経済思想史上最大の間違い

23日エントリではファーマ対セイラーを取り上げたが、そのセイラーがミネアポリス連銀の発行するRegion誌のインタビューに登場している(H/T Conversable Economist)。そこでセイラーは、シラーの以下の言葉を引用している。

Bob Shiller has this great line in one of his early papers to the effect that if you see a random walk, concluding from that that prices are rational is the greatest error in the history of economic thought. Why? Because it could be a drunken walk. A drunken man will have a random walk and it’s not rational.
(拙訳)
ボブ・シラーは初期の論文の一篇で次のような主旨の素晴らしい一節を書きました。ランダムウォークを観察したとして、そこから価格は合理的だと結論するのは経済思想史における最大の間違いの一つだ。なぜか? それは酔歩かもしれないからだ。酔っ払った男はランダムウォークをするだろうが、それは合理的ではない。


ちなみに23日エントリで引用したInstitutional Investor記事でも、シラーは効率的市場仮説を「経済思想史の中で最もとんでもない間違いの一つ(most egregious errors in the history of economic thought)」として攻撃していた。なお、同記事はシラーの以下の言葉で締め括られている。

From his vantage point in New Haven, Connecticut, Yale professor Robert Shiller says he can’t imagine making investments without incorporating the wisdom of behavioral finance. “We’re talking about playing a game against other people,” he explains. “How do you ever play a game without thinking about their psychology?”
(拙訳)
コネチカット州ニューヘイブンから、イェール大学教授ロバート・シラーは、行動ファイナンスの見識を取り込まずに投資することなど想像できない、と言う。「他の人々を相手にゲームをプレイする、という話をしているのです」と彼は説明する。「相手の心理について考えることなくゲームをプレイすることが果たしてできますか?」


セイラーのRegion誌インタビューでは、まさに心理学との出会いとファイナンスの研究が彼の研究の転機になったことが語られている。