2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

低金利環境における資産格差

という掲載予定論文をEconometricaがツイートしている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「Wealth Inequality in a Low Rate Environment」で、著者はMatthieu Gomez、Émilien Gouin-Bonenfant(いずれもコロンビア大)。 以下はその要旨。 We study the ef…

誰がインフレのコストを負担するのか? 2021-2022年のショックとユーロ圏の家計

というNBER論文が上がっている(ungated(ECB)版)。原題は「Who Bears the Costs of Inflation? Euro Area Households and the 2021–2022 Shock」で、著者はFilippo Pallotti(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)、Gonzalo Paz-Pardo(ECB)、Jiri Slac…

金融政策、金融環境、および実体経済活動:今回は違うのか?

というBISレポートをMostly Economicsが紹介している。原題は「Monetary policy, financial conditions and real activity: is this time different?」で、著者は同行のFernando Avalos、Deniz Igan、Cristina Manea、Richhild Moessner。 以下はその要旨。 …

初期の米国銀行券の市場範囲

というNBER論文が上がっている(H/T Mostly Economics;ungated版へのリンクがある著者のページ)。原題は「The Extent of the Market for Early American Bank Notes」で、著者はHoward Bodenhorn(クレムソン大)。 以下はその要旨。 How far did antebell…

循環的回復期における自然失業率の積極的な役割

というNBER論文をロバート・ホールらが上げている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ*1)。原題は「The Active Role of the Natural Rate of Unemployment during Cyclical Recoveries」で、著者はRobert E. Hall(スタンフォード大)、Marianna…

コロナ禍期のインフレ要因と世界的な波及

というNBER論文が上がっている(ungated(NY連銀)版、豪州準備銀行での9月のコンファレンスにおけるスライド)。原題は「Pandemic-Era Inflation Drivers and Global Spillovers」で、著者はJulian di Giovanni(NY連銀)、Ṣebnem Kalemli-Özcan(メリーラ…

需給と金利の期間構造

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Supply and Demand and the Term Structure of Interest Rates」で、著者はRobin Greenwood(ハーバード大)、Samuel Hanson(同)、Dimitri Vayanos(LSE)*1。 以…

日本はどうなの?

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「What about Japan?」で、著者はYi-Li Chien(セントルイス連銀)、Harold L. Cole(ペンシルベニア大)、Hanno Lustig(スタンフォード大)。 以下はその要旨。 As a result of the BoJ’s large-s…

予告されたドル化の記録:インフレと為替相場の動学

というNBER論文をIván Werningらが上げている(H/T Mostly Economics)。原題は「Chronicle of a Dollarization Foretold: Inflation and Exchange Rates Dynamics*1」で、著者はTomás E. Caravello、Pedro Martinez-Bruera、Iván Werning(いずれもMIT)。 …

何がバリュー株投資戦略の好不調をもたらすのか?

というNBER論文が上がっている(3月時点のWP)。原題は「What Drives Booms and Busts in Value?」で、著者はJohn Y. Campbell(ハーバード大)、Stefano Giglio(イェール大)、Christopher Polk(LSE)。 以下はその要旨。 Value investing delivers volat…

メディア報道を用いた社会不安の測定

前回エントリで紹介した論文では、著者の一人のPhilip Barrettが他のIMF職員(Maximiliano Appendino、Kate Nguyen、Jorge de Leon Miranda)と開発した報道社会不安指数(Reported Social Unrest Index)が使われていた。以下はその指数開発時の表題のIMF論…

社会不安の経済的帰結:新規株式公開における実証結果

というIMF論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「The Economic Consequences of Social Unrest: Evidence from Initial Public Offerings」で、著者はPhilip Barrett(IMF)、Thomas J. Boulton(マイアミ大)、Terry D. Nixon(同)。 以下はその…

戦後欧州の金融財政政策レジーム

というECB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Monetary/fiscal policy regimes in post-war Europe」で、著者はOthman Bouabdallah(ECB)、Pascal Jacquinot(同)、Valeria Patella(ローマ・サピエンツァ大)。 以下はその要旨。 In most eur…

世界の長期介護

という本(原題は「Long-Term Care around the World」)をNBERがシカゴ大学出版局から出版する予定のようで、関連論文が上がっている。以下はJonathan Gruber(MIT)、Kathleen McGarry(UCLA)、Charles Hanzel(NBER)による序章からの引用。 Based upon …

世界金融市場での中国の影響

というECB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「China’s footprint in global financial markets」で、著者は同行のDavid Lodge、Ana-Simona Manu、Ine Van Robays。 以下はその要旨。 Using daily data since 2017, we disentangle China-specifi…

部分の総和に勝る:集計値インフレの予想 対 集計されたインフレ予想

というNBER論文が上がっている(5月時点のWP*1)。原題は「Greater Than the Sum of Its Parts: Aggregate vs. Aggregated Inflation Expectations」で*2、著者はAlexander Dietrich(デンマーク国立銀行)、Edward S. Knotek II(クリーブランド連銀)、Kri…

税のインセンティブと低所得住宅の供給

タイラー・コーエン経由のMIT PhD candidateのジョブマーケット論文をもう一丁*1。以下はEvan Soltas*2が自サイトに掲載している表題の論文(原題は「Tax Incentives and the Supply of Low-Income Housing」)の要旨。 Subsidies to developers are a core …

インフレ、リスクプレミアム、および景気循環

というMITのJ. R. Scottのジョブマーケット論文(掲載している本人のサイト、原題は「Inflation, Risk Premia, and the Business Cycle」)をタイラー・コーエンが紹介している。 以下はその要旨。 This paper explores the implications of the risk price …

発展途上国の非公式な財政システム

財政関係のNBER論文をもう一丁。前回エントリで紹介したNBER論文では最近の先進国の財政政策とインフレの関係を扱ったのに対し、表題のNBER論文(原題は「Informal Fiscal Systems in Developing Countries」)では発展途上国の財政の現場の実態を炙り出して…

2020-2022年のOECD諸国におけるインフレへの財政の影響

というNBER論文をロバート・バローらが上げている。原題は「Fiscal Influences on Inflation in OECD Countries, 2020-2022」で、著者はRobert J. Barro(ハーバード大)、Francesco Bianchi(ジョンズホプキンズ大)。 以下はその要旨。 The fiscal theory …

合成オプションが示すリスク選好

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Risk Preferences Implied by Synthetic Options」で、著者はIan Dew-Becker(ノースウエスタン大)、Stefano Giglio(イェール大)。 以下はその要旨。 The histori…

AIジレンマ:成長対絶滅の危機

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「The A.I. Dilemma: Growth versus Existential Risk」で、著者はCharles I. Jones(スタンフォード大)。 以下はその要旨。 Advances in artificial intelligence (A.I.) are a double-edged sword. On …

隠れたエクスポージャー:米供給網の依存の測定

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Hidden Exposure: Measuring US Supply Chain Reliance」で、著者はRichard Baldwin(国際経営開発研究所)、Rebecca Freeman(イングランド銀行)、Angelos Theodorakopoulos(アストン・ビジネス・ス…

CBDCがFRBのバランスシートに与える影響

というFRB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「The Effects of CBDC on the Federal Reserve's Balance Sheet」で、著者はChristopher Gust、Kyungmin Kim、Romina Ruprecht。 以下はその要旨。 We propose a parsimonious framework to understa…

転換的なAIの下での経済成長

というNBER論文が上がっている(2月時点のWP)。原題は「Economic Growth under Transformative AI」で、著者はPhilip Trammell(オックスフォード大)、Anton Korinek(バージニア大)。 以下はその要旨。 Industrialized countries have long seen relativ…

マクロの反実仮想を用いた尤もらしさの評価:2001年の戻し減税の限界消費性向を用いた説明

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Using Macro Counterfactuals to Assess Plausibility: An Illustration using the 2001 Rebate MPCs」で、著者はJacob Orchard(FRB)、Valerie A. Ramey(スタンフ…

セミパラメトリック条件付きファクターモデル:推計と推定

というNBER論文が上がっている(ungated(arxiv)版)。原題は「Semiparametric Conditional Factor Models: Estimation and Inference」で、著者はQihui Chen(香港中文大学深圳校)、Nikolai Roussanov(ペンシルベニア大)、Xiaoliang Wang(香港科技大学…

構造的操作変数推計の因果解釈

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Causal Interpretation of Structural IV Estimands」で、著者はIsaiah Andrews(MIT)、Nano Barahona(UCバークレー)、Matthew Gentzkow(スタンフォード大)、As…

世界的なコロナワクチン接種プログラムが全死因死亡に与えた影響

というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「The Impact of the Global COVID-19 Vaccination Campaign on All-Cause Mortality」で、著者はVirat Agrawal(南カリフォルニア大)、Neeraj Sood(同)、Christopher M. Whaley(ブラウ…

国家の地形学

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者のページ)。原題は「The Topography of Nations」で、著者はTreb Allen(ダートマス大)。 以下はその要旨。 How does the interplay of geography and political-economic forces affect the …