今年に入ってからはほぼ一週間に一回というハイペースでお互いへの言及がありますな…。
- グレッグ君
- 税金の累進性を論じるに当たっては、給与税を所得税と一緒にしておきながら法人所得税を無視するというのは意味が無い。というわけで、党派的なシンクタンクの図を再掲する時はもうちっと気をつけよう、ポール君*1。
- ポール君*2
- 最富裕層の低い税率という構図は法人税を考慮したら変わるのではないかと訊いてきた人がいたが、確かに幾らかは変わる。しかし、それを推計に取り込むことには数多くの含意があり、僕が保守派ならばそこに踏み込みたいとは思わないだろうな。
CBOの見積もり*3によると、2005年には最上位の0.01%の所得税率は17%だったのに対し、彼らの連邦税全体の税率は31.5%だったそうだ。その違いのほとんどは法人税の取り込みによるものだ。
でも右派は、企業とはつまるところ労働者だ、と言っていたんでは無かったっけ? もし企業の法人税は株主の負担だと言うならば、企業の利益は株主のものだ、ということに等しい。労働者との連帯感よ、さようなら、というわけだ。
あと、Piketty and Saezによると、法人税を考慮すると、1960年はもっと累進性が高かったことになる。1960年代の米国はダイナミズムを欠いていた、と言いたいのかな?
ということで、法人税を考慮したいならそれも結構だが、逆進的な税制が格差拡大の主犯だった、という含意につながるんだな、これが。
付け加えるならば、数年前、法人税の負担の多くは労働者にのしかかる、として保守派が税制におけるハエ取り紙の理論を批判していたと思うんだが、記憶違いかな? いいや、そうじゃない*4、確かにしていた。僕自身は、この手の議論をあまり真面目に受け止めていない。だからこそ、富裕層は1960年代以降に大きな減税を享受してきたというPiketty and Saezの議論にそれほど重きを置こうと思わないんだ。
ということで、保守派は二枚舌を使い分けようとする。企業への減税が問題になる時は、法人税は主に株主ではなく労働者が負担するのだから心配するに及ばない、と言う。最富裕層の低い税率が問題になる時は、株主の代わりに企業が支払った税金を考慮するとそれほど低くは無いのだから心配するに及ばない、と言う。奇妙な論法じゃないかね?