医療

欧米の2022年の超過死亡は何で説明できるか?

超過死亡率の高さとその原因に関する議論が最近日本で話題になったが、海外の状況はどうなのかとぐぐってみたところ、Health Feedbackという組織*1の11/2付け(11/28更新)の表題の記事に行き当たった。原題は「What can explain the excess mortality in th…

コロナワクチンの事前のモラルハザード効果

というNBER論文が上がっている。原題は「The Ex-Ante Moral Hazard Effects of COVID-19 Vaccines」で、著者はVirat Agrawal(南カリフォルニア大)、Neeraj Sood(同)、Christopher M. Whaley(ランド研究所)。 以下はその要旨。 A long-standing economi…

長期的社会的距離

というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「Long Social Distancing」で、著者はJose Maria Barrero(メキシコ自治工科大学)、Nicholas Bloom(スタンフォード大)、Steven J. Davis(シカゴ大)。 以下はその結論部。 More than te…

ワクチンの直接的な効果と間接的な効果:学校におけるコロナからの実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「Direct and Indirect Effects of Vaccines: Evidence from COVID-19 in Schools」で、著者はSeth M. Freedman(インディアナ大)、Daniel W. Sacks(ウィスコンシン大学マディソン校)、Kosali I. Simon(インディア…

コロナ禍における共和党員と民主党員の超過死亡率

というNBER論文が上がっている。原題は「Excess Death Rates for Republicans and Democrats During the COVID-19 Pandemic」で、著者はイェール大のJacob Wallace、Paul Goldsmith-Pinkham、Jason L. Schwartz。 以下はその要旨。 Political affiliation ha…

回答者の一対評価を用いた様々な社会的距離行動の相対的コロナリスクに対する認識の推計

というNBER論文が上がっている。原題は「Estimating Perceptions of the Relative COVID Risk of Different Social-Distancing Behaviors from Respondents' Pairwise Assessments」で、著者はOri Heffetz(コーネル大)、Matthew Rabin(ハーバード大)。 …

コロナ疾患が労働者に与える影響

というNBER論文が上がっている。原題は「The Impacts of Covid-19 Illnesses on Workers」で、著者はGopi Shah Goda(スタンフォード大)、Evan J. Soltas(MIT)。この論文は既にWSJ日本版や日経で紹介されているほか、タイラー・コーエン経由で要旨も邦訳…

それを作れば、彼らはワクチン接種を受けるのか? コロナワクチンの接種会場がワクチン接種率と公衆衛生に与えた影響

というNBER論文が上がっている。原題は「If You Build it, Will They Vaccinate? The Impact of COVID-19 Vaccine Sites on Vaccination Rates and Outcomes」で*1、著者はJohn Brownstein(ハーバード大)、Jonathan H. Cantor(ランド研究所)、Benjamin R…

AEAのコロナ対策は過剰か? 補足

前回エントリで取り上げたタイラー・コーエンとJoshua Gansの論争について、Gansが連ツイで解説していた。 Why do @tylercowen (https://marginalrevolution.com/marginalrevolution/2022/09/a-further-saturday-link.html) and I (https://joshuagans.subst…

AEAのコロナ対策は過剰か?

という点を巡ってタイラー・コーエンとJoshua Gansが論争を繰り広げている。きっかけは、来年初に開催されるAEA(米国経済学会)大会について、参加者のワクチンおよびブースター接種と、屋内コンファレンスでのKN-95以上の高品質のマスク着用の通達が出され…

米雇用者のコロナワクチン義務化の便益と費用

8/10エントリで紹介したのと同様にワクチン接種の効果を調べた表題のNBER論文が上がっている。原題は「The Benefits and Costs of U.S. Employer COVID-19 Vaccine Mandates」で、著者はMaddalena Ferranna、Lisa A. Robinson、Daniel Cadarette、Michael Eb…

ワクチン義務化が感染拡大に与える影響:カレッジのコロナワクチン義務化の実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「The Effect of Vaccine Mandates on Disease Spread: Evidence from College COVID-19 Mandates」で、著者はRiley K. Acton(マイアミ大)、Wenjia Cao(ミシガン州立大)、Emily E. Cook(テュレーン大)、Scott A. …

コロナワクチンはどれだけ過小評価されているのか? 離散選択実験とVSLベンチマークからの証拠

というNBER論文が上がっている。原題は「How Undervalued is the Covid-19 Vaccine? Evidence from Discrete Choice Experiments and VSL Benchmarks」で、著者はPatrick Carlin(インディアナ大)、Brian E. Dixon(レーゲンストリーフ研究所*1)、Kosali I…

2020-21年のコロナ以外の超過死亡:政策選択の付随的被害か?

というNBER論文をケイシー・マリガンらが上げている。原題は「Non-Covid Excess Deaths, 2020-21: Collateral Damage of Policy Choices?」で、著者はCasey B. Mulligan(シカゴ大)、Robert D. Arnott(Research Affiliates LLC*1)。 以下はその要旨。 Fro…

ドナルド・トランプのコロナワクチン支持を用いた公衆衛生へのカンフル剤:大規模広告実験

というNBER論文が上がっている。原題は「Using Donald Trump’s COVID-19 Vaccine Endorsement to Give Public Health a Shot in the Arm: A Large-Scale Ad Experiment」で、著者はBradley Larsen(スタンフォード大)、Marc J. Hetherington(ノースカロラ…

ペルツマン再訪:21世紀におけるFDA規制の機会費用の定量化

保守派の経済学者としてクルーグマンなどのリベラル派の経済学者と幾たびか角突き合わせてきたケイシー・マリガン(Casey B. Mulligan、シカゴ大)が、表題のNBER論文を上げている。原題は「Peltzman Revisited: Quantifying 21st Century Opportunity Costs…

医療提供者が償還率の変化に反応しない時(とその理由)

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクのある著者の一人のサイト)。原題は「When (and Why) Providers Do Not Respond to Changes in Reimbursement Rates」で、著者はMarcus Dillender(イリノイ大学シカゴ校)、Lu G. Jinks(アナリシスグル…

米国のコロナ禍の最初の年における超過死亡数

というNBER論文が上がっている。原題は「Excess Deaths in the United States During the First Year of COVID-19」で、著者はバージニア大のChristopher J. Ruhm。以下はその要旨。 Accurately determining the number of excess deaths caused by the COVI…

バングラデシュのマスク研究から何を結論すべきか?・再訪

以前、バングラデシュでのマスク着用に関するRCTについて、Ben Rechtによる批判的な検証を取り上げたことがあった。その後、研究者がデータを公開したとのことで、Rechtが公開自体は賞賛しつつも改めてそのデータを批判的に検証している(H/T タイラー・コー…

実効再生産数に波が生じる理由

Philippe Lemoineというコーネルの博士課程にいる研究者が、自らが所属するThe Center for the Study of Partisanship and Ideology(CSPI)という組織のブログに「Have we been thinking about the pandemic wrong? The effect of population structure on …

イベルメクチン問題が教えてくれること

Scott Alexanderという有名ブロガー(cf. Slate Star Codex - Wikipedia)によるイベルメクチンのCovid-19への効果のメタ分析をタイラー・コーエンが推奨している。日本語記事では既にgigazineがその概要を紹介している。 そのブログでアレキサンダーは、イ…

実効再生産数なんてもう要らない

「先進的な時系列モデルは疫学者の「R」を超えるのか?( Do advanced time series models outperform the epidemiologists “R”?)」というコメントを添えてタイラー・コーエンが「Rよさらば:疫病を追跡し予測する時系列モデル(A farewell to R: time-seri…

SIRモデルでの実効再生産数の極限は?

以下のツイートを目にして、実際の測定値はともかく、感染モデル上は感染が収まった時に実効再生産数はどうなるのか、という疑問を抱いた。皆さん大事なことなので誤解の内容にお願いします。この数字は感染者数が下がりきると必ず1になります。 https://t.c…

ポール・ローマーのブースター接種推進論

ポール・ローマーが3回に亘るブログエントリで、ブースター接種の必要性を訴えている(8/23エントリ、8/24エントリ、9/15エントリ;H/T タイラー・コーエン)。 彼の主張のポイントを抜き書きすると以下の通り。 以下の2点について、米政府がどちらかしかで…

バングラデシュのマスク研究から何を結論すべきか?

バングラデシュでのRCTの結果を基に、マスクはコロナ感染防止に有効である、という報告が出されたが、UCバークレーの機械学習の研究者であるBen Rechtが「Effect size is significantly more important than statistical significance.」と題したブログエン…

ビッグデータを使って気候変動対策に情報を提供するソロモン・シャンのプロフィール

と題したエントリ(原題は「Profile*1 of Solomon Hsiang, who uses big data to inform climate change policies..」)でMostly Economicsが、IMFの季刊誌Finance & Development9月号の人物紹介記事の冒頭を引用している。この季刊誌の記事は本ブログでも何…

パンデミックは社会的地位の(低い人ではなく)高い人の間で最初に拡大する:COVID-19とスペイン風邪の実証結果

という論文にタイラー・コーエンがリンクしている。原題は「Pandemics Initially Spread Among People of Higher (Not Lower) Social Status: Evidence From COVID-19 and the Spanish Flu」で、著者はJana B. Berkessel(マンハイム大)、Tobias Ebert(同…

自由と安全のフロンティア

9/4エントリで取り上げたアレックス・タバロックの豪州批判にタイラー・コーエンも参戦し、「自由と安全のフロンティア(liberty vs. safety frontier)」ないし「自由と生命のフロンティア(liberty vs. lives frontier)」に豪州は乗っていないのではない…

ワクチンの確保と接種の遅れが招いたこと

アレックス・タバロックが9/3付けMRブログエントリで、豪州のロックダウンは行き過ぎ、という主旨のアトランティック記事を紹介している(タイラー・コーエンもその少し前に「Has Australia gone too far?(豪州はやり過ぎたのか?)」というコメントを添え…

ワクチンパスポートにワクチン接種促進効果はない

ということを理論的に示したNBER論文「Vaccine Hesitancy, Passports and the Demand for Vaccination」を少し前にJoshua S. Gans(トロント大)が上げている。以下はその要旨。 Vaccine hesitancy is modelled as an endogenous decision within a behaviou…