの時間軸政策を3種類に分類している(H/T Mostly Economics): カレンダーベースの時間軸政策 2011/8〜2012/12のFOMC声明 指標ベースの時間軸政策 2012/12〜現在のFOMC声明 最適管理の時間軸政策 ジャネット…

コント:ポール君とグレッグ君(2013年第10弾)

クルーグマンがマンキューのNYT論説に正面から反応した。 グレッグ君 FRBの出口戦略に関する僕の日曜NYT論説はこちら。 ポール君 初めてのことではないが、ディーン・ベーカーがグレッグ君に苛立っている。グレッグ君がFRBの出口戦略が近付いているかもしれ…

経済学者の虜を防ぐには

という論文をルイジ・ジンガレスが書いている(H/T UDADISI)。原題は「Preventing Economists’ Capture」。 以下は冒頭の段落。 When economists talk about regulatory capture, they do not imply that regulators are corrupt or lack integrity. In fac…

消費ギャップと生産ギャップ

16日エントリで紹介したコクランのブログエントリを巡る論争に関連して、Stephen Williamsonが自ブログでエガートソン=クルーグマン論文について改めて評価を下している。彼は論文の概要を紹介した上で、ニューケインジアンモデルの需給ギャップの“問題”を…

キーホー追放要因としての合理的期待

11/9エントリで紹介したサイモン・レン−ルイスの合理的期待仮説擁護について、デロングがWCEGブログで以下のようにコメントしている。 I will merely point out that it is very very important to know when the assumption of rational expectations is a …

進化するサマーズ

米国は日本型の経済停滞に陥るか、というテーマでのクルーグマンとサマーズ(+デビッド・ローゼンバーグ、イアン・ブレマー)の討論を2年前に紹介したことがあったが、その席でのサマーズの発言をAshok Raoが「The Evolution of Larry Summers」と題した自…

マイナスの実質金利へのマイナスの評価

サマーズの長期停滞論が話題を集めているが、アーノルド・クリングがサマーズの停滞論とタイラー・コーエンの停滞論の違いを以下のようにまとめている(H/T コーエン)。 Cowen’s stagnation story is that the pace of innovation has slowed, resulting in…

ニューケインジアンのチョコレートの箱

引き続きコクランの新旧ケインジアンに関するエントリから、16日エントリの脚注で触れた末尾の段落を引用してみる。 You may disagree with all of this, but that reinforces another important lesson. In macroeconomics, the step of crafting a story f…

聖水論争

16日エントリで紹介したジョン・コクランのエントリでは、財政刺激策を支持するケインジアンを以下のように皮肉っている。 Part of the fashion is to say that all of academic economics is nuts and just abandoned the eternal verities of Keynes 35 ye…

経済学の装いを凝らした応用数学への不真面目なリップサービス

昨日はサイモン・レン−ルイスによるニューケインジアンとオールドケインジアンの止揚(!?)の説明を紹介したが、それに対し(一昨日のエントリに書いた通り)ロバート・ワルドマンが、ニューケインジアンはオールドケインジアンに何ら付加価値をもたらして…

ニューケインジアンとオールドケインジアンに同時になる方法

昨日概要を紹介したジョン・コクランによるニューケインジアンとオールドケインジアンの比較を巡る論争のうち、サイモン・レン−ルイスの反論を紹介する。 コクランは、ニューケインジアンとオールドケインジアンの違いを以下のように端的にまとめている。 Th…

ニューケインジアンとオールドケインジアン

を対比させたジョン・コクランの11/8付けブログ記事が波紋を呼んでいる。その中でコクランは、財政刺激策を支持するオールドケインジアンは経済学ではないが物語を提供する、財政刺激策を支持しないニューケインジアンは経済学だが物語を提供せずブラックボ…

歩くより車を走らせる方が環境に優しい

という主旨のコラムを、カリフォルニア大学アーバイン校ポール・メラージ経営大学院名誉教授であるリチャード・B・マッケンジー(Richard B. McKenzie)がeconlibに書き、それをTim Taylorが取り上げた。 以下はそのコラムの一節。 The food-supply chain in…

通貨キャリートレードのリスクプレミアムの期間構造

についてのNBER論文(ungated版)をHanno Lustig(UCLA and NBER)、Andreas Stathopoulos(USC)、Adrien Verdelhan(MIT and NBER)が書いている。 以下はungated版の要旨。 The returns to the currency carry trade are much smaller at longer maturiti…

欧州についてはクルーグマンは逆神?

タイラー・コーエンが「この論説記事に書かれていることすべてに賛成するわけではないが、幾つか良い指摘をしており、いずれにせよこうした視点は経済ブロゴスフィアで十分に表明されていない(I don’t agree with everything in the piece, but it makes so…

伝染としての期待

一昨日紹介したクリス・ディローのブログエントリでは、ジョンズ・ホプキンス大学のChristopher D. Carrollの期待に関する論文にリンクしていた。 以下はその要旨。 Since the foundational work of Keynes (1936) macroeconomists have emphasized the impo…

適応的市場仮説

昨日、クリス・ディローによる合理的期待と適応的期待の折衷案を紹介したが、それは10月22日エントリで触れたアンドリュー・ローのファーマとシラーの折衷案に似ている。そこで、改めてInstitutional Investor記事からローの折衷案を紹介した箇所を引用して…

断続平衡説としての合理的期待

昨日紹介したサイモン・レン−ルイスの合理的期待に関する論考を受けて、クリス・ディローが適応的期待と合理的期待の折衷案を提示している。 以下はそのエントリの末尾。 ... On the one hand, agents sometimes (often) seem to have what Simon calls "nai…

則天去私としての合理的期待

11/7エントリでサイモン・レン−ルイスが、昨日紹介したMark Thomaの合理的期待論に賛意を表すると共に、合理的期待を攻撃する人たちに対する苛立ちを露わにしている。以下はその一節。 Most of the references I make to rational expectations in posts are…

完全な真空としての合理的期待

今年のノーベル賞をとば口に、合理的期待に関してMark ThomaがThe Fiscal Timesに書いている。以下はその概要。 合理的期待革命以前に経済学者が用いていた適応的期待では、期待は過去の情報に基づいてのみ形成されるため、トレンドが変化するという情報が入…

結局のところフィリップス曲線は健在?

という論文をテキサス大学オースティン校のOlivier CoibionとUCバークレーのYuriy Gorodnichenkoが書いている*1。原題は「Is The Phillips Curve Alive and Well After All? Inflation Expectations and the Missing Disinflation」。 以下はその要旨。 We e…

資本所得について研究すべき6つの理由

をUCバークレー院生ブロガーOwen Zidarが挙げている(H/T Economist's View)。 資本所得は国民所得の約25%(労働所得は75%)だが、資本所得の分配は労働所得の分配よりも遥かに不平等である。資本所得の不平等性は貯蓄行動の違いのみならず遺産にも由来する…

動かないコンピュータ・オバマケア篇

とでも言うべき記事をWaPoが掲載し、タイラー・コーエンとマンキューがリンクしている。 以下はその一節。 “They were running the biggest start-up in the world, and they didn’t have anyone who had run a start-up, or even run a business,” said Dav…

古典を学ぶべき理由

昨日紹介したクリス・ディローのエントリは、前日のエントリを受けたものだったが、そちらのエントリでディローは、ガーディアン紙の主流派経済学に対する批判記事を取り上げている。その中で彼は以下のようなことを述べている。 Any economics course that …

forecastとpredictの違い

についてクリス・ディローが考察している。 You might object here that if economics doesn't make forecasts, it can't test its hypotheses against the evidence. This is wrong. We must distinguish between forecasting and predicting. A prediction…

ファーマの前で言ってはいけない禁句

引き続き、Region誌のセイラーインタビューから、ファーマとの議論について触れた箇所を引用する。 Thaler: Well, I think it’s very hard to argue that real estate prices in Phoenix, Las Vegas and south Florida were rational at the peak. Now, Gene…

パームとスリーコムとBMW

引き続きRegion誌のセイラーインタビューから、ファーマとの議論について触れた箇所を引用してみる。当人の口から語られている分、10/23エントリで引用したInstitutional Investor記事よりもビビッドなエピソードが取り上げられている。 Yes, a great story.…