2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

縁故資本主義者としてのドナルド・トランプ

というNYT論説をルイジ・ジンガレスが書いている(H/T Economist's View、原題は「Donald Trump, Crony Capitalist」)。 Four years ago, in the first draft of my book “A Capitalism for the People,” I had a section dedicated to how worrisome a Don…

ジェラルド・フリードマン対ミルトン・フリードマン

昨日紹介したローマー夫妻のジェラルド・フリードマン分析への批判に対し、4人の元CEA委員長の公開書簡が出た段階からフリードマンを擁護している*1ジェームズ・ガルブレイスが、そもそもクリスティーナ・ローマーが2009年初めにジャレッド・バーンスタイン…

サンダース経済分析騒動・続き

デビッド&クリスティーナ・ローマー夫妻が、ここで紹介したジェラルド・フリードマンによるサンダース政策の経済効果分析を批判する小論を上げ、各論者が一斉に取り上げている(マンキュー、クルーグマン、Mark Thoma、タイラー・コーエン、デロング、ジャ…

反応の鈍いインフレ期待:マルコフ連鎖分析

というNBER論文をコチャラコタが書いている。原題は「Sluggish Inflation Expectations: A Markov Chain Analysis」。 以下はその要旨。 A large body of recent empirical work on inflation dynamics documents that current real variables (like unemplo…

モデル集合と不確実性の価格

ラース・ハンセンとトーマス・サージェントという2人ノーベル賞受賞経済学者が、表題の小難しいNBER論文を上げている(原題は「Sets of Models and Prices of Uncertainty」)*1。 以下はその要旨。 A decision maker constructs a convex set of nonnegativ…

ルビオ税制のシミュレーション?

昨日取り上げたマンキューのルビオ税政策擁護に反応したEconospeakのProGrowthLiberal(PGL)が、ルビオ案に似た税制をシミュレーションした論文として、20年近く前にAltigやコトリコフらが書いたNBER論文を持ち出している。論文のタイトルは「Simulating U.…

コント:ポール君とグレッグ君(2016年第1弾)

マルコ・ルビオの税政策を批判したクルーグマンのNYT論説にマンキューが噛みついた。 グレッグ君 僕はマルコ・ルビオのことが好きで、ドナルド・トランプよりマルコ・ルビオが共和党の指名を獲得した方が良いと思うし、彼の税政策には良い考えが沢山盛り込ま…

万年筆と印刷機とホットポテト

昨日紹介したトービン論文は、3年ほど前にここで紹介したように、David GlasnerがNick Roweの主唱するホットポテト効果を否定する論拠としても使われている。以下に論文の該当箇所と思われる部分を引用してみる。 V. FOUNTAIN PENS AND PRINTING PRESSES Evi…

「貨幣」創造者としての商業銀行

Think outside the box(totb)さんが、超過準備への付利批判に反論する一連のエントリを書かれているが、その中で4年前のクルーグマン=キーン論争のまとめ(John Carney、UnlearningEconomics)にリンクしている。この論争については小生も当時触れ、Rowe…

サンダース経済分析騒動

ジェラルド・フリードマン(Gerald Friedman)というマサチューセッツ大学アマースト校教授が、民主党の大統領選候補であるサンダース上院議員の経済政策の効果を分析し、物議を醸している。その内容があまりにも非現実的だということで、かつて民主党政権下…

レア・ディザスターのモデルの解法

少し前にバローによるレア・ディザスター*1に関するNBER論文を2編紹介したが(ここ、ここ)、このテーマに関する表題のかなり技術的なNBER論文が上がっている。原題は「Solution Methods for Models with Rare Disasters」で、著者はJesús Fernández-Villave…

英国の所得格差は拡大したのか?

という点について調べたNBER論文が上がっている(ungated版)。論文のタイトルは「What has Been Happening to UK Income Inequality Since the Mid-1990s? Answers from Reconciled and Combined Household Survey and Tax Return Data」で、著者はRichard …

ユーロ圏における購買力平価と実質為替相場の条件付き収束

というNBER論文が上がっている。原題は「Conditional PPP and Real Exchange Rate Convergence in the Euro Area」で、著者はPaul R. Bergin(UCデービス)、Reuven Glick(SF連銀)、Jyh-Lin Wu(国立中山大学)。 以下はその要旨。 While economic theory …

フリーランチは無くとも安いランチは沢山ある

というFT論説をサマーズが書いている(原題は「No free lunches but plenty of cheap ones」;H/T Economist's View)。 Trade-offs have long been at the center of economics. The aphorism “there is no such thing as a free lunch” captures a central…

ユーロ=スイスフラン相場の下限に関する金融市場の見解

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Financial Markets' Views about the Euro-Swiss Franc Floor」で、著者はUrban J. Jermann(ペンシルベニア大)。 以下はその要旨。 Exchange rates and option prices incorporate market participant…

我々の子供は経済成長を知らないままで終わるのか?

サマーズが表題のプロスペクト誌論説(原題は「Will our children really not know economic growth?」)でロバート・ゴードンの下記の本の書評を書いている(H/T Economist's View)。The Rise and Fall of American Growth: The U.S. Standard of Living S…

NYTには数学の分かる編集者が必要

とDigitoplyのJoshua Gansが書いている(H/T Economist's View)。 Gansは「Originals: How Non-conformists Change the World」という新著を出すアダム・グラント・ペンシルベニア大ウォートン校教授*1の「How to Raise a Creative Child」というNYT記事を…

そもそも金融政策は中央経済計画以外の何だと言うのか?

と題したエントリでMostly Economicsが、Paul-Martin FossのMises.orgブログ記事を紹介している(原題は「What is monetary policy anyway other than centralized economic planning?」)。 以下は元記事からの引用。 If you thought the Soviet Union’s co…

貿易数字ゲーム

貿易ネタをもう一丁。ダニ・ロドリックが表題のProject Syndicate記事(原題は「The Trade Numbers Game」)で、TPPに関する2つの貿易モデルの結果を対比させている(H/T Economist's View)。 2つのモデルとは、Peter Petri(ブランダイス大)とMichael Plu…

世界貿易の減少という未解明の謎

という論説をMark ThomaがCBS Money Watchに書いている(原題は「The unsolved mystery of falling global trade」;H/T Economist's View)。 そこで彼は、世界貿易が減少した理由の候補として、以下を挙げている。 景気後退 もしそれが原因ならば、景気回…

喫煙から肥満への影響

について調べたNBER論文が上がっている。原題は「The Effect of Smoking on Obesity: Evidence from a Randomized Trial」で、著者はジョージア州立大のCharles Courtemanche、Rusty Tchernis、Benjamin Ukert。 以下はその要旨。 This paper aims to identi…

如何にしてフリードマンとシュワルツはマネタリストとなりしか

という論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「How Friedman and Schwartz Became Monetarists」で、著者はギリシャ銀行のGeorge S. Tavlas。 以下はその要旨。 During the late‐1940s and the early‐1950s Milton Friedman favored a rule under wh…

チリの社会保障制度、および、いかにルインスキーが米国における同様の改革を阻んだかについての物語

チリでの年金民営化を労働・社会保障大臣として成功させ、その後、ケイトー研究所のシニアフェローとして世界に年金民営化を広める伝道師となっているホセ・ピネラ(José Piñera)が、クリントン政権時代に米国での年金改革の実現に尽力した経緯を同研究所の…

1枚の図で分かるFRBの間違い

前回、昨年のFRBの政策を誤りと指弾したデビッド・ベックワースのエントリを紹介したが、「More on the Fed's Mistake of 2015」と題した後続エントリでベックワースは、以下の図を紹介している。これはInvestor's Business DailyのJed Grahamが書いた1/29付…

FRBは12月に間違いを犯したわけではない

というタイトルのデビッド・ベックワースのエントリが少し前にEconomist's Viewで流れて(原題は「The Fed Did Not Make A Mistake In December」)、一瞬、「え、ベックワースが金利引き上げ擁護?」と思ったが、中身を読むとやはりベックワースはベックワ…

コチャラコタ「FRBにはコミュニケーションの専門家が必要」

昨日紹介したインタビュー記事でコチャラコタは、引用部分の直前で、マイナス金利以外の実際に用いられた非伝統的金融政策について以下のように評している。 LSAPS do have limitations as a monetary policy tool. The big problem is that it always seeme…

コチャラコタとマイナス金利

日銀のマイナス金利政策を受けてコチャラコタが自HPに簡単な論評を書いているが、同じ日(2/1)にMoneyandBankingブログに掲載されたインタビューで概ね同内容のことをより簡潔に語っているので、以下に引用してみる(いずれもEconomist's View経由。ただし…

米国の税政策および不平等な経済成長と景気後退に含意される実証的および規範的な判断

というNBER論文が上がっている。原題は「Positive and Normative Judgments Implicit in U.S. Tax Policy, and the Costs of Unequal Growth and Recessions」で、著者はBenjamin B. LockwoodとMatthew C. Weinzierl(いずれもハーバード大、Lockwoodは博士…

自信過剰と職業上の選択

というNBER論文を元CEA委員長のエドワード・ラジアーが書いている(原題は「Overconfidence and Occupational Choice」)。 以下はその要旨。 A statistical theory of overconfidence is proposed and applied to the issue of occupational choice. Indivi…