3つの世界戦争:財政・金融への影響

トーマス・サージェントらの表題の論文にタイラー・コーエンがリンクしている。原題は「Three World Wars: Fiscal-Monetary Consequences」で、著者はGeorge J. Hall(ブランダイス大)、Thomas J. Sargent(NYU)。
ここで3つの戦争とは第一次世界大戦第二次世界大戦のほかコロナ禍との戦いのことで、論文では二度の大戦とコロナ禍との戦いの共通点として以下を挙げている。

  • 負の労働供給ショック、即ち、20世紀の世界戦争では一般の労働者を兵士に転じさせ、コロナ禍ではロックダウンを課して労働者を失業や労働力からの自主的な引き揚げに転じさせた
  • 政府による国内外の旅行や交易への広範な制限
  • 有利子負債とベースマネーの発行で主に賄われた連邦政府支出の増大
  • FRBによる国債価格の下支えとFRBのバランスシートの拡大

また、次の点については共通点になるかどうかまだ分からない、としている。

  • 戦後における政府支出GDP比率の恒久的な増加

総費用はGDP比で第一次世界大戦は37.39%、第一次世界大戦は118.48%、コロナ禍は27.40%とのことだが、資金調達の内訳は以下の通りとの由。

国債 マネー
第一次世界大戦 20.8 74.6 7.0
第二次世界大戦 30.2 46.0 10.1
コロナ禍 3.5 67.0 18.5