少し前に、FRBの2009年の利益が空前の規模に達したというニュースが流れた。
Econbrowserの1/17エントリで、ジェームズ・ハミルトンがその利益をもたらした要因について以下のように書いている。
I have suggested that the right way to think about these operations is that the Fed acquired the funds for these operations by borrowing them from banks in the form of the huge expansion of interest-bearing reserves. In essence, the Fed is borrowing short through banks' excess reserves and lending long through the MBS purchases, and profiting from the interest rate spread.
The ultimate rationale for such actions might be that private banks should be conducting this arbitrage on their own, but are prevented from doing so by ongoing financial difficulties.
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The problem with the Fed's preferred tactic-- borrowing short and lending long-- is the same as that facing anyone else who plays that game: are you sure you're going to be able to continue to roll over the short term debt (i.e., persuade banks to keep holding a trillion in excess reserves) or liquidate your long position (i.e., sell a trillion in MBS back to the market without loss) when the playing field changes?But at the moment, borrowing short and lending long proved to be a very profitable trade for 2009.
http://www.econbrowser.com/archives/2010/01/how_the_federal.html(拙訳)
このFRBの(信用緩和)オペについての正しい解釈として私が提示したのは、FRBが、利子付きの準備預金を膨張させるという形で、銀行借り入れによりオペの資金を調達した、というものだ。基本的にFRBは、銀行の超過準備を通じて短期の借り入れを行い、モーゲージ担保証券(MBS)の購入を通じて長期の貸し出しを行い、その利鞘で利益を上げている。
そうした行動の究極の根拠は、本来は民間銀行がそうした裁定行為をすべきだが、進行中の財務の問題によってできなかった、というものだ。
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FRBが選択したこの短期借りの長期貸しという戦術の問題点は、同様の行動を取る者が誰しも直面するものだ。短期の負債の借り換えを続けられる自信があるか(=何兆ドルもの超過準備を維持するよう銀行を説得できるか)? 状況が変わったときに買いポジションを解消できるか(=1兆円のMBSを損失を蒙ることなく市場で売り戻すことができるか)?
しかし取りあえず、2009年については短期借りの長期貸しは非常に儲かる取引だったことが明らかとなった。
ハミルトンは以前からFRBの信用緩和政策には批判的で、ここで紹介したエントリでは、バーナンキの2兆ドルの賭け、と揶揄していた。それから1年経って、取りあえず現時点の途中経過としては、バーナンキはその賭けに大きく勝っているという事実を彼も認めざるを得なかったわけだ。
ただ、同時にハミルトンが警告しているように、最終的な手仕舞いがどうなるかまだ予断を許さないのもまた事実である。小生はここで、ハミルトンの悲観論に反してFRBは思わぬ値上がり益を得るかもしれない、と書いたが、果たして今からまた1年後はどうなっているだろうか…。