賭博者の誤謬とホットハンドの誤謬

voxeuで、デンマークで毎週実施されるロトのデータを用いて表題の2つの誤謬を実証した研究が報告されている
ここで

・賭博者の誤謬(gambler’s fallacy)
大数の法則で見られる平均回帰の傾向が少数のサンプルでも観察されるはずだという思い込み
・ホットハンドの誤謬(hot hand fallacy)
=本来連続して起きない事象が続いた時、今後もそれが続くだろうという思い込み

である。


著者たち(Claus Bjørn Jørgensen、Sigrid Suetens、Jean-Robert Tyran)は、ロトを購入した個々人の時系列行動を集計することにより、以下のグラフを導出している。

一番左の棒グラフは、前週に当たりとならなかった数字に対する購買行動である。その数字を購買するか否かは、ほぼ半々の確率で決定されている。
左から二番目の棒グラフは、前週に当たりとなった数字に対する購買行動である。ここでは購入確率が2%下がっており、この低下は賭博者の誤謬(前週当たった数字は今週は出ないはずだという思い込み)を示している、と著者たちは言う。
それに対し、同じ数字が2週以上連続して出るようになると、その数字に対する購買確率は週を追うに連れ上昇傾向に転じる。この傾向はホットハンドの誤謬を示している、というのが著者たちの見解である。


また著者たちは、こうした誤謬に陥りやすい人は損する傾向が強い、とも報告している。というのは

  • そういう人たちは大きく賭ける傾向が強い
  • そういう人たちは揃って似たような行動パターンを取る傾向が強いので、仮に当たりを引いても分配金が少なくなる

から、とのことである。