2017年の税制改革は民主党支持者に不利に働いたのか?

というトランプ減税の政治的効果を調べたコトリコフらのNBER論文が先月上がっている(ungated版、cf. ナショナルレビューの批判的な記事)。原題は「Did the 2017 Tax Reform Discriminate against Blue State Voters?」で、著者はDavid Altig(アトランタ連…

ゼロ金利下限制約の実証的(非)重要性について

というNBER論文が上がっている(昨年初めのWP)。原題は「On the Empirical (Ir)Relevance of the Zero Lower Bound Constraint」で、著者はDavide Debortoli(ポンペウ・ファブラ大学)、Jordi Galí(Centre de Recerca en Economia Internacional (CREI)…

財政出動余地と金融危機の後遺症:なぜ、どのように問題になるのか?

先月にNBER論文も上がっているが、3月のブルッキングス研究所のコンファレンスでローマー夫妻が表題の論文(原題は「Fiscal Space and the Aftermath of Financial Crises: How It Matters and Why」)を出している。 以下はその要旨。 In OECD countries ov…

特性ベースのリターン予測可能性の動学モデル

バリュー株効果はB/Pがリスク要因を捉えているから、というファーマの説に異を唱え、そうした株式の特性が投資家の過剰反応と結び付いているから、という説を唱えているティットマン*1が、自説のメカニズムに関する動学モデルを提示した表題のNBER論文を上げ…

流動性リスクが重要になる時

「Liquidity Risk After 20 Years」というNBER論文が上がっている。著者はLubos Pastor(シカゴ大)、Robert F. Stambaugh(ペンシルベニア大)。 以下はその要旨。 The Critical Finance Review commissioned Li, Novy-Marx, and Velikov (2017) and Pontif…

資産価格バブルとシステミックリスク

というNBER論文をブルナーメイヤーらが書いている(2年前のWP)。原題は「Asset Price Bubbles and Systemic Risk」で、著者はMarkus K. Brunnermeier(プリンストン大)、Simon C. Rother(ボン大)、Isabel Schnabel(同)。 We analyze the relationship …

分位点回帰モデルにおける従属変数の誤差

というNBER論文が上がっている(3年前のWP)。原題は「Errors in the Dependent Variable of Quantile Regression Models」で、著者はJerry A. Hausman(MIT)、Haoyang Liu(NY連銀)、Ye Luo(香港大)、Christopher Palmer(MIT)。 以下はその要旨。 The…

投資の二重計上

「Double-Counting of Investment」というNBER論文をロバート・バローが上げている。以下はその要旨。 The national income and product accounts double-count investment, which enters once when it occurs and again in present value when the cumulate…

銀行のリスク動学とデフォルトへの距離

というNBER論文が上がっている(2年前のWP)。原題は「Bank Risk Dynamics and Distance to Default」で、著者はStefan Nagel(シカゴ大)、Amiyatosh Purnanandam(ミシガン大)。 以下はその要旨。 We adapt structural models of default risk to take in…

適者生存:最低賃金の企業退出への影響

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Survival of the Fittest: The Impact of the Minimum Wage on Firm Exit」で、著者はDara L. Luca(Mathematica Policy Research)、Michael Luca(ハーバード大)。 以下はその要旨。 We study the im…

ほぼキャッシュレスの信用経済における交換の媒介としての貨幣

というNBER論文が上がっている。原題は「On Money as a Medium of Exchange in Near-Cashless Credit Economies」で、本ブログでは昨年暮れのエントリの注でungated版にリンクしたことがある。著者はここで紹介したNBER論文のコンビであるRicardo Lagos(NYU…

経営危機に陥った銀行は本当に再生への賭けを行うのか?

というNBER論文が上がっている。原題は「Do Distressed Banks Really Gamble for Resurrection?」で、著者はItzhak Ben-David(オハイオ州立大)、Ajay A. Palvia(通貨監査局)、René M. Stulz(オハイオ州立大)。 以下はその要旨。 We explore the action…

政府債務の優劣構造

というNBER論文が上がっている(2年前のWP)。原題は「The Seniority Structure of Sovereign Debt」で、著者はMatthias Schlegl(上智大*1)、Christoph Trebesch(キール世界経済研究所)、Mark L.J. Wright(ミネアポリス連銀)。 以下はその要旨。 Sover…

高圧経済におけるインフレの展望:フィリップス曲線は死んだのか、それとも冬眠しているだけか?

というNBER論文が上がっている。原題は「Prospects for Inflation in a High Pressure Economy: Is the Phillips Curve Dead or is It Just Hibernating?」で、著者はPeter Hooper(ドイツ銀)、Frederic S. Mishkin(コロンビア大)、Amir Sufi(シカゴ大)…

金融危機をモデル化する際に取り込むべき4つの事実

をSF連銀のPascal Paulが同連銀のEconomic Letterで挙げている(H/T Mostly Economics)。 以下はその結論部。 This Economic Letter describes four empirical facts about financial crises: (1) crises are rare, (2) they occur out of credit booms, (3…

米短期金融市場の異変?

デビッド・ベックワースとStephen Williamsonが最近の米短期金融市場の動きに首を捻っている。 その動きとは、2018年初めまでは IOER > FF金利 > 翌日物レポ金利 ≳ ON-RRP金利 の関係が概ね成立していたのが(ただし、IOER=超過準備預金への付利、ON-RRP=…

経済政策は絶望死を減らせるか?

というNBER論文が上がっている(H/T Economist's View)。原題は「Can Economic Policies Reduce Deaths of Despair?」で、著者はWilliam H. Dow、Anna Godøy、Christopher A. Lowenstein、Michael Reich(いずれもUCバークレー、GodøyとReichは労働雇用研究…

全ての価格、経済の価値

今回ジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞したエミ・ナカムラの業績を「The Price of Everything, the Value of the Economy: A Clark Medal for Emi Nakamura!」と題したエントリでA Fine Theoremブログが紹介している(H/T Economist's View)。 以下はそこか…

経済地理の逆襲

「Economic geography bites back」という小論をブルッキングス研究所のIndermit Gillが書いている。以下はその冒頭部。 Ten years ago, Paul Krugman won the Nobel Prize in Economics, and the World Bank published the World Development Report “Resha…

服用量が毒を作る

Peter Bofingerというドイツ(!)・ヴュルツブルク大の経済学者が、表題のパラケルススの格言を引用して、Social Europe上でMMT擁護論をぶちあげている(H/T Economist's View)。 そこで彼はMMTをISLMの枠組みで捉え、MMTはIS曲線を右シフトすると同時に(…

高齢化が中立利子率を低下させる

28日エントリでは労働力人口の高齢化が経済活力を下げるというミネアポリス連銀の研究報告を紹介したが、セントルイス連銀の研究者(Sungki HongとHannah G. Shell)も高齢化が中立利子率を低下させるという考察を示している(H/T Mostly Economics)。 Demo…

MMとMMTの比較表

最近MMTが俄かにかまびすしくなったので、本ブログを通じて昔MMTを少し齧った記憶を基に、米国版リフレ派とでもいうべきマーケットマネタリスト(MM)との簡単な比較表を作成してみた。 ハイパワードマネーの源泉 信用創造 経済安定化のための政策目標 政策…

実質実効為替相場とグローバルバリューチェーン

Nikhil PatelとShang Jin Weiという2人の経済学者が、自分達の論文*1を基に、現在の実質実効為替相場の計算方法が時代にそぐわなくなっているとProject Syndicateで論じている(H/T Mostly Economics)。 Standard calculations of the REER by most central…

労働力人口の高齢化により経済の活力が低下した

という主旨のミネアポリス連銀WPを同連銀のRegion誌が紹介している。論文の著者はNiklas Engbomで、Region誌記事を書いたのはDouglas Clement。 以下は記事の概要。 労働力人口の45歳以上の割合は1980年代には30%以下だったが、現在は45%近くになっている。 …

[経済]マイナス名目金利と銀行貸し出し経路 予定より遅れましたが、再開します(ただし更新頻度は以前よりも落とす予定)。表題のNBER論文をサマーズやエガートソンらが書いている(2人によるVoxEU記事)*1。原題は「Negative Nominal Interest Rates and th…

[お知らせ]移行と休止のお知らせ はてなダイアリー更新停止まで1ヶ月となったので、はてなブログに移行しました。 なお、年末年始は事情により更新を停止します。再開は鏡開き(ただし一番遅い日)の頃になりそうです。

為替相場とカバー無し金利差:恒久的な金融ショックの役割

というNBER論文(原題は「Exchange Rates and Uncovered Interest Differentials: The Role of Permanent Monetary Shocks」)をコロンビア大のStephanie Schmitt-GrohéとMartín Uribeのコンビが上げている(ungated版、スライド資料)。 以下はその要旨。 W…

新興国経済向けであり新興国経済発である世界的安全資産

というNBER論文をマーカス・ブルナーメイヤーらが書いている(プレゼン資料)。原題は「A Global Safe Asset for and from Emerging Market Economies」で、著者はMarkus K. Brunnermeier(プリンストン大)、Lunyang Huang(同)。 以下はその要旨。 This p…

2008年の危機:太平洋横断的か大西洋横断的か?

というレポート(原題は「The 2008 crisis: transpacific or transatlantic?」)をBISのRobert N McCauleyが同行のQuarterly Reviewに書いている(H/T Mostly Economics)。 以下はその要旨。 This study analyses two hypotheses that ascribe the 2008 US …

経済史とグローバリゼーションの今日的課題

というNBER論文(原題は「Economic History and Contemporary Challenges to Globalization」)をオックスフォード大のKevin Hjortshøj O'Rourkeが上げている(ungated版)。 以下はその要旨。 The paper surveys three economic history literatures that c…