経済

マンキューのMMT論

マンキューが昨年12月に「A Skeptic’s Guide to Modern Monetary Theory」という小論を書いている(H/T マンキューブログ)。以下はその概要。 自国通貨を発行している国は債務不履行になることはない、というMMTの主張については、以下の3点で異論がある: …

将来世代はグレタ・トゥーンベリを許さない?

ふと、かつて温暖化対策の行き過ぎを諌めたビョルン・ロンボルグはグレタ・トゥーンベリについて何か言っているのかな、とぐぐってみたところ、9月末にこのような論説を書いていることを知った。以下はその概要。 人間が気候変動の科学を理解して行動しない…

アセモグル、エルドアン政権を語る

引き続きコーエンのアセモグルインタビューから、トルコの政治について触れた箇所。 Now, the future of political liberty in Turkey. Are you optimistic? And what’s the path back? ACEMOGLU: Well, I don’t think it’s easy to be optimistic. I tried …

トップジャーナルへの投稿実績にこだわる人が見逃していること

昨日紹介したコーエンのアセモグルインタビューの後半では、コーエンが幾つかのテーマを挙げ、それが過大評価されているか過小評価されているかをアセモグルに問い掛けている。以下はそこからの引用。 COWEN: Randomized control trials as a method for dev…

コーエンのアセモグルへのインタビュー

ダロン・アセモグルがタイラー・コーエンのConversations with Tyler*1に登場している(H/T コーエンMRエントリ)。そこでは、以下のアセモグルとジェームズ・ロビンソンの直近の共著書が話の軸になっている。The Narrow Corridor: States, Societies, and t…

雇用者への補助金の履歴効果

サエズのNBER論文をもう一丁。以下はEmmanuel Saez(UCバークレー)、Benjamin Schoefer(同)、David Seim(ストックホルム大)による表題のNBER論文(原題は「Hysteresis from Employer Subsidies」、ungated版)の要旨。 This paper uses administrative …

ベバリッジ的失業率ギャップ

というNBER論文をサエズらが上げている。原題は「Beveridgean Unemployment Gap」で、著者はPascal Michaillat(ブラウン大)、Emmanuel Saez(UCバークレー)。以下はその要旨。 This paper measures the unemployment gap (the difference between actual …

意思決定に時間が掛かる時の合理的不注意

1年前にBenjamin Hébert(スタンフォード大)とマイケル・ウッドフォード(Michael Woodford、コロンビア大)のコンビによる合理的不注意のNBER論文を紹介したことがあったが、同じコンビが再び表題のNBER論文(原題は「Rational Inattention when Decisions…

外見が良いと成績も上がる

外見の経済的リターンについて研究しているハマーメッシュ*1が、「O Youth and Beauty: Children's Looks and Children's Cognitive Development」というNBER論文を上げている*2(本文も読める。著者はDaniel S. Hamermesh[バーナード大]、Rachel A. Gordo…

換金可能なプラットフォーム通貨

というNBER論文をロゴフらが上げている。原題は「Redeemable Platform Currencies」で、著者はYang You(ハーバード大)、Kenneth S. Rogoff(同)。以下はその要旨。 Can massive online retailers such as Amazon and Alibaba issue digital tokens that p…

サマーズのマルサ強化の勧め

「Shrinking the Tax Gap: Approaches and Revenue Potential」というNBER論文をNatasha Sarin(ペンシルベニア大)とLawrence H. Summers(ハーバード大)が上げている(ungated版)。以下はその要旨。 Between 2020 and 2029, the IRS will fail to collec…

季節調整における異常値処理

こちらのツイートを拝見して、季節調整の異常値処理の意味というのは意外に知られていないんだな、と思い*1、何か良い資料は無いかとぐぐったところニュージーランド統計局のこちらの資料が見つかったので、以下に抜粋してみる。 Within X12-ARIMA, outliers…

空っぽの財布とMMTのレトリックについて

前回エントリで紹介したブランシャールのツイートにGeorge Selgin が反応し、自分が以前(3月5日)書いた表題の記事(原題は「On Empty Purses and MMT Rhetoric」)にリンクしている。そこでは、「政府支出は自動的に貨幣創造によって賄われる」という趣旨…

ブランシャールのMMT論

Prof. Nemuroさんも取り上げているが、ブランシャールがMMTについて今月4日にツイートしている。 Taking again the risk of discussing an MMT proposition, and fully expecting to be told that I have not understood…. One of the propositions of MMT i…

株式の高頻度バッチオークションについて

というNBER論文が上がっている。原題は「On Frequent Batch Auctions for Stocks」で、著者はRavi Jagannathan(ノースウエスタン大)。以下はその要旨。 I show that frequent batch auctions for stocks have the potential to reduce the severity of sto…

景気循環のプラッキングモデル

昨年6月に紹介したサマーズの論考で触れられていた表題のデュプラス=ナカムラ=ステインソン(Stéphane Dupraz, Emi Nakamura, Jón Steinsson)論文(原題は「A Plucking Model of Business Cycles」)がNBERに上がっている(ungated版)。以下はその要旨。…

先進国世界の長期停滞

というNBER論文(原題は「On Secular Stagnation in the Industrialized World」)をサマーズとŁukasz Rachel(LSE、BOE*1)が上げている。以下はその要旨。 We argue that the economy of the industrialized world taken as a whole is currently – and fo…

ケインズとセーの考えは近かった

という主旨の論文をAlain Béraud(セルジー・ポントワーズ大)とGuy Numa(コロラド州立大)が書いている(H/T Mostly Economics)。論文のタイトルは「Retrospectives: Lord Keynes and Mr. Say: A Proximity of Ideas」で、以下はその要旨。 Since the pub…

現代貨幣理論の解釈

日本のネット界隈では野口旭氏のニューズウィーク連載を始めとしてMMTに関する議論が続いているが、米国ではどうなっているのかとぐぐってみたところ、サンノゼ州立大のJeffrey Rogers HummelがMMTについて表題の4/1付けeconlib記事(原題は「Interpreting M…

外貨準備の通貨構成、外貨準備の需要、および世界安全資産

というNBER論文が上がっている(4月時点のWP)。原題は「The Currency Composition of International Reserves, Demand for International Reserves, and Global Safe Assets」で、著者はJoshua Aizenman(南カリフォルニア大)、Yin-Wong Cheung(香港市立…

介護の費用と便益:人口の高齢化の総体的な負荷

というNBER論文をキドランドらが1月に上げている(昨年6月時点のWP)。原題は「The Costs and Benefits of Caring: Aggregate Burdens of an Aging Population」で、著者はFinn Kydland(UCサンタバーバラ)、Nick Pretnar(カーネギーメロン大)。 以下はそ…

大国開放経済におけるマクロプルーデンシャル政策としての資本規制

というNBER論文が3月に上がっている(ダラス連銀のWP)。原題は「Capital Controls as Macro-prudential Policy in a Large Open Economy」で、著者はJ. Scott Davis(ダラス連銀)、Michael B. Devereux(ブリティッシュコロンビア大)。 以下はその要旨。 …

最適インフレとフィリップス曲線の識別

2017年7月にBOE金融政策委員会(MPC)の外部委員になったSilvana Tenreyro・LSE教授*1が、5月に表題のNBER論文を上げている(ungated版、昨年7月のvoxeu記事)。原題は「Optimal Inflation and the Identification of the Phillips Curve」で、共著者はBOEの…

税、法人、および生産性

引き続きパススルーねた。ロバート・バローらが表題のNBER論文を1月に上げている(3月時点のWP)。原題は「Taxes, Incorporation, and Productivity」で、著者はRobert J. Barro(ハーバード大)、Brian Wheaton(同)。 以下はその要旨。 U.S. businesses c…

21世紀の資本家

ここで紹介したように、かつてブログでピケティ=サエズ論文について書いたことのあるOwen Zidarが、ピケティ本をもじったような表題の共著NBER論文を1月に上げている(直近のungated版)。原題は「Capitalists in the Twenty-First Century」で、著者はMatt…

中央値インフレの不思議でない振る舞い

インフレねたをもう一丁。ローレンス・ボールらが1月に表題のNBER論文を上げている(昨年10月25-26日のチリ中央銀行の年次コンファレンスでのWPおよびスライド資料)。原題は「The Nonpuzzling Behavior of Median Inflation」で、著者はLaurence M. Ball(…

インフレはすぐそこまで来ているのか? フィリップス曲線と世界のインフレ圧力

以前紹介した潜在GDPに関する論文のトリオが、表題のNBER論文を1月に上げている(著者の1人のサイトからungated版が読める)。原題は「Is Inflation Just Around the Corner? The Phillips Curve and Global Inflationary Pressures」で、著者はOlivier Coib…

商品貨幣から不換紙幣、そして今や仮想通貨へ:歴史の教訓は?

アイケングリーンの1月のNBER論文をもう一丁。以下は表題のNBER論文(原題は「From Commodity to Fiat and Now to Crypto: What Does History Tell Us?」)の要旨。 Over time, there has been a tendency for political jurisdictions and residents to con…

歴史的に見た公的債務

5日に公的債務に関するブランシャールの1月のAEA会長講演を紹介したが、アイケングリーンらが「Public Debt Through the Ages」というNBER論文を1月に書いている。著者はBarry Eichengreen(UCバークレー)、Asmaa El-Ganainy(IMF)、Rui Pedro Esteves(国…

民間貨幣の規制

といううNBER論文が上がっている。原題は「The Regulation of Private Money」で、著者はGary B. Gorton(イェール大)。 以下はその要旨。 Financial crises are bank runs. At root the problem is short-term debt (private money), which while an essen…