2008-01-01から1年間の記事一覧
スティーブ・ワルドマンという経済関係で割と知られたブロガー*1が書いた金融市場改革に関するエントリが、一部で注目を集めている。たとえば、タイラー・コーエンは、「すべてが面白い(interesting throughout)」と評している。 事の発端は、ダニ・ロドリ…
いえ、黒澤や小津と並んで往年の日本映画を代表する監督の話ではなく、溝口善兵衛の話。 昨日のエントリへのokemosさんのコメントに応えながらこの論文を読み直していて、以下の一節が目に留まった。 A rigorous model of monetary policy in the face of im…
クルーグマンは現在、米国の景気回復策として巨額の財政刺激策を訴えている。それに対し、kmoriさんが、以前に彼が日本について言っていたことと違う、という指摘をされた(本ブログではここで紹介した)。 確かに、今回の危機に絡んでクルーグマンが日本の…
レベッカ・ワイルダーが、NYTのブログ記事を紹介しつつ、消費者向けクレジットの動向に懸念を示している。NYTの記事では、銀行業界人の匿名の告発を載せているが、そこでは消費者向けクレジットの基準がいかに緩和され、杜撰な貸し出しが行なわれているかが…
マンキューブログのこのエントリと、それに対するEconomist's Viewの反論を読んで、あることに気づいた。 オークン則の係数と、乗数効果の支出乗数が一致していると、労働人口一人当たりの平均GDPと、追加雇用者一人当たりの必要財政支出額が一致する。 …
レベッカ・ワイルダーのブログ経由で、ある金融業界人のブログから。 今ならまだ間に合う、世界最大のヘッジファンドへの参加。乗り遅れるべからず。 レバレッジ比率は50倍以上。 資産内容は不透明。オンショア組織だが、議会への開示義務は無し。 最高級の…
昨日のエントリに、kmoriさんより、クルーグマンブログの11/16エントリについてのコメントを頂いた。 クルーグマンは、そのエントリで、Jonathan Cohnの11/14The New Republic記事「Panic in Detroit」を、ビッグ3救済派の最も優れた論説、と褒めている。そ…
表題の件についてEconomist's Viewやマンキューブログに書かれたものを少し拾ってみる。 Mark Thomaの意見(11/14) (まずは、Economist's ViewのMark Thoma自身の意見) もし今回の危機が金融危機によるものであり、それが過ぎれば立ち直るのであれば、救…
Economist's Viewで、ルーカス――ただしロバートではなくジョージの方――の出身校の教授、リチャード・グリーンのブログ記事が取り上げられていた。内容的に、概ね日本にもそのまま当てはまる話であり、本ブログで最近取り上げた話題と重なる部分もあるので、…
Mark ThomaのブログEconomist's Viewに、不定期で「Fed Watch」というコラムを寄稿しているオレゴン大学の同僚Tim Duyが、今回は、政策漂流と題してFRBの姿勢を厳しく問うている。バーナンキは弾を撃ちつくして、次に何をすれば良いか分からない状態に陥…
分裂勘違い氏のこのエントリを読んで、ここで紹介したケインズの小論を思い出さざるを得なかった。これほど対照的な未来予測はないだろう。 ケインズの予測した未来では、技術の発達によって人々は働く必要がなくなり、暇を持て余すようになる。労働は習慣的…
少し前に池田信夫氏が「Smoot-Hartley法」云々ということを書いているが、もちろんこれは「Smoot Hawley法」のことだろう(実施も1931年ではなく1930年のようだ)。ただ、ぐぐってみると、「Smoot-Hartley」と書いている人は意外に多い。これはどうしたこと…
kmoriさんが財政刺激策の一案として、消費に使用目的を限定した口座を通じて給付金を配布する、というアイディアを提示している(タイラー・コーエンも同趣旨の案を紹介しているとの由)。これは、いわばオンライン化されたバウチャーという感じになろうか。…
昨日のエントリにまたコメントをいただいたほか、一昨日のエントリにはeliyaさんとkmoriさんからTBを頂いた。多謝。皆様の意見を読んでいると、どれも一理あり、改めてマンキューの When designing a fiscal stimulus, there is no compelling reason for on…
(昨日のエントリにコメントを頂いたので、それへの返答コメントを書いていたら、思ったより長くなったので、それでまたエントリを立てることにしました。) 皆様、コメントありがとうございます。LMさんに池田先生と小幡先生のブログを紹介していただきまし…
4日のエントリで紹介したマンキューブログで When designing a fiscal stimulus, there is no compelling reason for one size fits all. と書かれていたが、今回の日本の定額減税を巡る議論を見ていて、つくづくそうなんだな、と思った。 マンキューは、米…
Economist's Viewで紹介されていた匿名ブロガーknzn氏の主張。この発想は無かった。 氏の主張の概略は以下の通り。 貿易は全体の厚生を改善する。その意味で貿易はフリーランチであり、誰も食べなければ無駄になる。しかし、保護主義者は、再配分効果による…
少し前のEconomist's Viewにオバマ新大統領への経済学者への提言がまとめられていた。 タイラー・コーエン 米国に自信を取り戻せしめよ。 敗北やパニックから、人々はあらぬ方向に行ってしまうもの。20世紀初めの混乱から生じた独裁政治、911後のイラク戦争…
バーナンキはかつて「大恐慌の真の原因を追究するのは、マクロ経済学のいわば『聖杯』である」と述べたそうだが、最近またその「聖杯」を巡る議論がかまびすしくなっている。ただし、このところの議論は、現下の状況を反映して、大恐慌の原因というよりは、…
とクイズダービー(古いな)風のタイトルにしてみたが、4日エントリで紹介したフェルドシュタインが3000億ドルの財政刺激策を提案したのに対し、クルーグマンは倍の6000億ドルという数字を出してきた。 その数字を弾き出した算式は以下の通り。 GDP=15兆…
田中秀臣さんやHicksianさんも取り上げたミネアポリスFRBの論文に対し、当のFRBの別の地区連銀が反論している(Economist's View経由)。ミネアポリス連銀は、貸し渋りに関する4つの通念を槍玉に上げ、それらが「神話」である、としたのに対し、ボス…
Economist's Viewで知ったが、ブルームバーグ社がFRBを訴えたそうだ。あちこちで取り上げられているが*1、訴えた当の「本人」の記事はこちら。要は、1.5兆ドルもの銀行への貸出*2に対する担保の内容を情報公開法に基づいて請求したとのことだが、FRBが…
8日付けのマンキューブログで、タイトルに見覚えのある本についての言及があった。 その本とは、「Zen and the Art of Motorcycle Maintenance」。 ファイナンス理論を多少齧った人なら、ロールの批判について聞いたことがあるだろう(本ブログのこのエント…
サマーズについて検索していたら、たまたまこんなニュース動画サイトを見つけた。ボストンの商工会議所で10月末に講演した時の動画(約25分)がフルで見られる。 2つのアメリカン・ジョーク(アインシュタインが天国に行ったときの話*1、J.P.モルガンが株…
MSNの記事経由で、こんなサイト*1にジョージ・ソロス、ローレンス・サマーズ、ロバート・マートンらの経済討論がアップされていることを知った。動画は各人の発言ごとに分割されているので、取りあえずサマーズのものを一通り見てみた。彼の発言の主旨を…
3日付けのブログエントリ*1で、マンキューは、オバマ政権の経済閣僚への懸念――というか期待――を露にしている。 きっかけは、ガルブレイスの経済学の主流派を批判したNYTインタビュー記事。その中で、ガルブレイスは、米国の15,000人もの経済学者のうち、…
2年前に、マンキューはブログエントリで、とある冗談サイトの記事を引用した。引用した記事の内容は、オバマのカリスマを民主党議員に配分する法案が可決された、というもの*1。 マンキューは、この記事からヴォネガットの短編小説「ハリスン・バージロン」…
昨日はサマーズの財政刺激策を取り上げたが、今日は、もう一人の大物経済学者、今年6月まで31年間NBER所長を務めていたフェルドスタインの財政刺激策を取り上げてみる(Economist's View、マンキューブログ経由)。 フェルドシュタインは、現在(今日まで…
と三村マサカズ風のツッコミをタイトルにしてみたが、ここでいうサマーズはもちろんこちらではなくこちら。 31日のエントリで、最近「財政政策に関する議論が活発になっている」と書いたが、Economist's View、マンキューブログで紹介されたサマーズの提言も…
Economist's Viewで紹介されていたロバート・シラーの告白は新鮮だった。 内容は、米住宅バブルに対し、なぜグリーンスパンを初めとした各機関や大学の経済学者が警告を発しなかったか、という疑問について。誰も気づかなかったならともかく、世間一般では、…