2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

アイルランドの銀行危機

というBIS論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「The banking crisis in Ireland」で、著者は Patrizia Baudino(BIS)、Diarmuid Murphy(アイルランド中銀)、Jean-Philippe Svoronos(BIS)。 以下はその要旨。 This paper covers the banking c…

ただの銀行ではなく国の偉大なエンジン:イングランド銀行とイギリス経済、1694-1844

という論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Not an ordinary bank but a great engine of state: The Bank of England and the British economy, 1694-1844」で、著者はPatrick K. O’Brien(LSE)、Nuno Palma(マンチェスター大)。 以下はその…

パンデミック経済危機、予備的行動、および移動制約:ランダム性を伴う動学的不均衡モデルの応用

というNBER論文をスティグリッツが上げている(原題は「The Pandemic Economic Crisis, Precautionary Behavior, and Mobility Constraints: An Application of the Dynamic Disequilibrium Model with Randomness」)*1。 以下はその要旨。 This paper anal…

危機のイノベーションの編成:第二次大戦の教訓

というNBER論文が上がっている。原題は「Organizing Crisis Innovation: Lessons from World War II」で、著者はDaniel Gross(デューク大)、Bhaven Sampat(コロンビア大)。 以下はその要旨。 World War II was one of the most acute emergencies in U.S…

r引くg

動学的効率性を論じる時の金利は無リスク金利ではなくリスク金利だという話は高橋洋一氏の言を引く形で以前本ブログでもここで言及したことがあったが、ロバート・バローが表題のNBER論文(原題は「r Minus g」、ungated版)でその点を追究している。以下は…

大きなマイナスの結果をもたらす小さな確率の事象に人々はどのように反応するのか?

というNBER論文が上がっている。原題は「How do People Respond to Small Probability Events with Large, Negative Consequences?」で、著者はMartin S. Eichenbaum(ノースウエスタン大)、Miguel Godinho de Matos(カトリカ・リスボン・スクール・オブ・…

なぜトランプの貿易戦争は失敗したのか?

クルーグマンが、トランプの貿易政策が所期の目的を達成できなかった理由を追究した表題の小論を書いている(原題は「Why Did Trump’s Trade War Fail?」、H/T タイラー・コーエン)。以下はその一節。 I don’t mean that the burden of tariffs appears to …

中国における業界クラスター、ネットワークとCovid-19ショックからの回復

というNBER論文が上がっている。原題は「Industrial Clusters, Networks and Resilience to the Covid-19 Shock in China」で、著者はRuochen Dai(中央財経大学)、Dilip Mookherjee(ボストン大)、Yingyue Quan(北京大)、Xiaobo Zhang(同)。 以下はそ…

バイデノミクス対トランポノミクス

大統領選は宴もたけなわという感があるが、2つの機関による両者の経済プランの分析をこちらの記事が紹介している(H/T Mostly Economics)。 The Committee suggests that ‘both plans would add substantially to the debt’ but in numbers that are a whis…

預金者はCOVID-19にどのように反応したか?

というNBER論文が上がっている。原題は「How Did Depositors Respond to COVID-19?」で、著者はRoss Levine(UCバークレー)、Chen Lin(香港大)、Mingzhu Tai(同)、Wensi Xie(香港中文大)。 以下はその要旨。 Why did banks experience massive deposi…

米国の賃金フィリップス曲線は平らになったのか? 半構造的な追究

前回エントリからのフィリップス曲線の平坦化つながりということで、昨年初めの表題のNBER論文を紹介しておく(一昨年末時点のungated版)。原題は「Has the U.S. Wage Phillips Curve Flattened? A Semi-Structural Exploration」で、著者はJordi Galí(CRE…

フィリップス曲線の傾き:米国の州についての実証結果

エミ・ナカムラとジョン・スタインソンらが表題のWPを書いている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「The Slope of the Phillips Curve: Evidence from U.S. States」で、著者はJonathon Hazell(プリンストン大)、Juan Herreno(コロンビア大)、Emi Naka…

行動ファイナンスの最重要人物

MRブログでアレックス・タバロックがファーマのインタビュー記事を紹介している。以下はその記事からの引用。 ...what do you make of the growing discipleship of behavioral finance which focuses on the influence of psychology on investment decisio…

機織りとしての経済学者

アイルランド中銀総裁のガブリエル・マクルーフ(Gabriel Makhlouf*1)が、経済学徒に向けたメッセージの中で、経済学者を以下のように定義している(H/T Mostly Economics)。 At some point you’ll probably be asked the question “what is an economist?…

米国の所得・資産格差のトレンド:修正主義者の論議の再訪

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Trends in US Income and Wealth Inequality: Revising After the Revisionists*1」で、著者はEmmanuel Saez(UCバークレー)、Gabriel Zucman(同)。 以下はその要旨。 Recent studies argue that US …

マクロ消費調整のミクロ解析

というNBER論文が上がっている(6月時点のWP)。原題は「The Micro Anatomy of Macro Consumption Adjustments」で、著者はRafael Guntin(NYU)、Pablo Ottonello(ミシガン大)、Diego Perez(NYU)。 以下はその要旨。 We study crises characterized by …

人的資本の減価

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のHP)。原題は「Human Capital Depreciation」で、著者はMichael Dinerstein(シカゴ大)、Rigissa Megalokonomou(クイーンズランド大)、Constantine Yannelis(シカゴ大)。 以下はそ…

グラビテーション対帝国

貿易の重力理論を英国の歴史的なデータを用いて実証分析した「The Gravitational Constant?(重力定数?)」というNBER論文をDavid S. Jacks(サイモンフレーザー大)、Kevin Hjortshøj O'Rourke(NYUアブダビ校)、Alan M. Taylor(UCデービス)が上げてい…

中銀の独立性の論拠:国際的論争の主要論題の概観

というECBのOccasional Paper Series論文をMostly Economicsが紹介している。論文の原題は「The case for central bank independence: a review of key issues in the international debate」で、著者は同行のRodolfo Dall’Orto Mas、Benjamin Vonessen、Chr…

COVID-19ワクチン候補の臨床試験設計の費用便益分析

というNBER論文をアンドリュー・ローらが書いている。原題は「A Cost/Benefit Analysis of Clinical Trial Designs for COVID-19 Vaccine Candidates」で、著者はDonald A. Berry(ベリー・コンサルタンツLLC*1)、Scott Berry(同)、Peter Hale(ワクチン…

米中貿易戦争とグローバルバリューチェーン

という論文をタイラー・コーエンが紹介している。論文の原題は「The US-China Trade War and Global Value Chains」で、著者はミネソタ大のYang Zhou。 以下はその結論部。 This paper studies the heterogeneous impacts of the US-China trade war through…

量的緩和の50の陰影:経済分析における利害の衝突

というNBER論文が書かれており、関連VoxEU記事も上がっている(H/T タイラー・コーエン、Mostly Economics)。論文の原題*1は「Fifty Shades of QE: Conflicts of Interest in Economic Research」で、著者はBrian Fabo(スロバキア国立銀行)、Martina Janč…

安全への逃避:不況は才能ある人のスタートアップ企業への流入にどのように影響するか

というNBER論文が上がっている。原題は「Flight to Safety: How Economic Downturns Affect Talent Flows to Startups」で、著者はShai Bernstein(ハーバード大)、Richard R. Townsend(UCサンディエゴ)、Ting Xu(バージニア大)。 以下はその要旨。 Thi…

ストキャスティックな下限金利期間のモデルを解く道具立て

というNBER論文をエガートソンらが上げている(ungated版へのリンクがあるエガートソンのHP)。原題は「A Toolkit for Solving Models with a Lower Bound on Interest Rates of Stochastic Duration」で、著者はGauti B. Eggertsson、Sergey K. Egiev、Ales…

誰をパンデミック中に在宅勤務にすべきか? 賃金と感染のトレードオフ

というNBER論文が上がっている。原題は「Who Should Work from Home during a Pandemic? The Wage-Infection Trade-off」で、著者はSangmin Aum(明知大学校)、Sang Yoon (Tim) Lee(ロンドン大学クイーン・メアリー校)、Yongseok Shin(セントルイス・ワ…

ニューケインズ的貿易:貿易ショックの雇用と厚生への影響の理解

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のHP)。原題は「New-Keynesian Trade: Understanding the Employment and Welfare Effects of Trade Shocks」で、著者はAndrés Rodríguez-Clare(UCバークレー)、Mauricio Ulate(サン…

為替相場の世界的因子構造

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「The Global Factor Structure of Exchange Rates」で、著者はSofonias Korsaye(ジュネーヴ大)、Fabio Trojani(同)、Andrea Vedolin(ボストン大)。 We provide a model-free framework to study th…

COVID-19はセーフティネット政策への考えを変えた

というNBER論文が上がっている。原題は「COVID-19 Changed Tastes for Safety-Net Programs」で、著者はAlex Rees-Jones(ペンシルベニア大)、John D'Attoma(Tax Administration Research Centre (TARC)@エクセタービジネススクール)、Amedeo Piolatto(…

COVID-19後の企業レベルのリスクエクスポージャーと株式リターン

というNBER論文が上がっている。原題は「Firm-Level Risk Exposures and Stock Returns in the Wake of COVID-19」で、著者はSteven J. Davis(シカゴ大)、Stephen Hansen(インペリアル・カレッジ・ビジネス・スクール)、Cristhian Seminario-Amez(シカ…

COVID-19以前のスウェーデンで特に多かった脆弱な人々――「乾いた薪」

ここで紹介した「乾いた薪」仮説をさらに検証した表題のSSRN論文にタイラー・コーエンがリンクしている。論文の原題は「Exceptionally many vulnerable – “dry tinder” – in Sweden prior to COVID-19」で、著者はJonas Herby(CEPOS*1)。 以下はその要旨。…