経済

財政出動余地と金融危機の後遺症:なぜ、どのように問題になるのか?

先月にNBER論文も上がっているが、3月のブルッキングス研究所のコンファレンスでローマー夫妻が表題の論文(原題は「Fiscal Space and the Aftermath of Financial Crises: How It Matters and Why」)を出している。 以下はその要旨。 In OECD countries ov…

特性ベースのリターン予測可能性の動学モデル

バリュー株効果はB/Pがリスク要因を捉えているから、というファーマの説に異を唱え、そうした株式の特性が投資家の過剰反応と結び付いているから、という説を唱えているティットマン*1が、自説のメカニズムに関する動学モデルを提示した表題のNBER論文を上げ…

流動性リスクが重要になる時

「Liquidity Risk After 20 Years」というNBER論文が上がっている。著者はLubos Pastor(シカゴ大)、Robert F. Stambaugh(ペンシルベニア大)。 以下はその要旨。 The Critical Finance Review commissioned Li, Novy-Marx, and Velikov (2017) and Pontif…

資産価格バブルとシステミックリスク

というNBER論文をブルナーメイヤーらが書いている(2年前のWP)。原題は「Asset Price Bubbles and Systemic Risk」で、著者はMarkus K. Brunnermeier(プリンストン大)、Simon C. Rother(ボン大)、Isabel Schnabel(同)。 We analyze the relationship …

分位点回帰モデルにおける従属変数の誤差

というNBER論文が上がっている(3年前のWP)。原題は「Errors in the Dependent Variable of Quantile Regression Models」で、著者はJerry A. Hausman(MIT)、Haoyang Liu(NY連銀)、Ye Luo(香港大)、Christopher Palmer(MIT)。 以下はその要旨。 The…

投資の二重計上

「Double-Counting of Investment」というNBER論文をロバート・バローが上げている。以下はその要旨。 The national income and product accounts double-count investment, which enters once when it occurs and again in present value when the cumulate…

銀行のリスク動学とデフォルトへの距離

というNBER論文が上がっている(2年前のWP)。原題は「Bank Risk Dynamics and Distance to Default」で、著者はStefan Nagel(シカゴ大)、Amiyatosh Purnanandam(ミシガン大)。 以下はその要旨。 We adapt structural models of default risk to take in…

適者生存:最低賃金の企業退出への影響

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Survival of the Fittest: The Impact of the Minimum Wage on Firm Exit」で、著者はDara L. Luca(Mathematica Policy Research)、Michael Luca(ハーバード大)。 以下はその要旨。 We study the im…

ほぼキャッシュレスの信用経済における交換の媒介としての貨幣

というNBER論文が上がっている。原題は「On Money as a Medium of Exchange in Near-Cashless Credit Economies」で、本ブログでは昨年暮れのエントリの注でungated版にリンクしたことがある。著者はここで紹介したNBER論文のコンビであるRicardo Lagos(NYU…

経営危機に陥った銀行は本当に再生への賭けを行うのか?

というNBER論文が上がっている。原題は「Do Distressed Banks Really Gamble for Resurrection?」で、著者はItzhak Ben-David(オハイオ州立大)、Ajay A. Palvia(通貨監査局)、René M. Stulz(オハイオ州立大)。 以下はその要旨。 We explore the action…

政府債務の優劣構造

というNBER論文が上がっている(2年前のWP)。原題は「The Seniority Structure of Sovereign Debt」で、著者はMatthias Schlegl(上智大*1)、Christoph Trebesch(キール世界経済研究所)、Mark L.J. Wright(ミネアポリス連銀)。 以下はその要旨。 Sover…

高圧経済におけるインフレの展望:フィリップス曲線は死んだのか、それとも冬眠しているだけか?

というNBER論文が上がっている。原題は「Prospects for Inflation in a High Pressure Economy: Is the Phillips Curve Dead or is It Just Hibernating?」で、著者はPeter Hooper(ドイツ銀)、Frederic S. Mishkin(コロンビア大)、Amir Sufi(シカゴ大)…

金融危機をモデル化する際に取り込むべき4つの事実

をSF連銀のPascal Paulが同連銀のEconomic Letterで挙げている(H/T Mostly Economics)。 以下はその結論部。 This Economic Letter describes four empirical facts about financial crises: (1) crises are rare, (2) they occur out of credit booms, (3…

経済政策は絶望死を減らせるか?

というNBER論文が上がっている(H/T Economist's View)。原題は「Can Economic Policies Reduce Deaths of Despair?」で、著者はWilliam H. Dow、Anna Godøy、Christopher A. Lowenstein、Michael Reich(いずれもUCバークレー、GodøyとReichは労働雇用研究…

全ての価格、経済の価値

今回ジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞したエミ・ナカムラの業績を「The Price of Everything, the Value of the Economy: A Clark Medal for Emi Nakamura!」と題したエントリでA Fine Theoremブログが紹介している(H/T Economist's View)。 以下はそこか…

経済地理の逆襲

「Economic geography bites back」という小論をブルッキングス研究所のIndermit Gillが書いている。以下はその冒頭部。 Ten years ago, Paul Krugman won the Nobel Prize in Economics, and the World Bank published the World Development Report “Resha…

服用量が毒を作る

Peter Bofingerというドイツ(!)・ヴュルツブルク大の経済学者が、表題のパラケルススの格言を引用して、Social Europe上でMMT擁護論をぶちあげている(H/T Economist's View)。 そこで彼はMMTをISLMの枠組みで捉え、MMTはIS曲線を右シフトすると同時に(…

高齢化が中立利子率を低下させる

28日エントリでは労働力人口の高齢化が経済活力を下げるというミネアポリス連銀の研究報告を紹介したが、セントルイス連銀の研究者(Sungki HongとHannah G. Shell)も高齢化が中立利子率を低下させるという考察を示している(H/T Mostly Economics)。 Demo…

MMとMMTの比較表

最近MMTが俄かにかまびすしくなったので、本ブログを通じて昔MMTを少し齧った記憶を基に、米国版リフレ派とでもいうべきマーケットマネタリスト(MM)との簡単な比較表を作成してみた。 ハイパワードマネーの源泉 信用創造 経済安定化のための政策目標 政策…

実質実効為替相場とグローバルバリューチェーン

Nikhil PatelとShang Jin Weiという2人の経済学者が、自分達の論文*1を基に、現在の実質実効為替相場の計算方法が時代にそぐわなくなっているとProject Syndicateで論じている(H/T Mostly Economics)。 Standard calculations of the REER by most central…

労働力人口の高齢化により経済の活力が低下した

という主旨のミネアポリス連銀WPを同連銀のRegion誌が紹介している。論文の著者はNiklas Engbomで、Region誌記事を書いたのはDouglas Clement。 以下は記事の概要。 労働力人口の45歳以上の割合は1980年代には30%以下だったが、現在は45%近くになっている。 …

為替相場とカバー無し金利差:恒久的な金融ショックの役割

というNBER論文(原題は「Exchange Rates and Uncovered Interest Differentials: The Role of Permanent Monetary Shocks」)をコロンビア大のStephanie Schmitt-GrohéとMartín Uribeのコンビが上げている(ungated版、スライド資料)。 以下はその要旨。 W…

新興国経済向けであり新興国経済発である世界的安全資産

というNBER論文をマーカス・ブルナーメイヤーらが書いている(プレゼン資料)。原題は「A Global Safe Asset for and from Emerging Market Economies」で、著者はMarkus K. Brunnermeier(プリンストン大)、Lunyang Huang(同)。 以下はその要旨。 This p…

2008年の危機:太平洋横断的か大西洋横断的か?

というレポート(原題は「The 2008 crisis: transpacific or transatlantic?」)をBISのRobert N McCauleyが同行のQuarterly Reviewに書いている(H/T Mostly Economics)。 以下はその要旨。 This study analyses two hypotheses that ascribe the 2008 US …

経済史とグローバリゼーションの今日的課題

というNBER論文(原題は「Economic History and Contemporary Challenges to Globalization」)をオックスフォード大のKevin Hjortshøj O'Rourkeが上げている(ungated版)。 以下はその要旨。 The paper surveys three economic history literatures that c…

構造ならびにイデオロギーとしてのネオリベラリズム

と題したEconospeakエントリ(原題は「Neoliberalism as Structure and Ideology」)でピーター・ドーマンが概ね以下のような考察を行っている。 かつての政治経済学では、経済構造がすべてである、という左翼の説を幅を利かせ、文化や意識は派生物として軽…

ブレグジットが2008年の金融危機より遥かに問題含みである理由

というブログ記事(原題は「Why Brexit is so much more problematic than the financial crisis of 2008」)をTony Yatesが書いている(H/T クリス・ディロー)。 以下はYatesの挙げる理由。 金融危機の際は、展開する事象に対応する能力を備えた首尾一貫し…

規模の経済ではなく市場支配力が米経済を左右している

という主旨の記事を、連邦取引委員会(FTC)と連邦通信委員会(FCC)の元エコノミストで、現在はアメリカン大学の法科大学院で研究教授を務めるJonathan B. BakerがProMarketに書いている。FTCは、「21世紀の競争と消費者保護(Competition and Consumer Pro…

行動新古典派成長モデルにおける均衡分析

というNBER論文をアセモグルらが上げている(ungated版)。原題は「Equilibrium Analysis in the Behavioral Neoclassical Growth Model」で、著者はDaron Acemoglu(MIT大)、Martin Kaae Jensen(サリー大)。 以下はその要旨。 Rich behavioral biases, m…

現金と経済:インドの廃貨の実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Cash and the Economy: Evidence from India's Demonetization」で、著者はGabriel Chodorow-Reich(ハーバード大)、Gita Gopinath(同)、Prachi Mishra(ゴールドマンサックス)、Abhinav Narayanan…