コント:ポール君とグレッグ君(2013年第10弾)

クルーグマンがマンキューのNYT論説に正面から反応した。

グレッグ君
FRBの出口戦略に関する僕の日曜NYT論説はこちら
ポール君
初めてのことではないが、ディーン・ベーカーがグレッグ君に苛立っている。グレッグ君がFRBの出口戦略が近付いているかもしれないと示唆したからだ。ディーンはグレッグ君のミスリーディングな賃金の数字の使い方に照準を合わせたが、問題はもっと根深いところにある。
数字について言えば、短期的には異なる賃金指標が違う動きをすることがある。ここに示す3つの指標のうち一つは最近上向きではあるものの、いずれの指標も伸び率は危機前をまだ下回っている。これが大きな政策変更の裏付けになるとは思えないね。

  


  もう2点付け加えよう。

  1. マイナスの自然利子率やら長期停滞やらの話からすると、インフレ目標を以前よりも高く設定すべき理由が存在し、実際、グレッグ君を含め多くの人が高いインフレ率を求めた。一方、どの指標を見ても賃金の伸び率は危機前を大きく下回っているが、その危機前の伸び率も今にしてみれば低過ぎた。だから賃金インフレ率が今より高くなるのみならず、数ポイント高くならないと、引き締めすべき理由にはならない。
  2. 完全雇用経済の失業率が上昇したという主張は、高止まりする失業率が仮に当初は循環的なものだったとしても、最終的には構造的なものとなる、という履歴効果に基づいている。だが、もしそれが本当ならば、早過ぎる政策引き締めは、短期的失業のみならず長期的失業も引き上げるということで、非常に高くつくことになる。完全雇用がどの辺にあるのか誰も本当にはわからないし、いずれにせよインフレ目標を高めるべき理由が存在するのだから、何らかの出口政策を始めるのは、経済が過熱したという明確な証拠を見てからにすべき、と強く主張する根拠があることになる。