についてアイケングリーンがProject Syndicateに書いている(Economist's View経由)。以下は彼の挙げる当時と現在の相違点で、これらの違いによりユーロは金本位制と同じ運命を辿らずに存続できるかもしれない、と彼は言う。
- 単一の中央銀行
- 考え方の異なる中央銀行が足並みを揃えて金融政策を実施するのは言うは易し、行うは難し。一方、ECBはその気になればユーロ圏全体をリフレートできる。問題はその意思があるかどうかだが…。
- 失業保険の充実
- 最近の社会保障制度の削減にも関わらず、現在の失業給付は当時よりも多い。そのため、ユーロを放棄せよというポピュリスト的な圧力も当時より弱い。
- 政治環境の良好化
- ユーロ放棄のコスト*1
しかしその一方でアイケングリーンは、当時と現在のもう一つの違いを挙げている。それは、当時は各国の大恐慌の原因への考察と対処法がバラバラだったのに対し、現在は対処法に関して意思統一が出来ている点である。ただ、残念ながら、その合意が取れた対処法――緊縮策――は患者を殺しつつある。そのため、この5番目の違いは、上記の4つの違いと異なり、むしろユーロ解体の方向に働いている、というのがアイケングリーンの見立てである。