財政均衡論者=保護貿易主義者

Economist's Viewで紹介されていた匿名ブロガーknzn氏の主張。この発想は無かった。


氏の主張の概略は以下の通り。

  • 貿易は全体の厚生を改善する。その意味で貿易はフリーランチであり、誰も食べなければ無駄になる。しかし、保護主義者は、再配分効果による一部の人の痛みが全体の厚生向上を上回ると主張する。
  • 現状のように、経済に余裕資源がある時は、それを活用すれば、全体の厚生が改善する。その際、厚生面で費用は発生しないので、これもフリーランチと言える。食べなければやはり無駄になるだけである*1。それに対し、財政均衡論者は、やれ納税者のコストがどうの、やれ将来世代の負担がこうの、と言う。しかし、余裕資源の活用で全体のパイは大きくなることは間違いないので、そうした反対は、一部の人間のパイが小さくなることを前提にしている。その点で、財政均衡論者と保護主義者の議論は似ている。
  • 将来世代の負担について言えば、資本主義の歴史が常に厚生の向上をもたらしてきたことを想起されたい。18世紀よりも19世紀、19世紀よりも20世紀の方が人間が裕福になっている。将来世代もほぼ間違いなく我々より裕福になるので、彼らから少し恵んでもらうのは、富裕層から非富裕層への所得移転に同じ。

*1:このあたりの話は小野善康氏を想起させる。