財政刺激あれこれ・頂いたコメントへのコメント

昨日のエントリにコメントを頂いたので、それへの返答コメントを書いていたら、思ったより長くなったので、それでまたエントリを立てることにしました。)

皆様、コメントありがとうございます。

LMさんに池田先生と小幡先生のブログを紹介していただきましたが、学者の方々はやはり反対の傾向が強いですね。池田先生とは対極に位置する田中先生も、今回の政策には批判的なスタンスのようです。

例えば今回の経済対策の手法である給付方式(お金を直接配布したり、クーポンを配る)や一時的な定額減税方式などの効果が、将来的な増税との組合せのもとでは著しく効果を損ねてしまう(あるいは将来的な増税にコミットしていなくても財政政策単独としても効果がほとんどない)ことは、下の清水谷論『期待と不確実性の経済学』(日本経済新聞)などの業績で実証的に検討されてきたことであった。

2008-10-30


実際の政策効果についてですが、たとえば悪名高い地域振興券の時は、それでもGDPの0.1%の効果があったとのことですが、今回はどのくらいになりますかね。単純に金額比例で換算すると、少なくとも0.3%は見込める、ということになりましょうか。まあ、零コンマ台では景気刺激策としては明らかに不十分なので、皆様のご指摘の通り、それは措いておいて、本当におカネを必要としている人を助ける、という側面を重視すべき、ということになるのかもしれません。


そちらの側面について言えば、ばらまきを批判する人たちにおいては、中にはルサンチマンもあるかもしれませんが、本当におカネを必要とする人に渡すにはあまりにも効率の悪い方法ではないか、という疑問ないし不信感も大きいような気がします。不謹慎な喩えを使うと、ばらまきというのは太平洋戦争の戦略爆撃みたいなもので、爆弾の命中精度が低いので目標を捉えるために無駄を覚悟で絨毯爆撃をするしかない。本当は湾岸戦争のピンポイント爆弾のように、必要な人に効率的におカネを渡したいのだけれども、今回の高所得者を対象にするしないのドタバタを見ても分かる通り、現在の行政技術ではまだまだそれは困難、というのが現状かと思います。だからこそベーシックインカムやEITCの方向に行くべき、ということになるのだと思いますが…。


NPOへの寄付については、少し無責任なことを言うと、実際に試してみてどの程度効果があるか見てみたいという気もします。やはり全然駄目かもしれませんし、あるいは意外に皆寄付するかもしれません。やってみないと何とも言えない気がします。