大きなマイナスの結果をもたらす小さな確率の事象に人々はどのように反応するのか?

というNBER論文が上がっている。原題は「How do People Respond to Small Probability Events with Large, Negative Consequences?」で、著者はMartin S. Eichenbaum(ノースウエスタン大)、Miguel Godinho de Matos(カトリカ・リスボン・スクール・オブ・ビジネス・アンド・エコノミクス)、Francisco Lima(リスボン大)、Sergio Rebelo(ノースウエスタン大)Mathias Trabandt(ベルリン自由大)。
以下はその要旨。

We study how people react to small probability events with large negative consequences using the outbreak of the COVID-19 epidemic as a natural experiment. Our analysis is based on a unique administrative data set with anonymized monthly expenditures at the individual level. We find that older consumers reduced their spending by more than younger consumers in a way that mirrors the age dependency in COVID-19 case-fatality rates. This differential expenditure reduction is much more prominent for high-contact goods than for low-contact goods and more pronounced in periods with high COVID-19 cases. Our results are consistent with the hypothesis that people react to the risk of contracting COVID-19 in a way that is consistent with a canonical model of risk taking.
(拙訳)
我々は、大きなマイナスの結果をもたらす小さな確率の事象に人々がどのように反応するかを、COVID-19疫病発生を自然実験として利用して調べた。我々の分析は、匿名化された個人レベルの月次支出の独自の行政データに基づいている。我々は、COVID-19感染死亡率の年齢依存性を反映する形で、高齢の消費者が若年の消費者に比べて支出を減らしたことを見い出した。この支出削減の差は、低接触財よりも高接触財においてより顕著であり、COVID-19の感染者数が多い時期ほど明確になった。我々の結果は、人々がリスクテイキングの標準的なモデルに沿う形でCOVID-19感染リスクに反応するという仮説と整合的である。

本文の表8と9で、高接触財と低接触財ならびにその中間の分類が示されているが、高接触財に分類されているのは、自動車・オートバイ以外の卸売・小売業、水上輸送、航空輸送、宿泊、食料・飲料サービス活動、教育、医療活動、創造・芸術・娯楽活動、スポーツ・アミューズメント・レクリエーション活動、会員組織活動である。ちなみに自動車・オートバイの卸売・小売業は中程度の接触、陸上輸送は低接触に分類されている。