昨日触れたSalonのAndrew Leonardは、2005年6月のFOMC議事録の中から、Calculated Riskがピックアップしたジャック・グイン・アトランタ連銀総裁の発言の他に、マーク・オルソン理事の発言も紹介している。そこでオルソンは、モーゲージローンにおける審査基準の弛緩と、セカンダリー市場におけるリスク評価の不適切さを指摘しているが、Leonardは特に彼の以下の言葉を強調している。
It's not clear at this point if the MBS market will be an efficient distributor and disseminator of risk or if those in that market will be the last to recognize the risk that's embedded in what they're doing and know how to price it.
(拙訳)
MBS市場がリスクの効率的な配分と移管を行なう場となるのか、それとも、市場参加者たちが自らの行動に伴うリスクを認識してそれに価格付けをすることが最後までできないままとなるのかは、現時点では不透明であります。
そしてLeonardは、警告のサインはFRB寺院の壁に蛍光オレンジ色で書かれていたのに、グリーンスパンがそれを無視したがために、米国経済は大恐慌以来最悪の危機に呑み込まれた、と、こうした警告を看過したグリーンスパンを非難してコラムを締めくくっている。
また、Huffington Postでは、今回公開された2005年のFOMC議事録のうち12月の議事録を取り上げ、以下のように書いている(Calculated Riskの引用より)。
"I offer one more piece of evidence that I think almost surely suggests that the end is near in this sector. While channel-surfing the other night, to the annoyance of my otherwise very patient wife, I came across a new television series on the Discovery Channel entitled 'Flip That House,'" economist David Stockton said, prompting a roomful of laughter according to the transcript. "As far as I could tell, the gist of the show was that with some spackling, a few strategically placed azaleas and access to a bank, you too could tap into the great real-estate wealth machine. It was enough to put even the most ardent believer in market efficiency into existential crisis. [Laughter]"
The Fed, the home of many of the most ardent believers in market efficiency, did not go through an existential crisis, however, and did little to slow down surging prices or warn consumers that "the end is near."
(拙訳)
「この業界において終わりが近づいていることをほぼ確実に示唆していると思われる証拠をもう一つご紹介しましょう。ある晩TVをザッピングしていたら――妻は他のことはともかくこのことは我慢できないようなのですが――、『その家を転がせ』と題されたディスカバリーチャンネルの新しい番組に行き当たりました。」と議事録によるとエコノミストのデビッド・ストックトンは述べ、会議室は笑いに包まれた。「私が見た限りでは、ひびをスパックルのパテで補修し、ツツジを上手く配置し、銀行に渡りを付ければ、あなたも不動産を大いなる富を生み出す機械として利用できる、というのが番組の主旨のようでした。市場の効率性を最も堅く信じている人でさえ、あの番組を見たら実存的危機に陥ります。(笑)」
しかし、市場の効率性を最も堅く信じている人たちの本拠地とも言えるFRBは、実存的危機に陥ることもなく、価格の急激な上昇を抑える努力もほとんど払わず、「終わりが近づいている」ことを消費者に警告することもしなかった。
Calculated Riskは、この会合が開かれた時点で既に住宅バブルの崩壊は始まっていた、と指摘している。