医療

パンデミックは社会的地位の(低い人ではなく)高い人の間で最初に拡大する:COVID-19とスペイン風邪の実証結果

という論文にタイラー・コーエンがリンクしている。原題は「Pandemics Initially Spread Among People of Higher (Not Lower) Social Status: Evidence From COVID-19 and the Spanish Flu」で、著者はJana B. Berkessel(マンハイム大)、Tobias Ebert(同…

自由と安全のフロンティア

9/4エントリで取り上げたアレックス・タバロックの豪州批判にタイラー・コーエンも参戦し、「自由と安全のフロンティア(liberty vs. safety frontier)」ないし「自由と生命のフロンティア(liberty vs. lives frontier)」に豪州は乗っていないのではない…

ワクチンの確保と接種の遅れが招いたこと

アレックス・タバロックが9/3付けMRブログエントリで、豪州のロックダウンは行き過ぎ、という主旨のアトランティック記事を紹介している(タイラー・コーエンもその少し前に「Has Australia gone too far?(豪州はやり過ぎたのか?)」というコメントを添え…

ワクチンパスポートにワクチン接種促進効果はない

ということを理論的に示したNBER論文「Vaccine Hesitancy, Passports and the Demand for Vaccination」を少し前にJoshua S. Gans(トロント大)が上げている。以下はその要旨。 Vaccine hesitancy is modelled as an endogenous decision within a behaviou…

ウイルス、ワクチン接種、投票

というNBER論文をジェフリー・フランケルらが上げている。原題は「The Virus, Vaccination, and Voting」で、著者はJeffrey A. Frankel、Randy Kotti(いずれもハーバード大)。 以下はその要旨。 Vaccination rates have a statistically significant downw…

ワクチンは銀の弾丸ではない?・その2

以前ここで取り上げたように、日本のコロナ検査体制が他国と比較して十分かどうかが一つの議論の的になっているが、事情は米国でも同様らしく、MRブログのアレックス・タバロックが、独英加に比べると米国の検査体制は不十分だ、と嘆いている。ただし、日本…

イスラエルのデータをどう解釈すべきか

アンドリュー・ゲルマンやタイラー・コーエンが紹介しているが、ペンシルベニア大学ペレルマン医学部のJeffrey S. Morris生物統計学教授が立ち上げたコロナ関連の特設サイトで、イスラエルの重症者の数字をどう読むべきか解説している。 以下はその概要。 イ…

デルタ・シュトラウシアニズムの誘惑

アストラゼネカの開発責任者だったアンドリュー・ポラード・オックスフォード大学教授が集団免疫の可能性を否定した、というニュースが話題になったが、シドニー・モーニング・ヘラルド紙が「AstraZeneca lead scientist says Delta makes mass testing poin…

マスク義務化は命を救う

というIMF論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Mask Mandates Save Lives」で、著者はNiels-Jakob H Hansen、Rui C. Mano。以下はその要旨。 We quantify the effect of mask mandates in the United States. Our regression discontinuity desig…

幸福度分析はCOVID-19ウイルス削減戦略を支持する

というNBER論文が上がっている。原題は「Well-being Analysis Favours a Virus-Elimination Strategy for COVID-19」で、著者はJohn F. Helliwell(ブリティッシュコロンビア大)、Max B. Norton(同)、Shun Wang(韓国開発研究院(KDI)国際政策大学院)、…

医師と看護師のソーシャルメディア広告による休暇旅行とコロナ感染の減少:クラスターランダム化比較試験

お盆休みを控えた日本にも関係しそうな表題のNBER論文をバナジー=デュフロらが上げている。原題は「Doctors' and Nurses' Social Media Ads Reduced Holiday Travel and COVID-19 Infections: A Cluster Randomized Controlled Trial」で、著者はEmily Brez…

医療と経済学を巡る議論のアナロジカルな共通点

コロナ禍という未知の事態に放り込まれた医学界では、対策の方針や見解を巡って専門家と非専門家が入り混じる形で侃侃諤諤の議論がなされている。これはどこかで見た光景だな、と思ったら、既に過去のものと思われたデフレ不況が日本のみならず先進国世界で…

ワクチンは銀の弾丸ではない?

少し前に、コロナ禍対策でのワクチン頼みの是非や、ワクチン接種が進む中で改めて検査を拡充する必要性の有無が議論になったが、欧米ではその点の議論はどのようになっているのだろう、と少しぐぐってみたところ、幾つか記事が引っ掛かったので簡単に紹介し…

最も効果的なナッジの選択:免疫の大規模実験の実証結果

およそ1年前にバナジー=デュフロ夫妻らのコロナ感染防止に関するRCTを紹介したことがあったが、そのワクチン版(ただし対象はコロナではなく麻疹)とでも言うべき表題のNBER論文が上がっている。原題は「Selecting the Most Effective Nudge: Evidence from…

技術革新が道を踏み外す時:技術退歩とオピオイド禍

エドワード・グレイザーの5月のNBER論文をもう一丁。以下はDavid M. Cutler、Edward L. Glaeser(いずれもハーバード大)による表題の論文(原題は「When Innovation Goes Wrong: Technological Regress and the Opioid Epidemic」)の要旨。 The fivefold …

パンデミック時の政策介入は技術的解決と組み合わせてこそ意味がある

という主旨のNBER論文「Behavior and the Dynamics of Epidemics」をUCLAのAndrew Atkesonが上げている*1。以下はその要旨。 I use a model of private and public behavior to mitigate disease transmission during the COVID pandemic over the past year…

黒死病の経済的影響

引き続き過去の疫病ネタ。以下はRemi Jedwab(ジョージ・ワシントン大)、Noel D. Johnson(ジョージ・メイソン大)、Mark Koyama(同)の表題(原題は「The Economic Impact of the Black Death」)のJournal of Economic Literature掲載予定論文(昨年8月…

1918-20年のスペイン風邪パンデミックを経済学者は如何に無視したか

というSSRN論文(原題は「How Economists Ignored the Spanish Flu Pandemic in 1918-20」)をブラジリア大のMauro Boianovskyとアントワープ大のGuido Erreygersが上げている(H/T Mostly Economics)。以下はMostly Economicsで引用されている論文の結論部…

政治的暴力、リスク回避、および非局地的な感染拡大:米議事堂暴動の実証研究

何かイベントがあるとそのCOVID-19感染への影響をNBER論文に上げている研究者のグループ*1が、今度は1/6の議事堂占拠事件を取り上げた。以下はDhaval M. Dave(ベントレー大)、Drew McNichols(UCサンディエゴ)、Joseph J. Sabia(サンディエゴ州立大)に…

COVID-19ワクチン候補の臨床試験設計の費用便益分析

というNBER論文をアンドリュー・ローらが書いている。原題は「A Cost/Benefit Analysis of Clinical Trial Designs for COVID-19 Vaccine Candidates」で、著者はDonald A. Berry(ベリー・コンサルタンツLLC*1)、Scott Berry(同)、Peter Hale(ワクチン…

誰をパンデミック中に在宅勤務にすべきか? 賃金と感染のトレードオフ

というNBER論文が上がっている。原題は「Who Should Work from Home during a Pandemic? The Wage-Infection Trade-off」で、著者はSangmin Aum(明知大学校)、Sang Yoon (Tim) Lee(ロンドン大学クイーン・メアリー校)、Yongseok Shin(セントルイス・ワ…

COVID-19以前のスウェーデンで特に多かった脆弱な人々――「乾いた薪」

ここで紹介した「乾いた薪」仮説をさらに検証した表題のSSRN論文にタイラー・コーエンがリンクしている。論文の原題は「Exceptionally many vulnerable – “dry tinder” – in Sweden prior to COVID-19」で、著者はJonas Herby(CEPOS*1)。 以下はその要旨。…

集団免疫論者は正しかったのか? スペインの事例

前回エントリでタイラー・コーエンの集団免疫効果への懐疑論を紹介したが、コーエンは26日エントリでKbenesという人がmediumに書いた論考をその懐疑論の補強材料として紹介している。 以下はそのKbenesの記事の冒頭。 After a relatively calm early summer,…

集団免疫論者は正しかったのか?

タイラー・コーエンが23日に集団免疫についてMRに長文のエントリを上げている。それによると、スウェーデンやロンドンやNYでは抗体保有者の割合がおよそ20%に達した後に入院者数や死者数が急減した半面、第一波に続く感染拡大の波が最初とは別の地域(マドリ…

超感染拡大的なイベントによる感染の外部性:スタージス・モーターサイクル・ラリーとCOVID-19

こちらのエントリなどで紹介した、Covid-19のイベントスタディを精力的に行っている研究者のグループが、今回は表題のNBER論文を上げている。原題は「The Contagion Externality of a Superspreading Event: The Sturgis Motorcycle Rally and COVID-19」で…

ECON-EPIネットワークにおけるパンデミックのコントロール

というNBER論文が上がっている。原題は「Pandemic Control in ECON-EPI Networks」で、著者はMarina Azzimonti(ストーニーブルック大)、Alessandra Fogli(ミネアポリス連銀)、Fabrizio Perri(同)、Mark Ponder(ミネソタ大)。 以下はその要旨。 We de…

リモートワークとCOVID-19の雇用と健康への不均一な影響

というNBER論文が上がっている。原題は「Remote Work and the Heterogeneous Impact of COVID-19 on Employment and Health」で、著者はManuela Angelucci(テキサス大オースティン校)、Marco Angrisani(南カリフォルニア大)、Daniel M. Bennett(同)、A…

現代の感染症:マクロ経済への影響と政策対応

というNBER論文が上がっている。原題は「Modern Infectious Diseases: Macroeconomic Impacts and Policy Responses」で、著者はDavid E. Bloom(ハーバード大)、 Michael Kuhn(ウィトゲンシュタイン研究所*1)、Klaus Prettner(ウィーン経済大)。 以下…

治療は疾病よりも悪かったのか? 米国のCOVID-19パンデミックについての郡レベルの実証結果

というNBER論文が上がっている。タイトルはトランプ大統領の言葉を基にしているが*1、原題は「Is the Cure Worse than the Disease? County-Level Evidence from the COVID-19 Pandemic in the United States」で、著者はCatalina Amuedo-Dorantes(カリフォ…

長期および短期のパンデミックの最適管理

というNBER論文が上がっている。原題は「Optimal Management of a Pandemic in the Short Run and the Long Run」で、著者はAndrew B. Abel(ペンシルベニア大)、Stavros Panageas(UCLA)。 以下はその要旨。 Social policy to limit interactions can slo…