2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

FRBのエスケープ・フロム・ニューヨーク

というProject Syndicateコラムをサイモン・ジョンソンが書いている(H/T Mostly Economics)。原題は「The Federal Reserve’s Escape from New York」で、このタイトルはもちろんジョン・カーペンターの有名SF映画「Escape from New York」(邦題は「ニュー…

感謝祭の真実

日本語のWikipediaでは感謝祭の由来は以下のように記述されている: 感謝祭は、イギリスからマサチューセッツ州のプリマス植民地に移住したピルグリム・ファーザーズの最初の収穫を記念する行事であると一般的に信じられている。ピルグリムがプリマスに到着…

経済版ウサギとカメ

にECBとFRB&日銀をPIMCOのHarley Bassmanが準えている(H/T Mostly Economics)。 以下はその冒頭部。 Aesop relays the tale of a hare who ridicules a slow-moving tortoise, who then challenges the hare to a race. The hare soon leaves the tortoise…

年度と暦年の違い

一昨日、本石町日記さんが以下の日経ったーさんのツイートをリツイートされた後、 window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(…

経済学者が独裁者を支持する時

クルーグマンと安倍政権の消費増税延期に関するブルームバーグ記事(原文)やそのブコメを読んで、かつてfinalventさんが訳されたクルーグマンのブログ記事を思い出した。そこでクルーグマンは、ノアピニオン氏の煽り気味の安倍評を受けて、アベノミクスを正…

低い実質金利が長期停滞をもたらす

ということを示した実証論文をオランダ銀行の研究者が書いている。論文のタイトルは「Low real rates as driver of secular stagnation: empirical assessment」で、著者はJan Willem van den EndとMarco Hoeberichts。 以下はその要旨。 We empirically tes…

ソロー「サービス部門の生産性の研究は立ち遅れている」

昨日冒頭部分を紹介したマッキンゼーのソローインタビューから、残りの部分の概要をまとめてみる。 世界で最も優れた経営を行っている先導的な企業と競争することは、自分の経営を優れたものとするだけでなく、規模の経済を得ることにもつながる。というのは…

ソロー「恐怖は経営努力につながる」

「Fear is the path to the dark side. Fear leads to anger. Anger leads to hate. Hate leads to suffering.」というヨーダ師の有名な台詞のもじりのようなタイトルになったが、ロバート・ソローがマッキンゼーの季刊誌McKinsey Quarterly(MQ)のインタビュ…

スヴェンソン「スウェーデンはまだ日本になっちゃいねえ」

引き続きスヴェンソンねた。以下は、以前ここで紹介したリクスバンクの内紛の顛末に関する「Central banks: Stockholm syndrome(中央銀行:ストックホルム症候群)」と題されたFT記事の一節(H/T スヴェンソンのブログとツイート、およびクルーグマンブログ…

スヴェンソンのリクスバンク批判は間違っていない

昨日紹介したスウェーデン・ルンド大学のFredrik N G AnderssonとLars Jonungによる批判に、スヴェンソンが自サイトで猛然と反論している(17日エントリ、20日エントリ、20日エントリでリンクされたメモ;H/T スヴェンソンのツイート)。 Andersson=Jonung…

スヴェンソンのリクスバンク批判は間違っている

という主旨の論文をスウェーデンのルンド大学の2人の研究者が書いている。論文のタイトルは「The Return of the Original Phillips curve?/An Assessment of Lars E O Svensson’s Critique of the Riksbank’s Inflation Targeting, 1997-2012」で、著者はFr…

租税支出を制限して収入を高める方法

というテーマのNBER論文をフェルドシュタインが書いている。以下はその要旨。 Limiting tax expenditures can raise revenue without increasing marginal tax rates. Such a policy is equivalent to reducing government spending now done as subsidies t…

金融政策で高インフレになるリスクは小さい

という主旨のEconomic LetterをSF連銀のVasco Cúrdiaが書いている。 以下はその冒頭部からの引用。 This Economic Letter describes results from a model that explicitly accounts for the different dimensions of monetary policy to quantify the risks…

ある準備通貨の死

という論文がアトランタ連銀のWPシリーズから出ている。原題は「Death of a Reserve Currency」で、著者はStephen Quinn(テキサスクリスチャン大学)、William Roberds(アトランタ連銀)。以下はその要旨。 The Dutch bank florin was the dominant curren…

新マネタリストの新フィッシャー派的結論

昨日紹介したDavid Andolfattoの論考は、最近彼がStephen Williamsonと共著した論文(スライド)が背景にあったようで、Williamsonが自ブログエントリでその論文の概要を紹介している*1。Williamsonによると、論文の結論は以下の通り。 ゼロ金利下限はテイラ…

マネタリストと新フィッシャー派の見解に実質的な差異は無い

とDavid Andolfattoが書いている。 The reconciliation I seek is based on what Eric Leeper has labeled a dirty little secret; namely, that "for monetary policy to successfully control inflation, fiscal policy must behave in a particular, circ…

テイラールールをウェーブレットのレンズで解析する

という論文をポルトガルの研究者が書いている。原題は「Analyzing the Taylor Rule with Wavelet Lenses」で、著者はLuís Aguiar-Conraria(ミンホ大学)、Manuel M. F. Martins(ポルト大学)、Maria Joana Soares(ミンホ大学)。 以下はその要旨。 This p…

失業とイノベーション

というNBER論文をスティグリッツが書いている。以下はその要旨。 This paper analyzes equilibrium, dynamics, and optimal decisions on the factor bias of innovation in a model of induced innovation. In a model with full employment, we show that …

ブレトンウッズを守ろうとして壊した米財務省

NBER論文「Federal Reserve Policy and Bretton Woods」をMichael D. Bordo(ラトガース大)、Owen F. Humpage(クリーブランド地区連銀)が書いている(ungated版、パワポ資料)。 以下はその要旨。 During the Bretton Woods era, balance-of-payments dev…

誰がために壁は倒れた? 資本主義への移行の収支決算・おまけその2

一昨日紹介したブランコ・ミラノヴィッチのエントリについた最初のコメントは、アンドレイ・シュライファーとダニエル・トライスマンのフォーリン・アフェアーズ記事をどう思うか、というものだった。10年前の論文のフォローアップであるその記事に対しミラ…

誰がために壁は倒れた? 資本主義への移行の収支決算・おまけ

昨日紹介したブランコ・ミラノヴィッチのエントリに以下のようなコメントを書いた: 良記事です。しかし、ポアンカレ予想を解いたことも偉大な科学的業績の一つとして数えられるのではないかと思います。あと、アレクサンドル・ニコラエヴィチ・ソクーロフと…

誰がために壁は倒れた? 資本主義への移行の収支決算

というエントリをベルリンの壁崩壊25周年を機にブランコ・ミラノヴィッチが書いている(原題は「For Whom the Wall Fell? A balance-sheet of transition to capitalism」;H/T Mostly Economics)。 そのエントリで彼は、一人当たり実質GDPの購買力平価によ…

ユーロ圏の銀行はもう大丈夫?

ペンシルベニア大ウォートン校のKnowledge@Whartonが、ECBのストレステストに関して同大のRichard J. Herringにインタビューしている(H/T Mostly Economics)。以下はその概要。 今回のストレステストの背景を遡ると、2009年の米国のストレステストに辿り着…

消費税引き上げ論者の簡易モデル

をデロングが以下の3つの方程式で示している*1。 インフレ期待: E(π) = π + δ(rD - σ) フィリップス曲線: π = E(π) + β(u* - u) 金融政策: r = r* + γ(u - u*) + θ(π - π*) ここでE(π)は期待インフレ率、πは現在のインフレ率、rは金利、Dは政府債務、σは…

インフレ目標は政府によるマネタイズ要求を防ぐ砦となり得るか?

10/25エントリでサイモン・レン−ルイスとTony Yatesの論争を紹介したが、その後レン−ルイスがYatesに再反論した(該当エントリはEconomist's Viewやクルーグマンも取り上げている)。 10/25エントリではYatesの考えを インフレ目標のためのヘリコプターマネ…

マクロ経済学者は為替予測で金持ちになれるか?

という論文をバリー・リソルツが紹介している(別サイト)。原題は「Can Macroeconomists Get Rich Forecasting Exchange Rates?」で、著者はMauro Costantini(ブルネル大)、Jesus Crespo Cuaresma(ウィーン経済大学)、Jaroslava Hlouskova(Institute f…

カレツキーの6年の教訓の8つの間違い

ケインズは正しかった、と謳い上げたアナトール・カレツキーのロイターコラム「The takeaway from six years of economic troubles? Keynes was right.」(邦訳「危機後の金融・財政「実験」が告げる教訓=カレツキー氏」)に対し、Tony Yatesが、8つの事実…

小麦粉なきケーキ

Econpspeakでサンドイッチマンが、ダンカン・フォーリー(Duncan Foley)の2012年3月9日付けのEastern Economics Association会長退任演説「Dilemmas of Economic Growth」から引用している。 引用部の冒頭でフォーリーは、経済成長におけるモノやエネルギー…

FRBは量的緩和を逆にやっていた?

というエントリをマイク・コンツァルが書いている。 以下はその冒頭部。 QE3 is over. Economists will debate the significance of it for some time to come. What sticks out to me now is that it might have been entirely backwards: what if the Fed …

アベプットのロールオーバー?

「Your extended Abe put」と題したFT Alphaville記事でイザベラ・カミンスカが、今回の日銀の追加緩和とGPIFの株式投資比率の引き上げに絡んで、Comgest Growth Japan fund*1のポートフォリオ・マネージャーのメモから以下の一節を引用している。 The Gover…