米国人が欧州人より働くのは離婚率の高さも一因

という研究結果がvoxeuで報告されているMostly Economics経由)。


それによると、米国の労働時間は欧州より30%多いが、両者の労働時間の差の最大の要因は女性だという。未婚、既婚、子供の有無を問わず、欧州の女性は米国の女性より労働時間が短いとの由。


また、一般には両者の労働時間の差は税制が原因とされているが、税率と労働時間の逆相関は男性には見られたものの、女性には見られなかったとの由。


逆に、離婚率と男性の労働時間には相関が見られなかったが、女性の労働時間とは相関していたという。


結婚は暗黙の社会保障を提供しているため、離婚率が高いと女性の働くインセンティブが高まる、とvoxeu記事ではこの現象を説明している。モデルを構築してカリブレーションを行ったところ、結婚の安定性の差によって女性の労働時間の差の24%が説明できたという。税制を加味すると、その説明力は43%まで上がったとの由。
ただ、一般には男性の方が収入が高く、従って限界税率も高くなるため、税制の影響は男性の方が大きい、という結果もモデルからは導かれたという。最終的には、全体の労働時間の差の58%を離婚率と税率の差で説明できたとの由。


1970年代初頭の労働時間は米国人も欧州人も似たようなものだったが、その後両者の税率が乖離していくと同時に、米国では無責離婚法が普及していった(同法が成立した州ではそうでない州に比べ女性の労働供給が増加したという実証研究もあるという*1)。その結果、米国の女性は働くようになり、欧州の男性は働かなくなった、と記事では結論付けている。

*1:ただし、その後欧州でも同法は普及していったが、離婚率は米国よりも低いままだった、とも記事では述べている。