統計

選択の単純な検証:操作変数からのさらなる学習

というNBER論文が上がっている(Labour Economics掲載版、2015年時点のWP)。原題は「Simple Tests for Selection: Learning More from Instrumental Variables」で、著者はDan A. Black(シカゴ大)、Joonhwi Joo(テキサス大学ダラス校)、Robert LaLonde…

ローカル予測対VARs:数千のDGPから得られた教訓

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Local Projections vs. VARs: Lessons From Thousands of DGPs」で、著者はDake Li(プリンストン大)、Mikkel Plagborg-Møller(同)、Christian K. Wolf(MIT)。 以下はその要旨。 We conduct a simu…

経済学における実証戦略:原因から結果への経路の解明

MITのヨシュア・アングリスト(Joshua Angrist)が表題(原題は「Empirical Strategies in Economics: Illuminating the Path from Cause to Effect」)の昨年のノーベル賞記念講演をNBER論文として上げている。以下はその要旨。 The view that empirical st…

TSLSが実際にLATEとなるのはどのような場合か?

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「When is TSLS Actually LATE?」で、著者はChristine Blandhol(プリンストン大)、John Bonney(スタンフォード大)、Magne Mogstad(シカゴ大)、Alexander Torgovitsky(同)。 以下はその要旨。 Line…

研究者の自由度と差の差推定の信頼性:コロナ禍対策の評価による実証研究

というNBER論文が上がっている。原題は「Researchers' Degrees-of-Flexibility and the Credibility of Difference-in-Differences Estimates: Evidence From the Pandemic Policy Evaluations」で、著者はJoakim A. Weill(UCデービス)、Matthieu Stigler…

バングラデシュのマスク研究から何を結論すべきか?・再訪

以前、バングラデシュでのマスク着用に関するRCTについて、Ben Rechtによる批判的な検証を取り上げたことがあった。その後、研究者がデータを公開したとのことで、Rechtが公開自体は賞賛しつつも改めてそのデータを批判的に検証している(H/T タイラー・コー…

実効再生産数に波が生じる理由

Philippe Lemoineというコーネルの博士課程にいる研究者が、自らが所属するThe Center for the Study of Partisanship and Ideology(CSPI)という組織のブログに「Have we been thinking about the pandemic wrong? The effect of population structure on …

イベルメクチン問題が教えてくれること

Scott Alexanderという有名ブロガー(cf. Slate Star Codex - Wikipedia)によるイベルメクチンのCovid-19への効果のメタ分析をタイラー・コーエンが推奨している。日本語記事では既にgigazineがその概要を紹介している。 そのブログでアレキサンダーは、イ…

SIRモデルでの実効再生産数の極限は?

以下のツイートを目にして、実際の測定値はともかく、感染モデル上は感染が収まった時に実効再生産数はどうなるのか、という疑問を抱いた。皆さん大事なことなので誤解の内容にお願いします。この数字は感染者数が下がりきると必ず1になります。 https://t.c…

バングラデシュのマスク研究から何を結論すべきか?

バングラデシュでのRCTの結果を基に、マスクはコロナ感染防止に有効である、という報告が出されたが、UCバークレーの機械学習の研究者であるBen Rechtが「Effect size is significantly more important than statistical significance.」と題したブログエン…

操作変数法について有効なt値の推計

というNBER論文が先月上がっている(昨年10月時点のWP)。原題は「Valid t-ratio Inference for IV」で、著者はDavid S. Lee(プリンストン大)、Justin McCrary(コロンビア大)、Marcelo J. Moreira(FGV)、Jack Porter(ウィスコンシン大学マディソン校…

イスラエルのデータをどう解釈すべきか

アンドリュー・ゲルマンやタイラー・コーエンが紹介しているが、ペンシルベニア大学ペレルマン医学部のJeffrey S. Morris生物統計学教授が立ち上げたコロナ関連の特設サイトで、イスラエルの重症者の数字をどう読むべきか解説している。 以下はその概要。 イ…

手法が問題:経済学の因果分析におけるpハッキングと掲載バイアス

というAER掲載予定論文をタイラー・コーエンが紹介している。論文の原題は「Methods Matter: P-Hacking and Publication Bias in Causal Analysis in Economics」で、著者はAbel Brodeur、Nikolai Cook、Anthony Heyes(いずれもオタワ大)。 以下はその要旨…

操作変数を用いたバイナリ回帰変数の分類誤りの修正

というNBER論文が上がっている(昨年末時点のWP)。原題は「Correcting for Misclassified Binary Regressors Using Instrumental Variables」で、著者はSteven J. Haider(ミシガン州立大)、Melvin Stephens Jr.(ミシガン大)。 以下はその要旨。 Estimat…

長期予測回帰のバイアス

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Biases in Long-Horizon Predictive Regressions」で、著者はJacob Boudoukh(IDC ヘルツェリア大)、Ronen Israel(AQR Capital)、Matthew P. Richardson(NYU)。 以下はその要旨。 Analogou…

IHMEモデルの何が問題か?

17日エントリの脚注で触れたようにコーエンはIHME(ワシントン大学保健指標評価研究所)モデルへの批判を展開してきたが、「えへん(ahem)」と題したこちらのエントリでは、ほら見たことか、と言わんばかりにこの問題を取り上げたStatNews記事にリンクし、…

季節調整における異常値処理

こちらのツイートを拝見して、季節調整の異常値処理の意味というのは意外に知られていないんだな、と思い*1、何か良い資料は無いかとぐぐったところニュージーランド統計局のこちらの資料が見つかったので、以下に抜粋してみる。 Within X12-ARIMA, outliers…

分位点回帰モデルにおける従属変数の誤差

というNBER論文が上がっている(3年前のWP)。原題は「Errors in the Dependent Variable of Quantile Regression Models」で、著者はJerry A. Hausman(MIT)、Haoyang Liu(NY連銀)、Ye Luo(香港大)、Christopher Palmer(MIT)。 以下はその要旨。 The…

二重回帰

という論文(原題は「Dual Regression」)をFrancis Dieboldが取り上げ、一般最小二乗法における通常の二次の損失関数を、それと似ているが違うものに変更した論文、と解説している。論文では定式化が正しい場合と間違っている場合について興味深い特性が導…

ランダム化比較試験対回帰不連続デザイン

Francis DieboldがArt OwenとHal Varianの新しい論文「Optimizing the Tie-Breaker Regression Discontinuity Design」にリンクし、そこで使われている手法について以下のように解説している。 Randomized controlled trials (RCT's) are clearly the gold s…

リターンのボラティリティの長期記憶/スケーリング則

Francis Dieboldが、表題のブログエントリ(原題は「Long Memory / Scaling Laws in Return Volatility」)で以下のように書いている。 The 25-year accumulation of evidence for long memory / fractional integration / self-similarity / scaling laws i…

統計学は真実発見の奉仕者ではなく喧嘩の仲裁役

ハモンド・インタビューの昨日エントリで紹介した箇所でフリードマンは、ポパーから大きな影響を受けたことを認めている。しかしその後ポパーは、フリードマンの方法論を道具主義(instrumentalism)としてむしろ批判するようになり、人間的にも寛容さを失っ…

時変的なファクターローディングを持つファクターモデル

Francis Dieboldが表題のエントリ(原題は「Factor Model w Time-Varying Loadings」)で、スタンフォードのMarkus PelgerとRuoxuan Xiongの論文「State-Varying Factor Models of Large Dimensions」にリンクし、自分の以前の研究と関連付けている。 Diebol…

ビッグデータによる経済予測:スパース性の幻想

表題のNY連銀ブログ(原題は「Economic Predictions with Big Data: The Illusion of Sparsity」)で、同じタイトルの研究論文の内容を紹介している。著者はDomenico Giannone(NY連銀)、Michele Lenza(ECB)、Giorgio Primiceri(ノースウエスタン大)。 …

識別は因果関係ではなく、逆も同様

という論文をMarc F. BellemareがMetrics Mondayで紹介している。論文の原題は「Identification Is Not Causality, and Vice Versa」で、著者はミシガン大のR. Jay KahnとToni M. Whited。 以下はその要旨。 We distinguish between identification and est…

ハッピー・アンバースデイ&ノンシグニフィカンス

「Statistical Non-Significance in Empirical Economics」というNBER論文をMITのAlberto Abadieが書いている(ungated版)。 以下はその要旨。 Significance tests are probably the most common form of inference in empirical economics, and significan…

log(x+1)の代わりに何を使うべきか?

Marc Bellemareが表題のMetrics Monday(原題は「What to Do Instead of log(x +1)」)で、ゼロ値の多いサンプルで対数を取りたい場合の対処法として、以下の4つを挙げている。 x=0の観測値は無視してlog(x)を使う xが実験的に割り当てられているならばそれ…

ドジットモデル

Marc BellemareがMetrics Mondayで、順序性の無い選択肢(通勤に自家用車、バス、バイク、徒歩のいずれを使うか、専攻を文科系、科学、ビジネス、工学のいずれにするか、等)を対象とした離散選択モデルについて論じている。 最も一般的なモデルは多項ロジッ…

2段階最小二乗法――予告された殺人の記録?

と題したMetrics Mondayエントリ(原題は「2SLS–Chronicle of a Death Foretold?」)でMarc F. Bellemareが、最近話題になっているというAlwyn Young(LSE)の論文を取り上げている。 The paper is titled “Consistency without Inference: Instrumental Var…

クラスターすべき時、すべきでない時

Metrics MondayでMarc F. Bellemareが、「When Should You Adjust Standard Errors for Clustering?」という論文(著者はAlberto Abadie(MIT)、Susan Athey(スタンフォード大)、Guido W. Imbens(同)、Jeffrey Wooldridge(ミシガン州立大))を取り上…