2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2009年後半には米国の金融は引き締め気味だった

とWSJブログに書かれている(Economist's View経由)。以下はそこからの引用。 What they found is that after improving markedly in the first half of 2009 — thanks in large part to the Fed’s money pumping exercises — financial conditions tighten…

インフレ目標と危機への対処に関する実証分析

というIMF論文が2/1に出ている(Mostly Economics経由)。正確なタイトルは「Inflation Targeting and the Crisis: An Empirical Assessment」で、著者はIrineu de Carvalho Filho。 以下はMostly Economicsの紹介の拙訳。 IMFのIrineu de Carvalho Filhoが…

PIGSはクラウドコンピューティングの恩恵を受けるか?

「クラウドコンピューティングの経済学(The economics of cloud computing)」という論説がvoxeuに掲載された(Economist's View経由)。書いたのはFederico Etroというミラノ大学の准教授。内容は、クラウドコンピューティングはIT導入費用を低下させるの…

ルールベースか、裁量ベースか

イタリア銀行のMassimo LibertucciとMario Quagliarielloというエコノミストが、このテーマについてvoxeuに書いている(Economist's View経由)。ただ、彼らの関心は、(現在日本で関心を集めている)インフレ目標などの金融政策というよりは、金融安定化策…

金融政策補完計画

ジェームズ・ハミルトンが「Treasury Supplementary Financing Program (SFP)」について書いている。ロイター等でも報じられているが、このたび、SFP(ロイターは「補完的資金調達プログラム」という訳語を当てている)が再開されることになったという。 こ…

金融イノベーション格付け

今回の金融危機を機に、これまでの金融の技術革新の意義を問い直す声が上がっている。拙ブログでも、ここやここでそうした議論を紹介した。中には、ここで紹介したクルーグマンのように、「その多くが規制を巧みにかいくぐったという代物で、評価に値するも…

社会学に何を求めるか?

というブログエントリがあったので、以下に訳してみる(Economist's View経由)。 このブログで何回も論じたように、反実証主義の立場を我々が取り入れたものとしよう。つまり、社会学は自然科学をモデルとすべきではないし、社会現象には自然現象に特徴的な…

保守派からの5項目の財政改革提案

マンキューがオバマ政権による財政委員会の発足に寄せて、保守派の立場から、財政に関する5項目の提案をブログで行なっている。以下がその5項目。 支出の大幅な削減 委員会は収入を上げるのと同じくらい政府の規模縮小に取り組むべき。 個人的には、社会保障…

インフレターゲットについて反省する必要はまるでない

あたかも白川発言に反論するかのように、Stephen GordonがWCIブログで、カナダの金融政策についてそのように書いている。以下では、そのエントリを拙訳で紹介する。 カナダのマクロ経済政策を再考する IMFのオリビエ・ブランシャールと2人の同僚は、「マクロ…

米経済が静止する日

Marginal Revolutionでアレックス・タバロックが冗談紙Onionの2/16記事の冒頭を引用している。同記事は、The Big Picture、WSJブログでも引用されており、結構話題になっているらしい。原題は「貨幣がただの象徴的な共同幻想にすぎないことを国中が認識する…

一目で分かるユーロ圏の問題

デビッド・ベックワースの2/11エントリから。元ネタはBBCの女性編集者Stephanie Flandersの同日のブログエントリで、グラフの作成者はHSBCのJanet Henryとの由。 1999年以降、実質為替レートが上昇した国が、今回苦境に陥ったことが分かる。一昨日取り上げた…

一目で分かる世界的なインフレ収束傾向

昨日に引き続き、レベッカ・ワイルダーのブログから興味深いグラフを引用。1982年、2008年、2011年の3時点におけるインフレ率20%以上の国をグラフにしている(2011年は予測)。 27ヶ国。 18ヶ国。

中国の通貨切り上げは不要?

以前、中国の通貨切り上げを求めるクルーグマンを批判する論者を取り上げたが、女性経済ブロガーのレベッカ・ワイルダーもその戦列に加わった(ただし彼女はクルーグマン個人には言及しておらず、元切り上げ論者全般をターゲットにしている)。 その論理を一…

単なる嘘つきや事実を否定する人と議論で合意するのは不可能

Economics of Contempt(EoC)がジョン・テイラーやジョン・コクランについてそう書いている。 以下はEconomist's Viewにおける抜粋。 After reading John Taylor and John Cochrane's analyses Lehman's failure, I'm beginning to understand how it's pos…

米国景気対策法の効果はGDPに現れない?

ジョン・テイラーが2/2のブログエントリで、施行から1年経って、景気対策法による財政刺激は無効だったことが明らかになった、と主張している。彼はGDPに関する最新報告の数字を元にグラフを描いて、昨年後半の米国の経済成長が主に民間設備投資の回復による…

リバタリアンが政府を嫌うべきでない5つの理由

というのが、昨日紹介したreason.comのWilliam D. Eggers & John O'Learyの1/13記事のタイトルである(「Five Reasons Why Libertarians Shouldn't Hate Government」)。副題が「Plus, Five Big Projects That Went Well and Five That Were Disasters」で…

米政府が成し遂げた5つの良い事

reason.comのWilliam D. Eggers & John O'Learyの1/13記事より(Rortybomb経由)。 第二次大戦後の日本の民主国家としての再建 マーシャル・プラン アポロの月着陸 1996年の福祉改革 酸性雨削減 これに対し、Rortybombのマイク・コンツァル(Mike Konczal)…

はだかの経済学者

ジェームズ・ブキャナンが表題の小論を書いている(Marginal Revolution経由;原題は「Economists Have No Clothes」)。以下に掻い摘んで紹介してみる。 1. イントロダクション(Introduction) Economists are embarrassed by their inability to offer ‘s…

経済学という不正確な科学

ミシガン大学ディアボーン校の総長を務める哲学教授のダニエル・リトル(Daniel Little)が、表題(原題は「The inexact science of economics」)のブログエントリを書いている(Economist's View経由)。 そこで彼は、ウィスコンシン大学マディソン校の哲…

経済学者は医療過誤で訴えられるべき?

Girl Economistを名乗るMaxine Udallという女性経済ブロガーが、表題のエントリを書いている(Economist's View経由)。以下に抄訳で紹介してみる。 ポール・クルーグマンの昨日の財政脅し戦略に関する記事に、以下のような記述があった。 しかし問題は、多…

ボールズ「格差は資源の無駄を生む」

昨日紹介したサンタフェ・リポーター紙のサミュエル・ボールズに関する記事から、今度はEconomist's Viewが抜粋した部分を以下に訳してみる。 不平等は米国がナンバー1であるための対価に過ぎないのでは? 「それはほぼ確実に間違いです」とボールズはSFRに…

サミュエル・ボールズの闘い

サンタフェ・リポーターという地方紙の記事で、経済学者サミュエル・ボールズが取り上げられている(Economist's View経由)。 以下はその前半部から、ボールズの経済学の沿革紹介部分を拙訳。 ボールズの進路は1968年に定まった。当時彼はハーバードの助教…

ボルカーは昔の戦争を戦っている

ボルカーの銀行規制案の評判が芳しくない。普段は銀行側の立場に即した論陣を張るEconomics of Contempt(EoC)氏ですら、彼の規制案は手ぬるいと批判している。以下はその拙訳。 私とイブ・スミスはあまり意見が一致しないと言っても良いと思う。しかしポー…

クリストファー・シムズのバカの壁

昨日紹介したシムズの論文では、金利がゼロに達した場合、金融政策だけではインフレ期待を起こすのが難しいので、財政政策とセットにしてインフレ期待を醸成するのが良いのでは、と提案している*1。 その結論部では、 FRBが一時的なインフレの2%以上の上振れ…

クリストファー・シムズのリフレ理論

VARを推奨する計量経済学者として有名なクリストファー・シムズ(プリンストンのHP)が、ゼロ金利制約下における金融・財政政策について小論を書いた。 Economist's Viewで全文が紹介されているほか、サムナーも自分と意見を同じくするものとして取り上げて…

2兆ドルの賭けの行方

少し前に、FRBの2009年の利益が空前の規模に達したというニュースが流れた。Econbrowserの1/17エントリで、ジェームズ・ハミルトンがその利益をもたらした要因について以下のように書いている。 I have suggested that the right way to think about these o…

一口も飲まないうちにパンチボウルを下げる給仕

またサムナーの直近ポストから。エコノミスト記事のサムナーによる紹介。 It looked like the BOJ might actually be willing to stop the deflation: THE situation has “completely changed,” says an ebullient Keisuke Tsumura, an elected official in …

円高は金融引き締めの表れ

サムナーの最新ポストより。 The real exchange rate is not determined by the government, but rather by the propensities to save, invest, import, export, etc. ・・・ The nominal exchange rate is a completely different animal from the real rat…