2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

貨幣、準貨幣、および国債への需要

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「The Demand for Money, Near-Money, and Treasury Bonds」で、著者はArvind Krishnamurthy(スタンフォード大)、Wenhao Li(南カリフォルニア大)。 以下はその要旨。 Bank-created money, sha…

金融ベースの資産価格評価:混合頻度構造アプローチ

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のサイト)。原題は「Monetary-Based Asset Pricing: A Mixed-Frequency Structural Approach」で、著者はFrancesco Bianchi(デューク大)、Sydney C. Ludvigson(NYU)、Sai Ma(FRB)…

住宅需要と在宅勤務

というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「Housing Demand and Remote Work」で、著者はJohn A. Mondragon(SF連銀)、Johannes Wieland(UCサンディエゴ)。 以下はその結論部。 In this paper we show that the shift to remote w…

将来のパンデミックのためのコロナ禍からの7つの金融と貿易の教訓

というIMF論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Seven Finance and Trade Lessons from COVID-19 for Future Pandemics」で、著者は同基金のRuchir AgarwalとGita Gopinath。 以下はその要旨。 Pandemics and epidemics pose risks to lives, soci…

誰が殺したフィリップス曲線? ある殺人ミステリー

というFRB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Who Killed the Phillips Curve? A Murder Mystery」で、著者はFRBのDavid RatnerとJae Sim。 以下はその要旨。 Is the Phillips curve dead? If so, who killed it? Conventional wisdom has it th…

米経営者のマクロ経済予想

CoibionとGorodnichenkoらの企業や家計のマクロ経済予想に関するNBER論文が5月にはもう2篇上がっている。 一つは表題の論文(原題は「The Macroeconomic Expectations of U.S. Managers」)で、著者はEthan M. L. McClure(UCバークレー)、Olivier Coibion…

企業のマクロ経済予想

という、こちらで紹介した論文の続編のようなNBER論文を同じ著者たちが上げている(昨年末時点のWP)。原題は「The Macroeconomic Expectations of Firms」で、著者はBernardo Candia(UCバークレー)、Olivier Coibion(テキサス大オースティン校)、Yuriy …

経済統合と民主主義の伝播

というNBER論文が上がっている(ungated版、関連VoxEU記事)。原題は「Economic Integration and the Transmission of Democracy」で、著者はGiacomo Magistretti(IMF)、Marco Tabellini(ハーバード大)。 以下はその要旨。 In this paper, we study if e…

国有銀行と国際的なショックの伝播

というECB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「State-owned banks and international shock transmission」で、著者はMarcin Borsuk(ECB)、Oskar Kowalewski(IESEG経営大学院)、Pawel Pisany(ポーランド科学アカデミー)。 以下はその要旨。…

UIPプレミアムについての5つの事実

というのが前回エントリの最後でリンクした昨年6月のNBER論文のタイトルである。原題は「Five Facts about the UIP Premium」で、著者はṢebnem Kalemli-Özcan(メリーランド大)、Liliana Varela(LSE)。 以下はungated版の導入部に記された5つの事実。分析…

不確実性ショック、資本移動、国際的なリスクの波及

というNBER論文が上がっている(ungated(NY連銀)版)。原題は「Uncertainty Shocks, Capital Flows, and International Risk Spillovers」で、著者はOzge Akinci(NY連銀)、Ṣebnem Kalemli-Özcan(メリーランド大)、Albert Queralto(FRB)。 以下はその…

状態依存性の政府支出乗数:名目賃金の下方硬直性と景気循環変動の源泉

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のサイト)。原題は「State Dependent Government Spending Multipliers: Downward Nominal Wage Rigidity and Sources of Business Cycle Fluctuations」で、著者はテキサスA&M大のYoon …

コロナ禍は学校でのいじめとサイバーいじめを共に中断させた

というNBER論文が少し前に上がっている。原題は「The COVID-19 Pandemic Disrupted Both School Bullying and Cyberbullying」で、著者はボストン大のAndrew Bacher-Hicks、Joshua Goodman、Jennifer G. Green、Melissa Holt。 以下はその要旨。 One-fifth o…

米国のソフトパワーは貿易戦争の犠牲となったのか?

というNBER論文が上がっている。原題は「Is the American Soft Power a Casualty of the Trade War?」で、著者はHaichao Fan(上海財経大学)、Yichuan Hu(同済大学)、Lixin Tang(曁南大学)、Shang-Jin Wei(コロンビア大学)。 以下はその要旨。 The US…

ジョーン・ロビンソンのマルクスについての言葉:「彼の現実感覚は遥かに強力だった」

というJournal of Economic Perspectives論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Joan Robinson on Karl Marx: "His Sense of Reality Is Far Stronger"」で、著者はCarolina Alves(ケンブリッジ大)。 以下はその要旨。 This paper revisits why J…

サイバー攻撃と金融の安定性:ある自然実験の実証結果

というFRB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Cyberattacks and Financial Stability: Evidence from a Natural Experiment」で、著者はFRBのAntonis KotidisとStacey L. Schreft。 以下はその要旨。 This paper studies the effects of a uniqu…

低金利時代の政府債務と資本蓄積

というNBER論文(原題は「Government Debt and Capital Accumulation in an Era of Low Interest Rates」)をマンキューが上げている(先行して自ブログでungated版にリンクしている)。論文ではまず、実質金利の定常状態の式から、金利の低下トレンドを以下…

欧州中央銀行への直観的な信頼と熟考した信頼

というECB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Instinctive versus reflective trust in the European Central Bank」で、著者は同行のSiria AnginoとStefania Secola。 以下はその要旨。 Political science research has established that trust…

AIと通常のイノベーションの違い

Joshua Gans(トロント大)が表題の点を追究したNBER論文を2編上げている。一つは「AI Adoption in a Competitive Market」(ungated[SSRN]版)で、その要旨の冒頭でGansは Economists have often viewed the adoption of artificial intelligence (AI) as…

2つのグローバルな金融政策の物語

というBOE論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「A tale of two global monetary policies」で、著者は同行のSilvia Miranda-AgrippinoとTsvetelina Nenova。 以下はその要旨。 We compare the macroeconomic and financial spillovers of the unco…

3つの世界戦争:財政・金融への影響

トーマス・サージェントらの表題の論文にタイラー・コーエンがリンクしている。原題は「Three World Wars: Fiscal-Monetary Consequences」で、著者はGeorge J. Hall(ブランダイス大)、Thomas J. Sargent(NYU)。 ここで3つの戦争とは第一次世界大戦と第…

メイド・イン・ロシア? ロシアにおける輸入代替の可能性の評価

というフィンランド銀行の論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Made in Russia? Assessing Russia’s potential for import substitution」で、著者は同行のHeli Simola。 以下はその要旨。 Russia’s brutal military aggression on Ukraine has l…

経済制裁と債務不履行と通貨

ウクライナ侵攻に伴うロシアへの経済制裁の効果ないし影響を扱ったNBER論文が2編上がっている。一つは「On Wars, Sanctions and Sovereign Default」(ungated版)で、著者はJavier Bianchi(ミネアポリス連銀)、César Sosa-Padilla(ノートルダム大)。以…

日米のインフレの違い

についてマンキューとサマーズが言及している。 サマーズは自らリツイートしたブルームバーグTVの5/2ツイートのクリップで以下のように述べている。 I think you're looking at two very different situations in Japan and the U.S. in terms of inflation.…

公平な入学選考を求める学生たちの訴訟が人種選好について明らかにしたこと

ハーバード入試の人種差別を巡る裁判で専門家証人としてデビッド・カードと対決したArcidiaconoが、表題のNBER論文を上げている(ungated版)。原題は「What the Students for Fair Admissions Cases Reveal About Racial Preferences」で、著者はここで紹介…

企業経理の給与ミクロデータを用いた給与保護プログラムの評価

ここで紹介したNBER論文の著者たちが、同じテーマについて企業別の動向を見た表題のNBER論文を上げている。原題は「An Evaluation of the Paycheck Protection Program Using Administrative Payroll Microdata」で、著者はDavid Autor(MIT)、David Cho(F…

カレンシーボードのすゝめ

Mostly Economicsが、スリランカの問題の解決法としてカレンシーボードを提案したAndy Mukherjeeの記事を紹介している。以下はその引用の孫引き。 What was good for Sri Lanka under British colonial rule 75 years ago may be worth a try again. Or at l…

反循環的な金利の因果効果:古典的金本位制での実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクのある著者の一人のHP)。原題は「Causal Effects of Countercyclical Interest Rates: Evidence from the Classical Gold Standard」で、著者はKris James Mitchener(サンタクララ大)、Gonçalo Alves P…

パンデミック期の不確実性

以前ここで紹介した論文の続編とも言うべき表題のNBER論文(原題は「Pandemic-Era Uncertainty」)が上がっている。著者は前回の論文の15人のうち次の6人。Brent H. Meyer(アトランタ連銀)、Emil Mihaylov(同)、Jose Maria Barrero(メキシコ自治工科大…

量的緩和の狭い経路:南半球のYCCの実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated(NY連銀)版)。原題は「The Narrow Channel of Quantitative Easing: Evidence from YCC Down Under」で、著者はDavid Lucca(NY連銀)、Jonathan H. Wright(ジョンズホプキンズ大)。 以下はその要旨。 We study t…