ケインズの美人投票論の実証実験

NPRが最近面白い実験を行なった(H/T Mostly Economics)。


内容は、サイトの訪問者に3匹の動物(子猫、スローロリスホッキョクグマの子供)のビデオを見せ、投票をしてもらう、というもの。ただし、投票方法は2種類あり、あるグループには自分が最も可愛いと思う動物に投票してもらい、別のグループには他の皆が最も可愛いと思うであろう動物に投票してもらう。どちらのグループに属するかは無作為に決められる。


結果は以下の通り。参加者はおよそ12,000人とのこと。

自分が最も可愛いと思う動物 %
子猫 50%
スローロリス 27%
ホッキョクグマの子供 23%
他の皆が最も可愛いと思うであろう動物 %
子猫 75.67% (4,517票)
スローロリス 14.73% (879票)
ホッキョクグマの子供 9.6% (573票)

(「他の皆が最も可愛いと思うであろう動物」の投票だけ小数点以下2桁までのパーセンテージと票数が[追記で]開示されているのは、76、15、10という整数に丸めた表示では合計が100にならないという苦情が多数寄せられたため、との由)


これを見ると、両者で順位は変わらないが、比率は大きく違っていることが分かる。子猫の票の獲得率は、「自分が最も可愛いと思う動物」では半数だったのに対し、「他の皆が最も可愛いと思うであろう動物」では四分の三に達している。この結果を最も単純に解釈すると、自分が子猫が可愛いと思った人は皆他人も同意見だと考え、かつ、自分はスローロリスホッキョクグマの子供が可愛いと思う人のそれぞれ半数が、他人は子猫が可愛いと考えた、という勘定になる。