財政

税収弾性値の一つの試算・補足

昨日のエントリに対し、シェイブテイルさんからブコメでデフレ期とインフレ期を分けないと意味が無いのでは、というご指摘を頂いた。 そこで試しに、1997〜2010年度に期間を絞って回帰を行ってみると(=昨日リンクしたシェイブテイルさんのエントリのグラフ…

税収弾性値の一つの試算

日本の税収弾性値に関して様々な議論がある。ある人は1を少し超える程度だと言い、ある人は3〜4に達する、と言う。前者の見方をする人は、後者の見方をする人に対し、長期と短期の弾性値の区別が付いていない(例:ここ、ここ)、もしくは平均概念と限界概念…

オバマケアと財政・ある例え話

一昨日のエントリで、Charles Blahousのメディケアに関する「勘違い」をケビン・ドラムが分かり易い比喩で指摘している、と書いた。今日はその例え話を紹介してみる。 ある父親と息子の家庭。父親は政治ブログという仕事で月に100ドル稼いでいる。息子はレモ…

オバマケアと財政・続き

昨日紹介したCharles Blahousのオバマケア財政分析記事から、メディケア支出削減問題以外の指摘を紹介してみる*1。 10年間で700億ドルの収益源となるはずだったCLASS(Community Living Assistance Services and Supports)(cf. 2011/1/21付け本ブログ記事…

オバマケアと財政

マンキューがCharles Blahous*1によるオバマケアの財政分析を「Not a pretty picture」としてリンクしている。オバマケアの財政への影響については、本ブログでも一昨年の1/21エントリで2010/3/20付けのCBO試算を紹介した。Blahous記事がリンクした今年3月の…

ロムニーの税政策は数学的に成立しない?・補足

8/31に取り上げたデロングのフェルドシュタイン批判に対し、フェルドシュタインが(名指しは避けつつも)マンキューブログの場を借りて反論した。ただ、小生が指摘したような論点は前面に押し出さず、批判者の主張を取り入れても、あれやこれや工夫すれば減…

ロムニーの税政策は数学的に成立しない?

ロムニー陣営の経済顧問を務めるフェルドシュタインが、ロムニーの掲げる税政策を擁護する論陣をWSJで張った*1ところ、デロングがそのフェルドシュタイン論説の基本的な数学の間違いを指弾するエントリを上げた(Economist's View経由)。 デロングは返す刀…

コント:ポール君とグレッグ君(2011年第15弾)

一応拾っておきます。 今年最後のエントリはこの方に締めていただきます。 グレッグ君 ポール君が政府債務の負担について幾つかエントリを書いた。この件に関する僕の見解を幾人かの読者から求められたんだが、それについてはラリー・ボールと書いた以前の論…

リカードの中立命題を巡る紛糾・再燃

今年の3月17日に、リカードの中立命題を巡って欧米ブロゴスフィアで巻き起こった論争を紹介したが、年末を前にして再びその論争が再燃した。 きっかけは、クルーグマンがルーカスの以前の言を取り上げ、リカードの中立命題を誤用している、と批判したことに…

ボーン条件についてもう一度よく考え直してみた。

事務屋稼業さんのツイート経由で、畑農鋭矢氏がドーマー条件とボーン条件についてグラフを用いた分かりやすい解説を書かれたことを知った。 ただ、そのうちのボーン条件の解説は、やや単純に過ぎるように思われる。というのは、畑農氏のグラフでは、ボーン条…

財政黒字ギャンブル?

昨日、7/24エントリにコメントを頂き、いろいろとやり取りをさせて頂いたが、その中に、同エントリでの実証結果と7/16エントリのシミュレーション結果をどう整合させるのか、という質問があった。それに対しては、7/16のシミュレーションは取りあえず元論文…

プライマリーバランスの改善はGDPを押し上げるか?

7/16エントリを上げた後、そのエントリでの参照論文の著者である小黒一正氏とツイッター上で意見交換する機会があり、その際、氏の未公表の論文で、プライマリーバランス(PB)の改善が金利と経済成長率の差を縮める可能性を見い出されたことをご教示頂いた…

プラチナが米国を救う?

1996年に、米政府が任意の金額のプラチナ硬貨を造幣できる法案が制定されたという。これを利用して、政府債務の上限を回避できるのでは、というアイディアが米ブロゴスフィアを駆け巡っている(Econospeak(バークレー・ロッサー)、サムナー、フェリックス…

債務上限に関する5つの神話

ブルース・バートレット(Bruce Bartlett)がWaPoのFive Mythsシリーズの7/7記事で表題の件について書いている。 以下はその要約。 債務上限規制は財政支出と財政赤字をコントロールする効率的な手法である まったく違う。歳出入に関する重要な決定は議会の…

何が財政ギャンブルか?

デロングが、以前ここで紹介した計算を繰り返したエントリをブログの最上段に掲げ、緊縮策が却って財政赤字を拡大させる危険性について強く警告している。 そこでふと、今週目にした5年ほど前の小黒一正氏の論文(H/T wrong, rogue and booklog)に、このデ…

米国の政府債務は歳入が低いせい、それとも歳出が高いせい?

と題されたレポートがセントルイス連銀から出されている(原題は「The Federal Debt:Too Little Revenue or Too Much Spending?」;Mostly Economics経由)。 そこでは以下の図が示されている。この図から分かるように、1975-2007年の財政赤字/債務増加は、…

米国の移転支出は過大か?

かねてから今回の経済危機に対する米国の景気対策(ARRA)の効果に懐疑的だったジョン・テイラーが、その主張を論文にまとめ、6/30ブログエントリで紹介した。これに対しノアピニオン氏が、その論文は財政支出の規模が不十分だったというケインジアンの主張…

政府債務の算術

最近3箇所のブログで政府債務に関する簡単な計算を行っているのを目にしたので、メモ代わりに簡単にまとめておく。 クルーグマン 現在の米国の債務の対GDP比率は75%であり、次年度の財政赤字の対GDP比率は7.5%となる。また、名目成長率は4%が見込まれる。 今…

ライアンプランを巡る論争

ポール・ライアン下院予算委員長がまとめた予算削減案が15日に下院で可決された。今月5日には、同案に基づく今後10年間の財政再建見通しが公表されたが、ヘリテージ財団が実施したそのシミュレーションの非現実性について、クルーグマンやEconbrowserのメン…

財政赤字削減のためにマンキューに10億ドルを!

昨日はマンキューブログ経由で知ったホルツイーキンのWSJ論説を紹介したが、マンキューがその次のブログエントリで医療改革法案の財政赤字への影響を次のように戯画化している*1。 I have a plan to reduce the budget deficit. The essence of the plan is …

オバマケアは財政赤字を増やすのか? 減らすのか?

昨秋の中間選挙で共和党が下院を制したことにより、昨春成立した医療改革法案を撤廃する法案が19日に下院で可決された。 同日、ジョージ・W・ブッシュ政権下でCBO局長を務めたダグラス・ホルツイーキン(Douglas Holtz-Eakin)らが、医療改革法案の影響に関…

税制改正批判への素朴な疑問

官庁エコノミストのブログやwrong, rogue and booklogで取り上げられているが、ニッセイ基礎研究所が今回の税制改正の家計への影響をシミュレートしたレポートを出している。そこでは3つのケースについてシミュレーションを行い、いずれのケースでも2010年か…

消費税、法人税、所得税と設備投資

nyanko-wonderfulさんとBaatarismさんが相次いで消費税増税を取り上げ、消費税をはじめとする各種税金の推移グラフを示した。それらのグラフを見て小生の目を惹いたのが、話題の消費税や法人税の推移もさることながら、バブル崩壊以降の所得税の急低下ぶりで…

政府債務は長期的視野で考えるべき

アンドリュー・スコットというロンドン・ビジネス・スクール教授が、voxeuに「政府債務の長期波動(The long wave of government debt)」という論説を書いている。 彼によると、経済学はどの程度の債務水準が高すぎるかについては教えてくれない。しかし、…

ラインハート=ロゴフは因果関係を逆に見ている?

一昨日のエントリで政府債務を問題視するラインハート=ロゴフへの異議申し立てを紹介したが、彼らの見解については、当然のごとくポストケインジアン=Neo-Chartalistも大いに反発している。 彼らの根城とでも言うべきカンザスブログの直近エントリでは、Ma…

実は政府債務は問題ではないのかも

ティム・ハーフォードが3/1にそう書いている(Economist's View経由。原題は「Maybe debt doesn’t matter after all」)。以下はその拙訳。 土曜日に私は、高水準の政府債務が経済成長に与える恐るべき効果に関するカーメン・ラインハートとケン・ロゴフの論…

保守派からの5項目の財政改革提案

マンキューがオバマ政権による財政委員会の発足に寄せて、保守派の立場から、財政に関する5項目の提案をブログで行なっている。以下がその5項目。 支出の大幅な削減 委員会は収入を上げるのと同じくらい政府の規模縮小に取り組むべき。 個人的には、社会保障…

米国景気対策法の効果はGDPに現れない?

ジョン・テイラーが2/2のブログエントリで、施行から1年経って、景気対策法による財政刺激は無効だったことが明らかになった、と主張している。彼はGDPに関する最新報告の数字を元にグラフを描いて、昨年後半の米国の経済成長が主に民間設備投資の回復による…

ブロダ=ワインシュタイン論文とその後の財政推移

少し前に、ブロダ=ワインシュタイン論文「Happy News from the Dismal Science: Reassessing the Japanese Fiscal Policy and Sustainability(Christian Broda, David E. Weinstein)」というものが話題になった。日本語に訳されたものが「ポスト平成不況…

現在の米財政赤字の大部分はブッシュ時代の遺産

というシンクタンクCenter on Budget and Policy Priorities(CBPP)によるレポートをEconomist's Viewが紹介している。下記がそのグラフ*1。 なお、クルーグマンは8/27ブログエントリで、OMB予測を元に*2、ブッシュ減税とイラク戦争の現時点の公的債務に対…