政治

実際の選挙運動におけるポピュリズム感情への抵抗と情報

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Campaigning Against Populism Emotions and Information in Real Election Campaigns」で、著者はCesi Cruz(UCLA)、Julien Labonne(オックスフォード大)、Franc…

グローバルサウスあれこれ

篠田英朗氏の記事をはてぶしたのを契機にグローバルサウスについて少し調べてみたところ、篠田氏と同様、このグローバルサウスという概念に対し否定的な見解を示している西側の識者が幾人かいることが分かった。例えば、 ジョセフ・ナイによるProject Syndic…

国家の地形学

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者のページ)。原題は「The Topography of Nations」で、著者はTreb Allen(ダートマス大)。 以下はその要旨。 How does the interplay of geography and political-economic forces affect the …

これはハマスの罠なのか?・続き

前々回エントリで取り上げた「ハマスの罠」については、ツイッター(X)上でも多くの人が言及している。例えば細谷雄一氏は以下のように述べている。世界の左右を問わず、識者が、イスラエルが軽率に大規模侵攻を開始することが、戦略的にハマスの「罠」には…

これはハマスの罠なのか?

今回のハマスの蛮行は世界を震撼させたが、なぜそこまでの残虐行為を行ったかを考えると、イスラエルにガザ侵攻を余儀なくさせるためではないか、という仮説が一つ考えられる。そこで「Hamas trap」でぐぐってみると、同様の仮説を立てている記事に幾つか行…

不信、誤認、および誤解:不完全情報と紛争動学

というNBER論文をアセモグルらが上げている(ungated版)。原題は「Mistrust, Misperception, and Misunderstanding: Imperfect Information and Conflict Dynamics」で、著者はDaron Acemoglu(MIT)、Alexander Wolitzky(同)。 以下はその要旨。 Buildin…

レジーム変化の経済的帰結:概観

というNBER論文が上がっている。原題は「Economic Consequences of a Regime Change: Overview」で、著者はAssaf Razin(テルアビブ大)、Efraim Sadka(同)。 以下はその要旨。 Regime changes toward autocracy typically reshape the judicial framework…

ポピュリスト指導者と経済

というAER掲載予定論文をタイラー・コーエンが紹介している。原題は「Populist Leaders and the Economy」で、著者はキール世界経済研究所のManuel Funke、Moritz Schularick*1、Christoph Trebesch。 以下は2020年時点のWPの結論部。 Populism is bad econo…

ドミノ分離:米国についての実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Domino Secessions: Evidence from the U.S.」で、著者はJean Lacroix(パリ=サクレ大学)、Kris James Mitchener(サンタクララ大学)、Kim Oosterlinck(ブリュッ…

なぜフォーク定理は最も必要とされている時に働かないように見えるのか?

というNBER論文が上がっている。原題は「Why Does the Folk Theorem Do Not Seem to Work When It Is Mostly Needed?」で、著者はJohann Caro-Burnett(広島大)、Sebastian Galiani(メリーランド大)、Gustavo Torrens(インディアナ大)。 以下はその要旨…

なぜプーチンはウクライナを侵略したのか? 衰退する専制政治の理論

というNBER論文が上がっている。原題は「Why Did Putin Invade Ukraine? A Theory of Degenerate Autocracy」で、著者はGeorgy Egorov(ノースウエスタン大)、Konstantin Sonin(シカゴ大)。 以下はその要旨。 Many, if not most, personalistic dictators…

新古典派メカニズムが不在の時に戦争は協力を促さない! トルコの徴集兵の自然実験による実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「War Does not Foster Cooperation when Neoclassical Mechanisms are Absent! Evidence from a Natural Experiment among Turkish Conscripts」で、著者はArzu Kibris(ウォーリック大)、Resul Cesur(コネチカット…

政府はいつ公式統計を操作するか? 実証分析

というSSRN論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「When Do Governments Manipulate Official Statistics? An Empirical Analysis」で、著者はBruno S. Frey(バーゼル大、CREMA)、Louis Moser(CREMA)、Sandro Bieri(同)。 以下はその要旨。 Ma…

政治的U:民主主義と所得についての新たな実証結果

というiza論文が上がっている(H/T Mostly Economics経由のVoxEUコラム)。原題は「The Political U: New Evidence on Democracy and Income」で、著者はNauro Campos(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)、Fabrizio Coricelli(パリ経済学校)、Marco …

コロナ禍における共和党員と民主党員の超過死亡率

というNBER論文が上がっている。原題は「Excess Death Rates for Republicans and Democrats During the COVID-19 Pandemic」で、著者はイェール大のJacob Wallace、Paul Goldsmith-Pinkham、Jason L. Schwartz。 以下はその要旨。 Political affiliation ha…

何が指導者に国造りへの投資をさせるのか?

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「What Motivates Leaders to Invest in Nation-Building?」で、著者はPaola Giuliano(UCLA)、Bryony Reich(ノースウエスタン大)、Alessandro Riboni(エコール・ポリテクニーク)。 以下はその要旨。…

クルーグマン「日本はまだオワコンではない」

既に日本のツイッターで話題になっているが、クルーグマンが安倍元首相の死に寄せて連ツイを投稿している。 OK, one more shock: the assassination of Japan's former Prime Minister Abe. I have zero to say about what might lie behind it and what it …

国の許容度の計測:理論と抗議への適用

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Measuring the Tolerance of the State: Theory and Application to Protest」で、著者はVeli Andirin(ブラウン大)、Yusuf Neggers(ミシガン大)、Mehdi Shadmehr(ノースカロライナ大チャペルヒル校…

メイド・イン・ロシア? ロシアにおける輸入代替の可能性の評価

というフィンランド銀行の論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Made in Russia? Assessing Russia’s potential for import substitution」で、著者は同行のHeli Simola。 以下はその要旨。 Russia’s brutal military aggression on Ukraine has l…

公共財の提供の失敗:アフガン軍が戦わなかった理由

というセントルイス連銀の季刊誌Review掲載予定論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Failing to Provide Public Goods: Why the Afghan Army Did Not Fight」で、著者はRohan Dutta(マギル大)、David K. Levine(欧州大学院)、Salvatore Modic…

経済の運営者としての大統領

というNational Affairs記事(原題は「Presidents as Economic Managers」、著者はマンハッタン政策研究所のBrian Riedl)をMostly Economicsが紹介している。以下はその引用部。 Purely partisan narratives are often wrong; the familiar cliché that the…

降伏と継戦の得失:簡単な定式化

こちらの細谷雄一氏の論考など、侵略を受けた国が降伏するべきかどうかを巡る最近の議論を読んで、降伏と継戦の得失を何か数式の形で表現できないかな、と考えてみた。以下はその簡単な試み*1。変数を以下のように定義する。 Ns:降伏後に生じる損失*2 p:敵…

ゴロドニチェンコとウクライナ

マンキューがウクライナへの想いを述べたエントリを前回紹介したが、後続エントリで彼は、ゼレンスキー大統領の演説と、Yuriy Gorodnichenkoの2/25付けのエントリに、それぞれ「A powerful speech by Ukraine's president.」「A heartfelt plea from economi…

マンキューとウクライナ

マンキューが「My Heart is Breaking」と題したエントリで、ウクライナと自分の縁と、最近の思いについて書いている。 I was born in New Jersey, grew up in New Jersey, and have spent most of adult life in Massachusetts, but I have always felt a ki…

COVID-19、政府のパフォーマンス、および民主主義:12カ国の調査による実証的結果

というNBER論文が上がっている。原題は「COVID-19, Government Performance, and Democracy: Survey Experimental Evidence from 12 Countries」で、著者はMichael Becher(IE大*1)、Nicolas Longuet Marx(コロンビア大)、Vincent Pons(ハーバード大)、…

NAFTAが民主党離れを引き起こした

という主旨のNBER論文が上がっている(ungated版)。論文のタイトルは「Local Economic and Political Effects of Trade Deals: Evidence from NAFTA」で、著者はJiwon Choi(プリンストン大)、Ilyana Kuziemko(同)、Ebonya L. Washington(イェール大)…

ハイパーインフレがナチスを台頭させたわけではない

以前こちらで紹介した緊縮財政策とナチスの関係に関する論文を共著したGregori Galofré-Vilà(ナバーラ州立大)が、表題の主旨の論文を書いている(Mostly Economics経由の本人のLSEブログポスト経由)。 以下はその要旨。 I study the link between monetar…

植民地の罠

というイアン・ブルマのProject Syndicate論説(原題は「The Colonial Trap」)をMostly Economicsが紹介している。以下は引用部の孫引き。 On February 20, 1947, Clement Attlee, the socialist British prime minister, informed parliament that India w…

社会民主主義の形成:ノルウェーの1936年の国民学校改革の経済面・選挙面での帰結

アセモグルのNBER論文をもう一丁。以下はDaron Acemoglu(MIT)、Tuomas Pekkarinen(アールト大)、Kjell G. Salvanes(ノルウェー経済高等学院)、Matti Sarvimäki(アールト大)による表題の論文(原題は「The Making of Social Democracy: The Economic …

(成功した)民主主義は自らの支持を育む

というNBER論文をアセモグルらが上げている。原題は「(Successful) Democracies Breed Their Own Support」で、著者はDaron Acemoglu(MIT)、Nicolás Ajzenman(サンパウロ・スクール・オブ・エコノミクス)、Cevat Giray Aksoy(欧州復興開発銀行)、Marti…