保守派からの5項目の財政改革提案

マンキューがオバマ政権による財政委員会の発足に寄せて、保守派の立場から、財政に関する5項目の提案をブログで行なっている

以下がその5項目。

  1. 支出の大幅な削減
    • 委員会は収入を上げるのと同じくらい政府の規模縮小に取り組むべき。
    • 個人的には、社会保障とメディケアの受給年齢引き上げが良いと思う。徐々に引き上げていって、最終的には平均寿命と連動させるべき(最初からそうすべきだったのだが)。
       
  2. ピグー税の活用
    • オバマ大統領候補はキャップ・アンド・トレードを100%オークション方式にすると約束していたが、オバマ大統領はこの問題に頬被りをしている。彼は、かつての約束を財政健全化の手段として復活させるべきだ。単純な炭素税の方がもっと良い*1
       
  3. 所得税よりも消費税を活用
    • 付加価値税(VAT)は、悪い選択肢の中で最良のものだ。保守派が一般にVATを嫌うのは、経済的というよりも政治的な理由だ。他の取引条件が満たされるならば、彼らも喜んでVATを受け入れるだろう。
       
  4. 個人の所得税最高税率法人税率の引き下げ
    • VATによって、最も歪み効果の大きい税金を削減すべき。両税率はたとえば25%まで引き下げるのが良い。
       
  5. 相続税の恒久的な廃止
    • 今は一時的に停止されているが、その間に皆死ぬわけではない。
    • 保守派はVATよりも相続税をもっと嫌っている。相続税廃止とセットになれば、VATも彼らに取って受け入れやすいものになるだろう。


The Baseline Scenarioのジェームズ・クワックは、このマンキューの提案を、その少し前の彼のNYTコラムより良い、と評価している*2。ただクワック個人としては、項目1と2には同意するものの、他の項目(特にVATへの過大な皺寄せ)には賛成しかねるとのことである。
ちなみにクワックがリンクするマンキューの以前のエントリでは、以下の主張が述べられている。

My bottom line: If I could replace our current tax system (including the personal income tax, corporate income tax, payroll tax, and estate tax) with a VAT, I would gladly do it.

Greg Mankiw's Blog: The Value Added Tax

(拙訳)私の基本的な主張:もし我々の現在の税体系(個人の所得税法人税、雇用税、および相続税を含む)をVATで置き換えられるならば、私は喜んでそうする。

*1:こうしたマンキューの環境問題と税制問題のリンクには批判もある。ここで紹介した議論を参照。

*2:マンキューのNYTコラムについてクワックはここで批判している。