米国の政府債務は歳入が低いせい、それとも歳出が高いせい?

と題されたレポートがセントルイス連銀から出されている(原題は「The Federal Debt:Too Little Revenue or Too Much Spending?」;Mostly Economics経由)。


そこでは以下の図が示されている。

この図から分かるように、1975-2007年の財政赤字/債務増加は、歳入のGDP比がそれ以前の期間(1950-1974)の平均とあまり変わらなかった(17.6%→18.2%)のに対し、歳出を増やした(18.3%→20.8%)ことが原因となっている。一方、ここ3年の政府債務の増加は、歳入の落ち込みと歳出の増加が共に寄与している(歳入は15.8%まで低下、歳出は23.2%まで上昇)、というのがこのレポートの報告である。


なお、レポートでは、名目GDPの伸び率と債務GDP比率との関係についても触れ*1、1960-74年は財政赤字が比較的小さく名目GDP成長率が比較的高かったため、債務GDP比率は低下したが、1975-2007年には財政赤字が大きくなった一方で名目GDP成長率が鈍化したため、債務GDP比率はほぼ倍増した、とも書かれている。


実際の債務の推移は以下の通り。

1950年にはGDP比で94%あった債務は、1981年にいったん32%まで低下したものの、その後上昇し、2007年(図の縦線)には64%にまで増えた。そして、経済危機を受けて2008-2010年の3年間の間にさらに5割増となり、2010年には93.2%に達している(うち民間保有分は62.1%)。