債務問題はインフレですべて解決するなどと言うリフレ派はいない

拙ブログの3/13エントリでNaked Capitalismのワシントンのゲストエントリに触れたが、そのワシントンの主張にデビッド・ベックワースが反論している

Reflationists receive a smackdown over at Naked Capitalism. There the guest blogger Washington takes to task all those observers who claim we can inflate our way out of the debt crisis. He notes that any inflation benefit will be offset by problems from higher interest rates and creditors fleeing the United States. I am not sure the reflationists of the world ever claimed we should (or even could) eliminate all of our debt problems with inflation, only that we could lighten the real debt burden enough to allow for faster economic recovery. The slightly higher inflation could also be part of a plan that would do more than just lower real debt burdens. It would also increase inflationary expectations--if the higher inflation were perceived to be permanent--and thereby increase current spending.
(拙訳)
Naked Capitalismでリフレ派が攻撃されている。ゲストブロガーのワシントンが、債務危機はインフレで脱出できると主張する者すべてを論難している。彼は、いかなるインフレの恩恵も、高金利と債権者が米国から離れるという問題によって相殺される、と主張する。私は、世の中のリフレ派が、債務問題すべてをインフレで解決するべき(ないし解決できる)と主張したとは思わない。単に、実質債務負担を軽減して景気回復を早めることが可能だ、と言っているだけなのだ。また、インフレを少し高めることの経済効果は、単に実質債務負担を軽減するに留まらない。インフレ率の上昇が恒久的なものだと受け止められれば、インフレ期待を高め、現在の支出を増やすという効果もある。


Reflationistという言葉が使われているが、少なくとも彼のブログではこの言葉は初出のようだ。ひょっとしたらこれから米国の経済ブログでこの言葉が市民権を得ていくのかもしれない。


なお、彼は同じエントリで、小生が3/6に紹介したMarco Del Negro, Gauti Eggertson, Andrea Ferrero, Nobuhiro Kiyotakiの論文を取り上げ*1金利がゼロ下限に達しても金融政策が無力でないことの新たな証拠、としている。

*1:その3/6エントリで小生は「当該セッションの討論者はジェームズ・ハミルトンとのことなので、ひょっとしたらEconbrowserで何らかの後報が上がるかもしれない」と書いた。すると、実際にハミルトンは3/6エントリでこの論文に言及した。ただ、その取り上げ方は(少なくとも小生の)期待とは違っていて、この論文のように皆は危機が起きた後の処理に目が向いているが、危機がどのように醸成されたかについてもっと関心を払うべきだ、というように彼の主張のだしに使われていた。