移民は高卒以下の給料を引き上げた

という趣旨のNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン)。論文のタイトルは「Immigration's Effect on US Wages and Employment Redux」で、著者はAlessandro Caiumi(UCデービス)、Giovanni Peri(同)。
以下はエドワード・コナードによるまとめ記事における3つの要点。

  1. 新たな移民が大卒に集中していることと、大卒と非大卒の間の相補性により、2000-2019年の移民流入は、高卒以下の学歴を持つ在来市民の賃金の伸びに1.7%から2.6%寄与した。
    • このグループの実質賃金の伸びが2000-2019年に5%から6%のマイナスだったことを考えると、顕著な押し上げ効果と言える。
  2. 大卒の移民が大量に流入したにもかかわらず、移民と在来市民との間の相補性により、大卒の人における競争効果の大半は緩和ないし逆転した。
    • その結果、彼らの賃金への効果はゼロないし小さいものに留まった(-0.5%と0.7%の間)。
  3. 在来市民の賃金への平均的な効果は小さく、全般的にプラスで(+0.5%から+0.8%)、統計的に有意ではなかった。

コーエンは、この種の推計は完全には信用していない、としつつも、これと反対に、移民が米国の在来の労働者にとって大きなマイナス要因になっていることを示す推計は存在しない、とも指摘している。