統計

長期予測回帰のバイアス

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Biases in Long-Horizon Predictive Regressions」で、著者はJacob Boudoukh(IDC ヘルツェリア大)、Ronen Israel(AQR Capital)、Matthew P. Richardson(NYU)。 以下はその要旨。 Analogou…

IHMEモデルの何が問題か?

17日エントリの脚注で触れたようにコーエンはIHME(ワシントン大学保健指標評価研究所)モデルへの批判を展開してきたが、「えへん(ahem)」と題したこちらのエントリでは、ほら見たことか、と言わんばかりにこの問題を取り上げたStatNews記事にリンクし、…

季節調整における異常値処理

こちらのツイートを拝見して、季節調整の異常値処理の意味というのは意外に知られていないんだな、と思い*1、何か良い資料は無いかとぐぐったところニュージーランド統計局のこちらの資料が見つかったので、以下に抜粋してみる。 Within X12-ARIMA, outliers…

分位点回帰モデルにおける従属変数の誤差

というNBER論文が上がっている(3年前のWP)。原題は「Errors in the Dependent Variable of Quantile Regression Models」で、著者はJerry A. Hausman(MIT)、Haoyang Liu(NY連銀)、Ye Luo(香港大)、Christopher Palmer(MIT)。 以下はその要旨。 The…

二重回帰

という論文(原題は「Dual Regression」)をFrancis Dieboldが取り上げ、一般最小二乗法における通常の二次の損失関数を、それと似ているが違うものに変更した論文、と解説している。論文では定式化が正しい場合と間違っている場合について興味深い特性が導…

ランダム化比較試験対回帰不連続デザイン

Francis DieboldがArt OwenとHal Varianの新しい論文「Optimizing the Tie-Breaker Regression Discontinuity Design」にリンクし、そこで使われている手法について以下のように解説している。 Randomized controlled trials (RCT's) are clearly the gold s…

リターンのボラティリティの長期記憶/スケーリング則

Francis Dieboldが、表題のブログエントリ(原題は「Long Memory / Scaling Laws in Return Volatility」)で以下のように書いている。 The 25-year accumulation of evidence for long memory / fractional integration / self-similarity / scaling laws i…

統計学は真実発見の奉仕者ではなく喧嘩の仲裁役

ハモンド・インタビューの昨日エントリで紹介した箇所でフリードマンは、ポパーから大きな影響を受けたことを認めている。しかしその後ポパーは、フリードマンの方法論を道具主義(instrumentalism)としてむしろ批判するようになり、人間的にも寛容さを失っ…

時変的なファクターローディングを持つファクターモデル

Francis Dieboldが表題のエントリ(原題は「Factor Model w Time-Varying Loadings」)で、スタンフォードのMarkus PelgerとRuoxuan Xiongの論文「State-Varying Factor Models of Large Dimensions」にリンクし、自分の以前の研究と関連付けている。 Diebol…

ビッグデータによる経済予測:スパース性の幻想

表題のNY連銀ブログ(原題は「Economic Predictions with Big Data: The Illusion of Sparsity」)で、同じタイトルの研究論文の内容を紹介している。著者はDomenico Giannone(NY連銀)、Michele Lenza(ECB)、Giorgio Primiceri(ノースウエスタン大)。 …

識別は因果関係ではなく、逆も同様

という論文をMarc F. BellemareがMetrics Mondayで紹介している。論文の原題は「Identification Is Not Causality, and Vice Versa」で、著者はミシガン大のR. Jay KahnとToni M. Whited。 以下はその要旨。 We distinguish between identification and est…

ハッピー・アンバースデイ&ノンシグニフィカンス

「Statistical Non-Significance in Empirical Economics」というNBER論文をMITのAlberto Abadieが書いている(ungated版)。 以下はその要旨。 Significance tests are probably the most common form of inference in empirical economics, and significan…

log(x+1)の代わりに何を使うべきか?

Marc Bellemareが表題のMetrics Monday(原題は「What to Do Instead of log(x +1)」)で、ゼロ値の多いサンプルで対数を取りたい場合の対処法として、以下の4つを挙げている。 x=0の観測値は無視してlog(x)を使う xが実験的に割り当てられているならばそれ…

ドジットモデル

Marc BellemareがMetrics Mondayで、順序性の無い選択肢(通勤に自家用車、バス、バイク、徒歩のいずれを使うか、専攻を文科系、科学、ビジネス、工学のいずれにするか、等)を対象とした離散選択モデルについて論じている。 最も一般的なモデルは多項ロジッ…

2段階最小二乗法――予告された殺人の記録?

と題したMetrics Mondayエントリ(原題は「2SLS–Chronicle of a Death Foretold?」)でMarc F. Bellemareが、最近話題になっているというAlwyn Young(LSE)の論文を取り上げている。 The paper is titled “Consistency without Inference: Instrumental Var…

クラスターすべき時、すべきでない時

Metrics MondayでMarc F. Bellemareが、「When Should You Adjust Standard Errors for Clustering?」という論文(著者はAlberto Abadie(MIT)、Susan Athey(スタンフォード大)、Guido W. Imbens(同)、Jeffrey Wooldridge(ミシガン州立大))を取り上…

新発見の統計的有意性のp値の閾値は5%から0.5%に下げよ

と主張する論文が現下の統計学における最もホットなトピック/議論/展開である、としてFrancis Dieboldが紹介している。論文のタイトルはズバリ「統計的有意性の再定義(Redefine Statistical Significance)」で、Nature Human Behaviorに掲載予定との由。…

続・機械学習の時代の理論と測定

前回エントリで紹介したLewbel=Dieboldと真逆の主張をノアピニオン氏が紹介している。 ...I stumbled on this very interesting essay from 2001, by statistician Leo Breiman. Breiman basically says that statisticians should do less modeling and mo…

時系列における回帰不連続とイベントスタディ

と題したエントリ(原題は「Regression Discontinuity and Event Studies in Time Series」)でFrancis Dieboldが、Catherine Hausman(ミシガン大)とDavid S. Rapson(UCデービス)の「Regression Discontinuity in Time: Considerations for Empirical Ap…

共変数と統計的有意性

Marc BellemareがMetrics Mondayで以下のようなことを書いている。 Those of us who do applied work for a living will have at some point noticed that, depending on which variables we include in X on the right-hand side (RHS) of an equation like…

疑似実験法と構造モデルの得失

先月の20日に紹介した計量経済モデル論争をノアピニオン氏も取り上げ、そこでDieboldがG1とG2に分類した問題への取り組み手法(ノアピニオン氏はそれぞれ疑似実験法と構造モデルと呼んでいる)について、概ね以下のようにまとめている。 疑似実験法は通常は…

成功する卒論の回帰分析

昨日紹介したAngrist=Pischke論文にCarola Binderも反応し、その要旨を引用している。 In the 1960s and 1970s, an empirical economist’s typical mission was to “explain” economic variables like wages or GDP growth. Applied econometrics has since…

計量経済学は因果関係の推定のみに非ず

Francis Dieboldが、Joshua D. AngristとJörn-Steffen PischkeのNBER論文に噛み付いている(H/T Economist's View)。 以下は同論文のungated版の一節。 How should changes in our use of econometrics change the way we teach econometrics? Our take on …

固定効果とランダム効果の使い分け今昔

13日エントリでミネソタ大応用経済学部准教授のMarc Bellemareの計量経済学ネタを紹介したが、BellemareはMetrics Mondayと銘打って月曜にこうした計量経済学ネタを上げている(ただし毎週ではない)。直近では固定効果とランダム効果について取り上げ、その…

期間データあれこれ

ミネソタ大応用経済学部准教授のMarc Bellemareがブログで、自分の共著論文を題材に、被説明変数が期間である場合の回帰分析について以下のように書いている(H/T Economist's View)。 The problem with duration data is that they do not look like the c…

ベイズは創造性を殺している?

Francis Dieboldが20年ほど前にベイズ主義の代表的な計量経済学者と意見交換をしていた時、その学者が突然以下のようなことを言ってDieboldを驚かせたという。 There must be something about Bayesian analysis that stifles creativity. It seems that fre…

ベイズの定理はキリスト教の擁護から始まった

というブログエントリにEconomist's Viewがリンクしている。そのエントリは、脳科学とベイズの定理を扱ったノーチラス誌*1のブログ記事の冒頭部を引用したものである。 以下はその冒頭部。 Presbyterian reverend Thomas Bayes had no reason to suspect he’…

機械学習と計量経済学が協力すべき最重要分野

昨日紹介したFrancis Dieboldの3連エントリの2番目にHal Varianがコメントし、Dieboldが指摘した問題――機械学習は因果関係の無い予測に重点を置くが、計量経済学は因果関係のある予測に重点を置く――について自分が以前書いた論文を2篇紹介している。一つは機…

機械学習と計量経済学との違い

についてFrancis Dieboldが3つのエントリに亘って論じている(ここ、ここ、ここ;H/T Economist's View)。 彼が挙げた両者の相違は以下の2点。 機械学習は因果関係の無い予測に重点を置くが、計量経済学は因果関係のある予測に重点を置く。 換言すれば、機…

「すべてのモデルは間違い」の語源

David Glasnerが、ローマーのマクロ経済学批判をとば口に、以下の論陣を張っている。 こうした批判に対する現代マクロ経済学側からのお決まりの反論は、すべてのモデルは間違っている、というものである。その中でも自分たちのモデルはミクロ的基礎付けがな…