「Does Machine Translation Affect International Trade? Evidence from a Large Digital Platform」というNBER論文が上がっている(ungated版)。著者はErik Brynjolfsson(MIT)、Xiang Hui(セントルイス・ワシントン大、MIT)、Meng Liu(同)。
以下はその要旨。
Artificial intelligence (AI) is surpassing human performance in a growing number of domains. However, there is limited evidence of its economic effects. Using data from a digital platform, we study a key application of AI: machine translation. We find that the introduction of a machine translation system has significantly increased international trade on this platform, increasing exports by 17.5%. Furthermore, heterogeneous treatment effects are all consistent with a substantial reduction in translation-related search costs. Our results provide causal evidence that language barriers significantly hinder trade and that AI has already begun to improve economic efficiency in at least one domain.
(拙訳)
人工知能(AI)はますます多くの分野で人間の能力を超えている。しかし、その経済効果についての実証結果は限られている。デジタルプラットフォームのデータを用いて、我々は、AIの重要な応用先である機械翻訳についての研究を行った。我々は、機械翻訳システムの導入により、このプラットフォームにおいて国際貿易が有意に増え、輸出が17.5%増加したことを見い出した。また、不均一な処置効果はすべて、翻訳に関連するサーチコストの顕著な減少と整合的であった。我々の結果は、言語の障壁が貿易を有意に妨げること、および、AIが既に少なくとも一つの分野で経済効率を改善し始めている、という因果関係の実証結果を提供している。
ungated版によると、実際にデータを用いたデジタルプラットフォームはeBayで、米国からスペイン語圏の中南米への輸出を調査対象にしたとの由(補遺では、米国からブラジルへの輸出、英蘭から仏伊西への輸出、および英語圏からロシアへの輸出も調べている)。また、不均一な処置効果とは、差別化された商品、安価な商品、表示名の言葉数が多い商品、および、経験の少ない買い手において貿易の増加が大きかったことを指している。