中国当局はベイズ統計がお嫌い?

昨日に続き今日もアンドリュー・ゲルマンのネタ。


ゲルマンの1/10ブログエントリによると、彼の以下の本の中国語版の出版が差し止め処分を受けたという。

Data Analysis Using Regression and Multilevel/HierarchicalModels (Analytical Methods for Social Research)

Data Analysis Using Regression and Multilevel/HierarchicalModels (Analytical Methods for Social Research)

このエントリで彼は、そういえば事前分布という考えが共産主義に反するので中国ではベイズ統計を教えないそうだ、とか、今度増刷する時は「中国で発禁処分を受けた」と帯に書けば売り上げが伸びるかしら、などと書いている。


しかし、4日後のアップデートエントリでは少し冷静さを取り戻したらしく、以下のようにトーンダウンした火消しの文章を書いている。

  • 中国の出版社が挙げた政治的に問題になりそうなページを見る限り、前回エントリのコメント欄で一部のコメンターに指摘されたように、ベイズ手法が問題にされたわけでは無く、その応用例が問題になった模様。
  • 問題の本は中国で検閲を受けたわけではない。中国でその本を買うこともできるし、大学の図書館にも置いてある。今回出版がキャンセルされたのは、その廉価版であり、オリジナル版は引き続き利用可能。「中国で発禁処分を受けた」云々は冗談であり、誤解を招いたとしたらお詫びする。
  • 中国政府や中国の出版社に文句を言うつもりはない。彼らは好きな本を出版する権利がある。私がこの一件を面白いと思ったのは、単に、回帰やマルチレベルモデルに関する自分の本が政治的に問題になる内容を含んでいるとは思わなかったため。出版社が余計な気を回して問題になりそうな題材に過敏に反応したという気もするが、それはそれで彼らの判断。この一件は面白いエピソードだとは思ったが、中国政府や中国社会などへのコメントはまったく意図していない。中国は大きな国であり、これはある出版社のある個人がある判断を下したという話に過ぎない。それ以上の話では無く、中国全般に関する発言をしたわけではさらさら無い。
  • 上記の文章は別に何らかの法的措置等を恐れて書いたわけでは無い。ただ、公平かつ明確であることは重要だと考えた。私の書いたことが誤訳されて伝わった可能性もある。この件について何かさらなる疑問があれば、コメント欄で質問して欲しい。できる限り明確な回答をするつもりだ。