共産主義の遺産から黒歴史へ:ルーマニアの場合

という論文(原題は「From a Communist Heritage to an Unwanted Past: The Case of Romania」)をMostly Economicsが紹介している。著者はRicardo ParraとJorge Ferraz(いずれもEstoril Higher Institute for Tourism and Hotel Studies)。以下はその要旨…

財政拡大余地の重要性について:コロナ禍における空売りからの実証結果

少し前に財政支出の拡大余地を理論面から研究したNBER論文を3本紹介したことがあったが、財政拡大余地が株式市場を通じて個別企業に与える影響を実証面から研究した表題のドイツ連銀の論文をMostly Economicsが先月末に紹介していた。原題は「On the importa…

揺らぐ正当性:過去の中国における地震の紛争への影響

16日エントリで紹介した中国での日食と反乱の関係に似たテーマを扱った研究として、中国での地震と反乱の関係を扱った表題の論文が出されている(H/T 川口康平さんツイート)。原題は「Shaking Legitimacy: The Impact of Earthquakes on Conflict in Histor…

今も残るスペイン宗教裁判の傷跡

「As one sees shocking pictures from Afghanistan, here is a reminder from Spanish inquisition(アフガニスタンでのショッキングな映像が飛び込んできたが、この記事ではスペインの異端審問を呼び起こしている)」というコメントを添えてMostly Economi…

大都市は今後どうなるのか?

都市に関する論考をもう一丁。歴史家のハロルド・ジェームズが、表題のProject Syndicate論説(原題は「What Next for Great Cities?」)でメガシティについて考察している(H/T Mostly Economics)。彼が言うには、ロンドン、ニューヨーク、香港のような大…

都市の統一理論

というNBER論文が少し前に上がっていた(ungated版)。原題は「A Unified Theory of Cities」で、著者はJacques-François Thisse(ルーヴァン・カトリック大CORE*1)、Matthew A. Turner(ブラウン大)、Philip Ushchev(国立研究大学高等経済学院*2)。 以…

ポール・ローマーのブースター接種推進論

ポール・ローマーが3回に亘るブログエントリで、ブースター接種の必要性を訴えている(8/23エントリ、8/24エントリ、9/15エントリ;H/T タイラー・コーエン)。 彼の主張のポイントを抜き書きすると以下の通り。 以下の2点について、米政府がどちらかしかで…

バングラデシュのマスク研究から何を結論すべきか?

バングラデシュでのRCTの結果を基に、マスクはコロナ感染防止に有効である、という報告が出されたが、UCバークレーの機械学習の研究者であるBen Rechtが「Effect size is significantly more important than statistical significance.」と題したブログエン…

ビッグデータを使って気候変動対策に情報を提供するソロモン・シャンのプロフィール

と題したエントリ(原題は「Profile*1 of Solomon Hsiang, who uses big data to inform climate change policies..」)でMostly Economicsが、IMFの季刊誌Finance & Development9月号の人物紹介記事の冒頭を引用している。この季刊誌の記事は本ブログでも何…

AIの害

というNBER論文(原題は「Harms of AI」)をアセモグルが上げている(ungated版)。以下はその要旨。 This essay discusses several potential economic, political and social costs of the current path of AI technologies. I argue that if AI continues…

日食と革命の記憶:中国についての実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「Eclipses and the Memory of Revolutions: Evidence from China」で、著者はMeng Miao(中国人民大)、Jacopo Ponticelli(ノースウエスタン大)、Yi Shao(北京大)。 以下はその要旨。 Why are certain communities…

経済成長の過去と未来:半内生的見解

以前ここやここでその研究内容を紹介したことのあるスタンフォード大のCharles I. Jonesが、表題のNBER論文(原題は「The Past and Future of Economic Growth: A Semi-Endogenous Perspective」)を先月上げている。以下はungated版の導入部からの引用。 Th…

パンデミックは社会的地位の(低い人ではなく)高い人の間で最初に拡大する:COVID-19とスペイン風邪の実証結果

という論文にタイラー・コーエンがリンクしている。原題は「Pandemics Initially Spread Among People of Higher (Not Lower) Social Status: Evidence From COVID-19 and the Spanish Flu」で、著者はJana B. Berkessel(マンハイム大)、Tobias Ebert(同…

結局準備預金はそれほど潤沢ではなかった

2019年9月のレポ金利急騰を調べたダレル・ダフィーらの表題の論文が8月に上がっていた(NY連銀WP)。原題は「Reserves Were Not So Ample After All」で、著者はAdam Copeland(NY連銀)、Darrell Duffie(スタンフォード大)、Yilin Yang(同)。 以下はそ…

完全な後知恵で見た2000年代の住宅循環:新キンドルバーガー流の見解

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「The 2000s Housing Cycle With 2020 Hindsight: A Neo-Kindlebergerian View」で、著者はGabriel Chodorow-Reich(ハーバード大)、Adam M. Guren(ボストン大)、Timothy J. McQuade(UCバークレー)。…

先進国の歴史上のどの年が今日のインドに近いのか?

The Leap Blogというブログの表題のエントリ(原題は「What year in the history of an advanced economy is like India today?」、著者はAnanya Goyal、Renuka Sane、Ajay Shah)をMostly Economicsが引用している。以下はその引用部の孫引き。 India has b…

植民地の罠

というイアン・ブルマのProject Syndicate論説(原題は「The Colonial Trap」)をMostly Economicsが紹介している。以下は引用部の孫引き。 On February 20, 1947, Clement Attlee, the socialist British prime minister, informed parliament that India w…

経済学論文の経済学

経済学論文の掲載に時間が掛かることをテーマとしたNBER論文が8月に2つ上がっていた。一つは Lester R. Lusher(ハワイ大学マノア校)、Winnie Yang(UCデービス)、Scott E. Carrell(同)による「Congestion on the Information Superhighway: Does Econom…

ケインズの経済思想の発展に関する一調査

という小論をMostly Economicsが紹介している。原題は「A Survey on the Evolution of Keynes' Economic Thought」で、著者はBarkin Cihanli(バード大レヴィ経済研究所)。 以下はその要旨。 There has been on-going controversy about the evolution of J…

自由と安全のフロンティア

9/4エントリで取り上げたアレックス・タバロックの豪州批判にタイラー・コーエンも参戦し、「自由と安全のフロンティア(liberty vs. safety frontier)」ないし「自由と生命のフロンティア(liberty vs. lives frontier)」に豪州は乗っていないのではない…

操作変数法について有効なt値の推計

というNBER論文が先月上がっている(昨年10月時点のWP)。原題は「Valid t-ratio Inference for IV」で、著者はDavid S. Lee(プリンストン大)、Justin McCrary(コロンビア大)、Marcelo J. Moreira(FGV)、Jack Porter(ウィスコンシン大学マディソン校…

炎上後:1921年のタルサ人種虐殺の経済的影響

ウォッチメンのTVシリーズのテーマともなったタルサ人種虐殺(cf. タルサ人種虐殺 - Wikipedia*1)の経済的影響を取り上げた表題のNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「After the Burning: The Economic Effects of the 1921 Tulsa Race Massacre…

ワクチンの確保と接種の遅れが招いたこと

アレックス・タバロックが9/3付けMRブログエントリで、豪州のロックダウンは行き過ぎ、という主旨のアトランティック記事を紹介している(タイラー・コーエンもその少し前に「Has Australia gone too far?(豪州はやり過ぎたのか?)」というコメントを添え…

ワクチンパスポートにワクチン接種促進効果はない

ということを理論的に示したNBER論文「Vaccine Hesitancy, Passports and the Demand for Vaccination」を少し前にJoshua S. Gans(トロント大)が上げている。以下はその要旨。 Vaccine hesitancy is modelled as an endogenous decision within a behaviou…

ウイルス、ワクチン接種、投票

というNBER論文をジェフリー・フランケルらが上げている。原題は「The Virus, Vaccination, and Voting」で、著者はJeffrey A. Frankel、Randy Kotti(いずれもハーバード大)。 以下はその要旨。 Vaccination rates have a statistically significant downw…

それって本当にクズネッツ曲線なの? 中国の所得格差のターニングポイント

というNBER論文が上がっている。原題は「Is that Really a Kuznets Curve? Turning Points for Income Inequality in China」で、著者はMartin Ravallion(ジョージタウン大)、Shaohua Chen(厦門大)。 以下はその要旨。 The path of income inequality in…

統計的生命価値:メタ分析のメタ分析

タイラー・コーエンも取り上げているが、表題のNBER論文が上がっている。原題は「The Value of Statistical Life: A Meta-analysis of Meta-analyses」で、著者はジョージア州立大のH. Spencer Banzhaf。 以下はその要旨。 The Value of Statistical Life (V…

社会民主主義の形成:ノルウェーの1936年の国民学校改革の経済面・選挙面での帰結

アセモグルのNBER論文をもう一丁。以下はDaron Acemoglu(MIT)、Tuomas Pekkarinen(アールト大)、Kjell G. Salvanes(ノルウェー経済高等学院)、Matti Sarvimäki(アールト大)による表題の論文(原題は「The Making of Social Democracy: The Economic …

労働市場での従順さと社会的移動性:社会経済的アプローチ

アセモグルの今月のNBER論文をもう一丁。以下は、表題のNBER論文(原題は「Obedience in the Labor Market and Social Mobility: A Socio-Economic Approach」、ungated版)の要旨。 This paper presents an analysis of what types of values, especially i…

(成功した)民主主義は自らの支持を育む

というNBER論文をアセモグルらが上げている。原題は「(Successful) Democracies Breed Their Own Support」で、著者はDaron Acemoglu(MIT)、Nicolás Ajzenman(サンパウロ・スクール・オブ・エコノミクス)、Cevat Giray Aksoy(欧州復興開発銀行)、Marti…