2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧
一昨日と昨日に引き続き、ロゴフ都内講演トランスクリプトから気になったところを2つばかりピックアップしてみる。なお、以下の引用部に限らずトランスクリプト全体を通して言えることだが、ロゴフという人は話に様々なエピソードを盛り込むのが非常にうまい…
昨日取り上げたロゴフ都内講演トランスクリプトで、全体的な主張への違和感とは別に、少し首を傾げたところが一箇所あったので、以下に紹介する。 The Depression in World War II is that giant one there when Germany was in default. Japan was in defau…
昨日紹介したクルーグマンブログのコメンターが言及したロゴフの最近の講演に関する資料をネットで探していたら、このトランスクリプトを見つけた。日付は今年の2/23になっているが、どこの講演のものかは書かれていない。また、トランスクリプトを起こした…
3/7エントリで、ラインハート=ロゴフは政府債務と成長の因果関係を逆に見ているのではないか、というNeo-Chartalistの論者の見方を紹介したが、その後、クルーグマンも3/12ブログエントリで同様の見方を示した。 What I think I’m seeing, although I haven…
クルーグマンの批判を契機に中国の為替問題がクローズアップされている。中国の為替相場が人為的に低くされているのが、流動性の罠に蝕まれている世界に取って問題であり、その為替相場を増価させれば中国の過剰輸出も収まる、というのがクルーグマンの論理…
昨日紹介した第二弾はマンキューの単発的な言及に終わって議論には発展しなかったが、今日紹介する第三弾はそれなりにお互いに言及している(ただし、両者の間のキャッチボールというよりは、それぞれ好き勝手な方向にボールを投げている感が否めないが)。 …
ここしばらく途絶えていたが、先週からクルーグマンとマンキューがブログで再びお互いに言及し始めた。 グレッグ君 ポール君の中国の為替に関するコラム*1をどう思うかって? 1年前にこのことについて書いたけど、僕の考えはその時と変わっていないよ*2。 *1…
ここまでの一連のハイパーインフレーションモデルに関するエントリでは、基本的にローマーを参照し、貨幣需要関数としてケーガンの関数を用いてきた。一方、これらのエントリのきっかけとなった岩本康志氏のモデルでは、もっと簡単な という貨幣需要関数を用…
拙ブログの3/15エントリで岩本康志氏のハイパーインフレーションモデルに関するブログエントリを取り上げ、TBを打ったところ、岩本氏から直接のコメントを頂いた。その後も自分の勉強を兼ねてローマーの教科書を基にハイパーインフレーションモデルに関する…
WSJブログでハーバードのある学生の卒業論文が取り上げられている(マンキューブログ経由;wrong, rogue and booklogでも紹介されている)。記事によると、マイケル・ルイス(「ライアーズ・ポーカー」の著者)の新著「The Big Short: Inside the Doomsday M…
3/17エントリで導いた という式に関し、3/19エントリへのコメントで、これは名目貨幣成長率gM一定を仮定しているので、シニョリッジd一定を仮定した場合には対応しない、という指摘を岩本康志氏から頂いた。それに対する小生の返答は、gM一定の仮定で導いたπ…
イースタリーが面白いことを書いているので、以下に訳してみる(Economist's View経由)。 経済学は国は専門に特化せよという…経済学への特化を含めて(Economics tells countries to specialize…including specializing in economics) 経済学で最も権威が…
3/17エントリで導いた という式について、追記(脚注1)で 幸か不幸か齊藤誠氏が「先今」で展開して黒木玄氏の批判を浴びたハイパーインフレモデルの簡略版になっている と書いたが、一応その辺りを数学的に補足しておく。 齊藤氏の(13)式は、 である。よっ…
拙ブログの3/13エントリでNaked Capitalismのワシントンのゲストエントリに触れたが、そのワシントンの主張にデビッド・ベックワースが反論している。 Reflationists receive a smackdown over at Naked Capitalism. There the guest blogger Washington tak…
昨日のエントリでローマーのシニョリッジとインフレの関係を論じた部分を自分なりにまとめてみたが、動学的な部分を積み残してしまったので、今日はそれについてのまとめ。 昨日論じた際は、注に記したように、インフレ率が名目貨幣成長率に等しく、実質貨幣…
昨日のエントリを書きながらローマーの教科書を参照していたが、今日は彼によるこの辺りの説明を少し自分なりに整理してみようと思う。 ローマーの説明では、以下のケーガンの貨幣需要関数を前提にしている。 ln(M/P) = a - bi + ln(Y) ここでMは名目貨幣残…
岩本康志氏がハイパーインフレーションについての簡単なモデルを提示した。しかし、モデル自体は簡潔で分かりやすいものの、その解釈ならびに提示された図がやや分かりにくいものになっている。そこで以下では、より直観的に分かりやすい解釈を試みてみる。 …
池田信夫氏が法人税減税を取り上げた3/13エントリで、法人税減税は投資に効果は無い、という記述があった。そこで、少し調べてみると、野口悠紀雄氏が以下のようなことを書いていることがわかった。 法人税率を引き下げれば、税引き後の投資収益率は上昇する…
アンドリュー・スコットというロンドン・ビジネス・スクール教授が、voxeuに「政府債務の長期波動(The long wave of government debt)」という論説を書いている。 彼によると、経済学はどの程度の債務水準が高すぎるかについては教えてくれない。しかし、…
コーン辞任の後を受けてFRB副議長への就任が濃厚になってきたジャネット・イエレンの横顔を、WSJブログが「Who is Janet Yellen?」と題して取り上げている。以下はその拙訳。 ジャネット・イエレン・サンフランシスコ連銀総裁は、バラク・オバマ大統領によっ…
3/2にラトビアの話を紹介したが、そこでリンクしたEdward Hughの2/26付けのA Fistful of Euros記事に対し、同じA Fistful of Eurosに3/4付けで反論記事が上がった。書いたのはMorten Hansenというストックホルム経済大学リガ校(Stockholm School of Economi…
昨日はサンフランシスコ連銀の生産性とGDPギャップに関するレポートを紹介したが、シカゴ連銀総裁のチャールズ・エバンスも、3/9の全米企業エコノミスト協会(NABE)経済政策コンファレンス(Economic Policy Conference)講演で同様のことを述べている(Eco…
池田信夫氏の3/7ブログエントリ「構造改革はGDPギャップを拡大するか」に対し、solidarnoscさんが 需要Yが制約要因になっていればGDPギャップは大きくなるよ。生産性Aを上げても、需要による制約でYが不変なら、K(労働投入),L(資本投入)が小さくなる。(…
クルーグマンが3/3ブログエントリで、温暖化対策に関する覚書にリンクしている。その覚書で彼は、トービンのq理論を応用した位相図を描いているが、そうした位相図に個人的に馴染みが無かったので、ぐぐってみたところ、この文献を見つけた。そこで、その文…
一昨日のエントリで政府債務を問題視するラインハート=ロゴフへの異議申し立てを紹介したが、彼らの見解については、当然のごとくポストケインジアン=Neo-Chartalistも大いに反発している。 彼らの根城とでも言うべきカンザスブログの直近エントリでは、Ma…
昨日(と言っても日本時間で言えばほぼ今日)、サンフランシスコ連銀で「Financial Market Imperfections and Macroeconomics」という一日掛かりのセミナーが行なわれたらしい(Economist's View経由)。スケジュール表を見ると、イエレン総裁自身が開会の辞…
ティム・ハーフォードが3/1にそう書いている(Economist's View経由。原題は「Maybe debt doesn’t matter after all」)。以下はその拙訳。 土曜日に私は、高水準の政府債務が経済成長に与える恐るべき効果に関するカーメン・ラインハートとケン・ロゴフの論…
昨日のエントリでは、4%のインフレ率を維持してゼロ金利に陥るのを免れた豪州に関するトピックを紹介した。これは、恰もブランシャールの提言を実践したかのような形になっている。 では、目標インフレ率とゼロ金利に陥る危険性をもっと定量的に関連付けた研…
かつてアラン・グリーンスパンに冠せられた金融政策のマエストロという称号は、今やオーストラリアの中央銀行である豪州準備銀行(Reserve Bank of Australia=RBA)総裁のグレン・スティーブンスこそ相応しい、という記事をデビッド・ベックワースが紹介し…
エコノミスト誌が、ラトビアの経済政策は取りあえず成功し、ギリシャよりましな状態にある、と書いたのに対し、クルーグマンが失笑している。 ラトビアについては、以前、拙ブログでも取り上げたが、通貨切り下げを拒み、その代わりに国内物価を下げるデフレ…