経済

オーストリア学派の研究手法と政策への適用

Mostly Economics経由のオーストリア学派関連論文をもう二丁。一つは、アリゾナ州立大のScott Scheallによる「Complexity, Policymaking, and The Austrian Denial of Macroeconomics」。以下はその要旨。 Economists associated with the Austrian School o…

金利と世界貿易:ある「オーストリア学派的」視点

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンク;H/T Mostly Economics)。原題は「Interest Rates and World Trade: An 'Austrian' Perspective」で、著者はPol Antràs(ハーバード大)。 以下はその要旨。 This paper develops a framework to study …

いじめを減らす:親を巻き込んだ共感力教育プログラムの実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「Reducing Bullying: Evidence from a Parental Involvement Program on Empathy Education」で、著者はFlavio Cunha(ライス大)、Qinyou Hu(同)、Yiming Xia(西南財経大)、Naibao Zhao(同)。 以下はその要旨。…

世界および地域のサプライチェーンの混乱のマクロ的な影響:2020-2022

というNBER論文が上がっている。原題は「The Aggregate Effects of Global and Local Supply Chain Disruptions: 2020–2022」で、著者はGeorge A. Alessandria(ロチェスター大)、Shafaat Y. Khan(世界銀行)、Armen Khederlarian(コネチカット大)、Cart…

大衆のアヘン? 絶望死と米国の宗教の衰退

というNBER論文が上がっている(昨年7月時点のWP)。原題は「Opiates of the Masses? Deaths of Despair and the Decline of American Religion」で、著者はTyler Giles(ウェルズリー大)、Daniel M. Hungerman(ノートルダム大)、Tamar Oostrom(オハイオ…

偏った記憶と自己管理の認識

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Biased Memory and Perceptions of Self-Control」で、著者はAfras Y. Sial,(UCバークレー)、Justin R. Sydnor(ウィスコンシン大学マディソン校)、Dmitry Taubin…

インフレ目標の正式採用がマクロ経済に与える影響

というIMF論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Macro Effects of Formal Adoption of Inflation Targeting」で、著者はSurjit Bhalla(IMF)、Karan Bhasin(オールバニー大学)、Prakash Loungani(IMF)。 以下はその要旨。 We examine the imp…

労働者はいずこ? 大退職から静かな退職へ

というNBER論文が上がっている。原題は「Where Are the Workers? From Great Resignation to Quiet Quitting」で、著者はDain Lee、Jinhyeok Park、Yongseok Shin(いずれもワシントン大学セントルイス)。 以下はその導入部からの引用。 The aggregate hour…

多過ぎる管理職:残業代支払い回避のための肩書の戦略的利用

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Too Many Managers: The Strategic Use of Titles to Avoid Overtime Payments」で、著者はLauren Cohen(ハーバード大)、Umit Gurun(テキサス大ダラス)、N. Bugra Ozel(同)。 以下はその要…

法外な特権? 世界のドルシステムの勃興(また勃興)について

というペリー・メーリング(Perry G. Mehrling、ボストン大)のINET論文(原題は「Exorbitant Privilege? On the Rise (and Rise) of the Global Dollar System」)をMostly Economicsが紹介している。以下はその要旨。 The global dollar system, though re…

民営化の影響:病院部門の実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「The Impact of Privatization: Evidence from the Hospital Sector」で、著者はMark Duggan(スタンフォード大)、Atul Gupta(ペンシルベニア大)、Emilie Jackson(ミシガン州立大)、Zachary S. Temp…

インフレ目標未達成の財政的帰結

というNBER論文が上がっている(ungated版(IMFコンファレンス版)へのリンク)。原題は「The Fiscal Consequences of Missing an Inflation Target」で、著者はMichele Andreolli(ボストン大)、Hélène Rey(ロンドン・ビジネス・スクール)。 以下はその要…

不安定な繁栄:グローバル化が如何に世界経済をより変動的にしたか

というNBER論文が上がっている。原題は「Unstable Prosperity: How Globalization Made the World Economy More Volatile」で、著者はEnrique G. Mendoza(ペンシルベニア大)、Vincenzo Quadrini(南カリフォルニア大)。 以下はその要旨。 The sharp, secu…

なぜFRBが歴史家を必要としているのか?

という一文(「Why does the Fed need a historian? 」)から始まるセントルイス連銀のブログエントリをMostly Economicsが紹介している。内容は昨年11月にセントルイス連銀のFRB歴史家(Federal Reserve System historian)に任命されたJonathan Roseの紹介…

「死せる経済学者」と、経済学のアイディアの利用について

というSSRN論文(原題は「On 'Defunct Economists' and the Use of Economic Ideas」)をMostly Economicsが紹介している。著者はデューク大のSteven G. Medema(cf. ここ、ここ)。以下は論文の引用。 Any number of those who advocate re-centering the h…

フランチャイズバリュー、トービンのQ、およびマークアップ

Jagannathanの直近のNBER共著論文をもう一丁。以下は、Wan-Chien Chiu(国立清華大)、Ravi Jagannathan(ノースウエスタン大)、Kevin Tseng(国立台湾大)による表題の論文(原題は「Franchise Value, Tobin’s Q, and Markups」、ungated(SSRN)版)の要旨…

価格を不安定化させる投機:戦略的指値注文の役割

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Price Destabilizing Speculation: The Role of Strategic Limit Orders」で、著者はSuman Banerjee(スティーブンス工科大)、Ravi Jagannathan(ノースウエスタン大)、Kai Wang(同)。 以下は…

金融政策とクレジットカード支出

というIMF論文をMostly Economicsが紹介している(cf. 著者たち自身が研究を紹介したVoxEU/CEPR記事[H/T 本石町日記さんツイート])。原題は「Monetary Policy and Credit Card Spending」で、著者はFrancesco Grigoli(IMF)、Damiano Sandri(BIS、CEPR…

ドルの最後の貸し手としての中銀:規制と保有準備高における含意

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Central Banks as Dollar Lenders of Last Resort: Implications for Regulation and Reserve Holdings」で、著者はMitali Das(IMF)、Gita Gopinath(同)、Taehoon Kim(同)、Jeremy C. Stein(ハー…

不確実性下での疫病対策・再論

前回エントリでは、コロナ禍による健康被害を疫学者が過小推計したとされる米国を、過大推計したとされる日本と対照させてみた。一方、こちらの2020年6月エントリで紹介したNBER論文では、過小推計した場合と過大推計した場合の推移を、不確実性を組み込んだ…

コロナ禍による死者数を過小推計した疫学者たち

12/31エントリで触れた経済学者から疫学者への批判の一つには、コロナ禍による死者数を過大に見積もっている、というものがあった。これは一般の人々からも特に西浦博士の推計に対し批判が寄せられる点である。一方、米国では、NYTのDavid Wallace-Wellsが最…

離陸準備完了:インフラ民営化の効果についての空港での実証結果

というNBER論文が上がっている(H/T アレックス・タバロック、Mostly Economics;ungated(SSRN)版、NBER紹介記事、NYU紹介記事)。原題は「All Clear for Takeoff: Evidence from Airports on the Effects of Infrastructure Privatization」で、著者はSabri…

対面授業と若者の自殺:授業スケジュールとコロナ禍による学校閉鎖の実証結果

というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「In-Person Schooling and Youth Suicide: Evidence from School Calendars and Pandemic School Closures」で、著者はBenjamin Hansen(オレゴン大)、Joseph J. Sabia(サンディエゴ州立…

残る傷跡:青年期の鬱病がその後の労働市場での帰結に及ぼす影響

というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン、ungated版)。原題は「Lasting Scars: The Impact of Depression in Early Adulthood on Subsequent Labor Market Outcomes」で、著者はBuyi Wang(コロンビア大)、Richard G. Frank(ハーバード大…

医療費支出の伸びの低下:カーブの撓みは続くか?

というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「Health Care Spending Growth Has Slowed: Will the Bend in the Curve Continue?」で、著者はSheila D. Smith(メディケア・メディケイド・サービスセンター(Centers for Medicare & Med…

2023年に賃金物価スパイラルは起こるのか?

前回エントリで紹介したブランシャールのインフレ論にMITのIvan Werningが反応し、自分の研究を紹介する連ツイを立てている。 Olivier is making an important point that inflation comes from distributional conflict, but getting a lot of pushback. In…

集団合意形成の失敗としてのインフレ

についてブランシャールとクルーグマンがツイッターで論陣を張っている。まずはその点を提起したブランシャールのツイート。 1/8. A point which is often lost in discussions of inflation and central bank policy. Inflation is fundamentally the outco…

クルーグマンが語る足元のインフレの見方

今年の米国のインフレの展望の一つのよすがとして、ここで紹介した以降のクルーグマンのインフレに関するツイートをまとめてみる。 12/13 Surveys of inflation expectations aren't the most reliable indicators, since normal people don't really think …

経済学者と疫学者の暗闘

こちらで関連ツイートをブクマしたように、疫学者と経済学者のコロナ対策に関する考え方の違いが大きくなっているようである。簡単に言うと、経済学者が政策介入の無い経済活動を重視し、オミクロン株のインフルエンザ並みの軽症化に鑑みてコロナへの特措法…

開発援助における不正会計の検知

という、現在日本のネットで騒ぎになっている問題に照らすとタイムリーとも言えるNBER論文が上がっている(9月時点のWP)。原題は「Detecting Fraud in Development Aid」で、著者はJean Ensminger(カリフォルニア工科大)、Jetson Leder-Luis(ボストン大…