Smoot Hawley法とTaft Hartley法

少し前に池田信夫氏が「Smoot-Hartley法」云々ということを書いているが、もちろんこれは「Smoot Hawley法」のことだろう(実施も1931年ではなく1930年のようだ)。

ただ、ぐぐってみると、「Smoot-Hartley」と書いている人は意外に多い。これはどうしたことか、と調べてみて、「Taft Hartley法」というものがあることを知った。間違えた人は、どうやらこれとごっちゃになってしまっているようだ*1Wikipediaによると、こちらは1947年に成立した労働組合規制法とのこと。


…という揚げ足取りはともかくとして、この池田氏のエントリは、今回の経済危機に関する比較的良いまとめになっている。リフレ政策に否定的なのは相変わらずだが、いつもの激しい攻撃は影を潜めている。

特に、このエントリの「人々が日本経済の将来に希望をもつことが本質的な解決策である」という結論は正鵠を射ていると思う。ここで紹介したコーエンやブラインダーも米国経済について同様のことを述べていたが、ルーカス以後、人々の期待ないし予想が経済の動向を大きく左右する、というのが経済学の中心的テーゼになっている。「景気は気から」というのはやはり真実なのである。リフレ政策にしても、結局は人々のインフレ「期待」を生じせしめることが目的であった。


そこで思い出すのが、クリントンが当選した16年前のこと。あの時も、Changeを合言葉にした若きクリントンの当選に、人々は変革への大きな期待を抱いた。ブッシュ政権下の不況に喘いでいた米国民のその期待と熱気は、海の向こうから見ていてもひしひしと感じられるほどだった。そして実際にクリントン政権下で米国は空前の好況を迎えるわけだが、それはクリントノミクスのお蔭だけでなく、クリントン自身の登場がもたらした人々のそうした期待によるところも大きかったと思う(…実証的な裏付けは無いが)。
果たして今回の若き大統領の登場は、また不況脱出の突破口になるのだろうか…。

*1:アンジェリーナ・ロペスみたいなものか…といってもこれについては確信犯もいるけど。