2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

イノベーションの社会的リターンの計算

というNBER論文をサマーズらが上げている(H/T アレックス・タバロック)。原題は「A Calculation of the Social Returns to Innovation」で、著者はBenjamin F. Jones(ノースウエスタン大)、Lawrence H. Summers(ハーバード大)。 以下はungated版の導入…

戦争、社会主義、およびファシズムの勃興:実証追究

アセモグルのNBER論文をもう一丁。以下はDaron Acemoglu(MIT)、Giuseppe De Feo(レスター大)、Giacomo De Luca(ボゼン・ボルツァーノ自由大)、Gianluca Russo(ポンペウ・ファブラ大)による表題の論文(ungated版、原題は「War, Socialism and the Ri…

制度の変化と制度の持続

というNBER論文をアセモグルらが上げている(ungated版)。原題は「Institutional Change and Institutional Persistence」で、著者はDaron Acemoglu(MIT)、Georgy Egorov(ノースウエスタン大)、Konstantin Sonin(シカゴ大)。 以下はその要旨。 In thi…

集団免疫論者は正しかったのか? スペインの事例

前回エントリでタイラー・コーエンの集団免疫効果への懐疑論を紹介したが、コーエンは26日エントリでKbenesという人がmediumに書いた論考をその懐疑論の補強材料として紹介している。 以下はそのKbenesの記事の冒頭。 After a relatively calm early summer,…

集団免疫論者は正しかったのか?

タイラー・コーエンが23日に集団免疫についてMRに長文のエントリを上げている。それによると、スウェーデンやロンドンやNYでは抗体保有者の割合がおよそ20%に達した後に入院者数や死者数が急減した半面、第一波に続く感染拡大の波が最初とは別の地域(マドリ…

人vs機械学習:収益予想の期間構造と条件付きバイアス

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Man vs. Machine Learning: The Term Structure of Earnings Expectations and Conditional Biases」で、著者はJules H. van Binsbergen(ペンシルベニア大)、Xiao Han(エジンバラ大)、Aleja…

COVID-19のワクチンは企業収益にとっても特効薬となるのか?

というテーマを扱ったNBER論文が上がっている。論文のタイトルは「Pandemics, Vaccines and Corporate Earnings」で、著者はHarrison Hong(コロンビア大)、Jeffrey Kubik(シラキュース大)、Neng Wang(コロンビア大)、Xiao Xu(同)、Jinqiang Yang(上…

ベンチャーキャピタリストとCOVID-19

Mostly Economicsが紹介したNBER論文をもう一丁。以下はPaul Gompers(ハーバード大)、Will Gornall(ブリティッシュコロンビア大)、Steven N. Kaplan(シカゴ大)、Ilya A. Strebulaev(スタンフォード大)による表題のNBER論文(原題は「Venture Capital…

平均インフレ目標と家計の予想

Mostly Economicsも取り上げているが、表題のNBER論文をCoibionとGorodnichenkoのコンビらが上げている(ungated版)。原題は「Average Inflation Targeting and Household Expectations」で、著者はOlivier Coibion(テキサス大オースティン校)、Yuriy Gor…

財産権制度の測定

というNBER論文をエドワード・グレイザーとアンドレイ・シュライファーらが上げている(ungated版)。原題は「Measuring Property Rights Institutions」で、著者はSimeon Djankov(ピーターソン研究所)、Edward Glaeser(ハーバード大)、Valeria Perotti…

超感染拡大的なイベントによる感染の外部性:スタージス・モーターサイクル・ラリーとCOVID-19

こちらのエントリなどで紹介した、Covid-19のイベントスタディを精力的に行っている研究者のグループが、今回は表題のNBER論文を上げている。原題は「The Contagion Externality of a Superspreading Event: The Sturgis Motorcycle Rally and COVID-19」で…

パンデミックの訓練:ホラー好きと死や暴力ものが好きな人はCOVID-19パンデミック中に精神的により元気

という「Personality and Individual Differences」掲載予定論文をタイラー・コーエンが紹介している(7月時点の日本語紹介記事1、2、3、4)。論文の原題は「Pandemic practice: Horror fans and morbidly curious individuals are more psychologically res…

スペイン風邪による世界各国のマクロ経済リスク

というECB論文をMostly Economicsが紹介している。論文の原題は「Macroeconomic risks across the globe due to the Spanish Flu」で、著者は同行のRoberto A. De SantisとWouter Van der Veken。 以下はその要旨。 We characterise the distribution of exp…

手法が問題:経済学の因果分析におけるpハッキングと掲載バイアス

というAER掲載予定論文をタイラー・コーエンが紹介している。論文の原題は「Methods Matter: P-Hacking and Publication Bias in Causal Analysis in Economics」で、著者はAbel Brodeur、Nikolai Cook、Anthony Heyes(いずれもオタワ大)。 以下はその要旨…

社会革命と専制体制の耐性

という論文をタイラー・コーエンが紹介している。論文の原題は「Social Revolution and Authoritarian Durability」で、著者はJean Lachapelle(V-dem研究所*1)Steven Levitsky(ハーバード大)、Lucan A. Way(トロント大)、Adam E. Casey(ミシガン大)…

企業の信用リスクを引き受けたFRB:SMCCFの効果の分析

というNBER論文が上がっている。原題は「The Fed Takes on Corporate Credit Risk: An Analysis of the Efficacy of the SMCCF」で、著者はSimon Gilchrist(NYU)、Bin Wei(アトランタ連銀)、Vivian Z. Yue(エモリー大)、Egon Zakrajšek(FRB)。 以下…

コミュニケーションと経済主体の信念

というNBER論文をCoibionとGorodnichenkoのコンビらが上げている(ungated版)。原題は「Communication and the Beliefs of Economic Agents」で、著者はBernardo Candia(UCバークレー)、Olivier Coibion(テキサス大オースティン校)、Yuriy Gorodnichenk…

操作変数を用いたバイナリ回帰変数の分類誤りの修正

というNBER論文が上がっている(昨年末時点のWP)。原題は「Correcting for Misclassified Binary Regressors Using Instrumental Variables」で、著者はSteven J. Haider(ミシガン州立大)、Melvin Stephens Jr.(ミシガン大)。 以下はその要旨。 Estimat…

毛と鄧の下で育って:企業政策のイデオロギー的決定要因について

というフィンランド銀行論文をMostly Economicsが紹介している(著者によるオックスフォード大法学部ブログエントリ)。原題は「Growing up under Mao and Deng: On the ideological determinants of corporate policies」で、著者はHao Liang(シンガポール…

ワシントンコンセンサスは効く

少し前に「ベーカー仮説」というネオリベ的な改革の効能を評価した論文を紹介したが、ワシントンコンセンサスの効能を改めて評価した同趣旨のJournal of Comparative Economics論文をタイラー・コーエンが紹介している。論文のタイトルは「The Washington Co…

雇用における人種分離のコスト:ウィルソン政権下の連邦政府についての実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「The Costs of Employment Segregation: Evidence from the Federal Government under Wilson」で、著者はAbhay Aneja、Guo Xu(いずれもUCバークレー)。 以下はその要旨。 We link personnel records o…

何がCOVID-19株式市場を説明するのか?

というNBER論文が上がっている。原題は「What Explains the COVID-19 Stock Market?」で、著者はJosue Cox(NYU)、Daniel L. Greenwald(MIT)、Sydney C. Ludvigson(NYU)。 以下はその要旨。 What explains stock market behavior in the early weeks of…

有効需要の破綻と金融面の安定化政策の限界

というNBER論文(原題は「Effective Demand Failures and the Limits of Monetary Stabilization Policy」)をマイケル・ウッドフォード(Michael Woodford、コロンビア大)が上げている。以下はその要旨。 The COVID-19 pandemic presents a challenge for …

中銀がコミュニケーションに力を入れると企業の重役はしらける

というのは意訳し過ぎかもしれないが、そういった趣旨のスイス国立銀行論文をMostly Economicsが紹介している。論文の原題は「Does communication influence executives’ opinion of central bank policy?」で、著者はIn Do Hwang(韓国銀行)、Thomas Luste…

ECON-EPIネットワークにおけるパンデミックのコントロール

というNBER論文が上がっている。原題は「Pandemic Control in ECON-EPI Networks」で、著者はMarina Azzimonti(ストーニーブルック大)、Alessandra Fogli(ミネアポリス連銀)、Fabrizio Perri(同)、Mark Ponder(ミネソタ大)。 以下はその要旨。 We de…

COVID-19パンデミック下での金融政策のフォワードガイダンスの有効性の限界

というNBER論文が上がっている。原題は「Limitations on the Effectiveness of Monetary Policy Forward Guidance in the Context of the COVID-19 Pandemic」で、著者はAndrew T. Levin(ダートマス大)、Arunima Sinha(フォーダム大)。 以下はその要旨。…

リモートワークとCOVID-19の雇用と健康への不均一な影響

というNBER論文が上がっている。原題は「Remote Work and the Heterogeneous Impact of COVID-19 on Employment and Health」で、著者はManuela Angelucci(テキサス大オースティン校)、Marco Angrisani(南カリフォルニア大)、Daniel M. Bennett(同)、A…

現代の感染症:マクロ経済への影響と政策対応

というNBER論文が上がっている。原題は「Modern Infectious Diseases: Macroeconomic Impacts and Policy Responses」で、著者はDavid E. Bloom(ハーバード大)、 Michael Kuhn(ウィトゲンシュタイン研究所*1)、Klaus Prettner(ウィーン経済大)。 以下…

治療は疾病よりも悪かったのか? 米国のCOVID-19パンデミックについての郡レベルの実証結果

というNBER論文が上がっている。タイトルはトランプ大統領の言葉を基にしているが*1、原題は「Is the Cure Worse than the Disease? County-Level Evidence from the COVID-19 Pandemic in the United States」で、著者はCatalina Amuedo-Dorantes(カリフォ…

同じ目標、違う経済:インフレの各国比較

というタイトルのレポート(原題は「Same Target, Different Economies: A Cross-Country Analysis of Inflation」)をセントルイス連銀の研究者2人(YiLi Chien、Julie Bennett)が3月に同銀の「Regional Economist」サイトに上げている(Mostly Economist…