2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧
前回エントリで引用したイェンス・ヴァイトマン講演では、「金融の安定性を金融政策の目的に追加することは、益よりも害が大きいと思われます」という話の直前に、その例証として植田健一・東京大学准教授の共著論文を挙げている。 By generating higher inf…
次期ECB総裁の芽がやや遠のいたと噂されるイェンス・ヴァイトマン・ドイツ連銀総裁が、8/20-21にフランクフルトで開かれたCentral Bank Research Associationの年次大会の初日に講演を行い、同組織の略称CEBRAとzebraの類似性に引っ掛けて、金融政策とマクロ…
というNBER論文をシュライファーらが書いている(ungated版)。原題は「Over-reaction in Macroeconomic Expectations」で、著者はPedro Bordalo(オックスフォード大)、Nicola Gennaioli(ボッコーニ大)、Yueran Ma(シカゴ大)、Andrei Shleifer(ハーバ…
「Does Machine Translation Affect International Trade? Evidence from a Large Digital Platform」というNBER論文が上がっている(ungated版)。著者はErik Brynjolfsson(MIT)、Xiang Hui(セントルイス・ワシントン大、MIT)、Meng Liu(同)。 以下は…
というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Evaluating the Economic Cost of Coastal Flooding」で、著者はKlaus Desmet(サザンメソジスト大)、Robert E. Kopp(ラトガーズ大)、Scott A. Kulp(クライメート・セントラル*1)、Dávid Krisztián…
マンキューがビル・ゲイツの書いた記事(ゲイツのブログでの同記事)の以下の冒頭部に着目し、彼はどの教授に習ったのだろう、と訝しんだ。 By the second semester of my freshman year at Harvard, I had started going to classes I wasn’t signed up for…
前回エントリで引用したヴァイナーの方法論に関するエピソードの直後にフリードマンは、もう一人の師であるフランク・ナイトのエピソードを回想している。 Knight’s would not have had any methodological component at all. Knight never was influenced b…
以前のエントリで、「今の経済学は、現実の経済問題を扱うことを避けて、神秘的な数学の一分野になってしまっている」、「経済学という学問は『分析の機関車』だ」というフリードマンの言葉を紹介したことがあったが、ハモンドのフリードマン・インタビュー…
引き続きハモンドのフリードマンへのインタビューから、方法論に関する箇所を引用してみる。 J.D.H. You indicated to me in correspondence [28 March 1986] that your interest in methodology was not sufficient to get involved in the debate that gre…
ハモンド・インタビューの昨日エントリで紹介した箇所でフリードマンは、ポパーから大きな影響を受けたことを認めている。しかしその後ポパーは、フリードマンの方法論を道具主義(instrumentalism)としてむしろ批判するようになり、人間的にも寛容さを失っ…
引き続きハモンドのフリードマンへのインタビューからの引用。 J.D.H. Did you read much philosophy? M.F. None. J.D.H. Any philosophy when you were a graduate student? M.F. None that I recall. Not only that, I don’t recall ever having read much…
引き続きハモンドのフリードマンのインタビューから、原因という言葉の使い方に関するやり取りを引用してみる。一般向け著作ではその言葉を使っているではないか、というハモンドの突っ込みに対しフリードマンは、その方が分かりやすいからね、とかわしてい…
昨日エントリで紹介した部分の続きでフリードマンは、因果関係に関する自分の考え方を、シュワルツとの共著書の米国金融史における例を取って説明している。 J.D.H. What kind of information is that, the outside information? Isn’t that information abo…
Mostly Economicsが30年前の1988年5月24日に実施されたフリードマンへのインタビューを紹介している。インタビュアーはJ. Daniel Hammond。 以下はその冒頭。 J.D.H. The first paper that I wrote about your work [‘Monetarist and Anti-monetarist Causal…
について分析したNBER論文が2本上がっている。 一つは、田中聡史さんのツイートでも紹介されている、「Re-examining the Effects of Trading with China on Local Labor Markets: A Supply Chain Perspective」と題された論文で、著者はZhi Wang(ジョージ・…
というNBER論文をジョン・キャンベルらが上げている(ungated版)。原題は「Do the Rich Get Richer in the Stock Market? Evidence from India」で、著者はJohn Y. Campbell(ハーバード大)、Tarun Ramadorai(インペリアル・カレッジ・ロンドン)、Benjam…
かつてリーマンショックによる米国雇用統計の季節調整の歪みに関する論文を出したジョンズ・ホプキンス大学のJonathan H. Wrightが、7月の包括的改訂後の米GDPの季節性を検証した表題のNBER論文(原題は「Seasonal Adjustment of NIPA data」)を上げている…
機械が人間を置き換える、という懸念が一般に取り沙汰されているが、マクロ的に見ると英経済では逆のことが起きている、とクリス・ディローが表題のエントリ(原題は「The robot paradox」)で指摘している。 ...the gap between the growth of the non-dwel…
というNBER論文をエガートソンとサマーズらが上げている(ungated版)。原題は「Aging, Output Per Capita and Secular Stagnation」で、著者はGauti B. Eggertsson(ブラウン大)、Manuel Lancastre(同)、Lawrence H. Summers(ハーバード大)。 以下はそ…
Francis Dieboldが表題のエントリ(原題は「Factor Model w Time-Varying Loadings」)で、スタンフォードのMarkus PelgerとRuoxuan Xiongの論文「State-Varying Factor Models of Large Dimensions」にリンクし、自分の以前の研究と関連付けている。 Diebol…
ウィリアム・ヴィックリーがノーベル経済学賞を受賞する2世紀も前に、ヴィックリー・オークションとも呼ばれるセカンドプライス・オークションをゲーテが実施していた、というエピソードをAvinash M TripathiがPragati誌記事で紹介している(H/T Mostly Econ…
というNBER論文が上がっている。原題は「Risks and Returns of Cryptocurrency」で、著者はイェール大のYukun LiuとAleh Tsyvinski。Marginal Revolutionで取り上げられているほか、日本の仮想通貨関連の各サイトでも紹介されている(ここ、ここ、ここ、ここ…
引き続きフィールズ賞関連ネタ。5日エントリでリンクしたPeter Woitブログの最新記事では、授賞組織である国際数学者会議のマスコミ対応の拙さを指摘している。 While I was away the big mathematics news was from the ICM. As everyone expected, one of …
5日エントリで2人のフィールズ賞受賞者のコメントを紹介したブログエントリには、もう一人、今年のフィールズ賞受賞者であるAkshay Venkateshもコメントしていた(H/T math_jinさんツイート)。ただ、その内容は「完全同意。(I couldn’t agree more.)」と…
というNBER論文(原題は「Friedman and Phelps on the Phillips Curve Viewed from a Half Century's Perspective」)をロバート・ゴードンが上げている。 以下はその要旨。 In the late 1960s the stable negatively sloped Phillips Curve (PC) was overtu…
引き続き今年のフィールズ賞ネタ。A Fine Theoremブログが、今回フィールズ賞を受賞したアレッシオ・フィガリとネヴァンリンナ賞を受賞したコンスタンティノス・ダスカラキスの業績と経済学との関連について、表題のエントリ(原題は「The 2018 Fields Medal…
今月初めにフィールズ賞を受賞したピーター・ショルツ*1が、京都大学の望月新一教授によるabc予想の証明に問題点を見つけた、という話をこちらのツイート経由で知った。ただ、ショルツのその指摘を望月氏は認めておらず、今年3月に京都で直接顔を合わせた際…
GDPの予測を、一人当たりGDPと「経済的適応度(economic fitness)」の2次元モデルで行った論文がNature Physicsに上がっている(H/T タイラー・コーエン)。論文のタイトルは「A dynamical systems approach to gross domestic product forecasting」で、著…
という共著NBER論文をAutorが上げている(3月のブルッキングスセミナー用WP)。原題は「Is Automation Labor-Displacing? Productivity Growth, Employment, and the Labor Share」で、著者はDavid Autor(MIT)、Anna Salomons(ユトレヒト大)。 以下はそ…
というNBER論文が上がっている(ungated版、スライド版)。原題は「Business Cycle Anatomy」で、著者はGeorge-Marios Angeletos(MIT)、Fabrice Collard(ベルン大)、Harris Dellas(同)。 以下はその要旨。 We dissect the comovement patterns of the …